いいのかよ!!!!!
月陽灯影です
のんびり更新しますので
よろしくお願いします
ふぅ
まったく姉上もなんのようだ。オレは姉上のように優秀ではないのに俺に何をさせるつもりなのやら……
最近ではなにやら人族達がなにやら企みを企てているようだがその事で何か話があるのか?ま~人族達の企みなどすべて無駄な事なのだがな…
なぜなら現魔王である俺の姉上は歴代最強にして名君。4つに別れていた我ら魔族の国をたった数年でまとめあげ統一国としたのだから、さらには人族達の領地を奪い、我ら魔族の領地を拡大させた偉大な方だからな…
と言ってもそれまでの魔王とは人族達から勝手に言われていて魔族の中では承知されていなかったのだ。前魔王であるオレ達の父上は一応は国を納める国王だったが単なる領主みたいなものだったのだから…
ただ単に父上が納めていた土地が人族達の国に近いだけなのだ。なのである意味姉上は初代魔王陛下みたいなものだ
さらに言えばオレが幼い時父上は亡くなり、母上はオレを産んですぐに亡くなったと姉上が話してくれて、姉上は父代わり、母代わりとして育ててくれたのだ
そんな姉上に負い目を感じていないかと問われればないと言えばウソになるが、それは仕方がなとさえ思えてくるほど姉上は素晴らしい方なのだ
ま~さっさと結婚しろとか思ってないぞ
そんな姉上がわざわざオレを、それも玉座の間に呼び出すとは一体何のようだ? オレのような無能に出来ることなど限られていると言うのに…
「陛下。お呼びでしょうか?」
「よぅ。ジル♪」
いやいや、姉上
オレの名前はジークリフ=ヴォイディル。プライベートでならともかくここは玉座の間。そんな友達が家に遊びに来た時みたいに気軽に声をかけて頂きたい
「それで陛下。なにようですか?」
「ジル~。固いよ~。お姉ちゃんって呼んでよ~」
「陛下。ここは玉座の間です。そのような事出来ませぬ」
「まったく。あんたは昔っからそうよね」
それはこちらのセリフです。魔王様だと言うのにそんなテキトーな感じでいつになったらまともになられるのやら……オレだって成長してまともになったと言うのに、姉上は相変わらずの性格……しかも玉座であぐらとか……もう少しいろいろ気を使って下さい
などと思ってはいるが口に出すだけ無駄だとオレわかっている。だてに何年も弟をやっていない。しかし見た目は悪くは……と言うか身内びいきではないが姉上相当の美人なのだから、もうちょっとなんとかならないものか……
「陛下」
おおっ、セード。姉上に注意してやってくれ
玉座の間にはオレと姉上以外にもう1人いるのだった。彼の名はセルロイド=ヴォイ=アーベンベルグ。愛称はセード。口数は決して多くはないが愛想が悪いと言うわけでなくちゃんと笑ったりもする
ただ仕事モードと言うか姉上が魔王になってからは笑うことは少なくなり黙々と仕事をこなすのだ。そしてここ最近はなぜかオレに厳しいことを言うようになった
そんなセードはいつも以上に真剣な顔になり姉上を見ていた
「わかってるよ。セード」
あれ? セード? 姉上を注意しないのか?
姉上は頭をかきながらめんどくさそうにこちらを見ていたが一体何があるのやら……非常にイヤな予感しかしない……
「ジル。ちょっとこっちきて」
いやいや、そんな小動物を呼ぶように手招きしないで頂きたい。たしかに姉上にとって俺はまだまだ子供だと思われているが、もうとうの昔に成人の義は終わりすでに私は大人だと言うのに……
しかし従わない訳にもいかない
取り敢えずは指示された通り姉上の前まで行くが姉上の笑顔が怖い。これは絶対良からぬ事を考えている時の顔だ…ニシシと笑っていてあやしことこの上ない……
「それで陛下。なにようですか?」
「んっ? んん~~」
あっ、目が泳いだ……これは確定だ……頼むから変なの事を頼まないでいただきたいものだ……
「えっとね~~」
なんだ? 急に立ち上がり俺を物色するように見てきて……
「フフフ………えいっ!!!」
って!? 姉上!? 急に押さないで下さい!! あぁ…うっかり玉座に座ってしまったではないですか!?
「へ、陛下?」
カポ……
へっ???
これって…
まさか……
魔王の証!!!!!!!!!
「姉上ぇぇぇ!!! いくらなんでも冗談が過ぎます!!!!」
「む~せめてお姉ちゃんって呼んでよ」
いまはそれどころではないですって!? こんなところを誰かに見られたら一大事ですよ!? とにかく玉座から退かなくては!!
「じゃ、ジル。あとよろしく~、セードもよろしくね~」
あ、姉上? そんな手を振ってどこに行かれるつもりなんですか? ほらセードもなんか言ってあげて……
「はっ、エレノーラ様。あとはおまかせ下さい」
あれ? なぜセードは姉上を見送っている? それに今、陛下と呼ばず姉上の名前で呼んでなかったか? それに、よろしくとは一体なんのことだ? 誰か説明してくれ!!
「それでは……」
セードがこちらを見てきた
「魔王陛下。今後についてですけど」
ちょっと待て!?
「ちょっと待て!? セード!? お前は何を言っている??? いくら冗談にしては度が過ぎているんじゃないか!?」
「何をおっしゃいますか? たった今、略式とはいえ戴冠式が行われましたのでジークリフ様が魔王陛下ですよ」
「えっ!! はっ!? ますます意味がわからん」
こんなんで魔王になってたまるか……とにかく姉上に事情を説明してもらわなくては!?
………って!? 姉上いねーーー!!!!
マジなんなのこれ???
セードからも冗談といった雰囲気はまったくないどころか真剣そのもの。むしろオレが混乱している方がおかしいような気がしてきた……
「え~と……」
「では陛下。早速ですが今後について話をしましょう」
だから待てセード!! オレは納得していないしこんな簡単に魔王なんかにならないからな!! ってセード聞いてるのか!!
こうしてオレは流されるように魔王となってしまった……
いいのかよ!!!!!