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第十三話 竜王のなみだ(上)

 竜王もかつては、疎まれた王子として、不遇な日々を送っていました。

 母上の死後は国さえ追われ、となりの国の係累を頼り、ほそぼそと暮らしていたのです。


 そんなとき、王子さまと出会います。

 ともに、住む場を追われた子供どうし。

 あっという間に仲良くなった二人ですが、竜人の王子はまもなく、北の国に帰ってしまいました。


 ――私には、やることができました。

 それを成しとげられたなら、私の元にいらしてください。


 そう、王子さまにいいのこして。

 縁日の日に、わずかなお金をはたいて買った、おもちゃの指輪を手渡して。


 竜人の王子がしようとしたことは、次の王になることです。

 もう、だれにも追い出されないような、立派で強い王さまになること。

 そうして、かわいそうな隣国の『お姫さま』をお嫁さんとして、不幸な境遇から救い出すこと。

 何年かの奮闘ののち、竜人の王子は望みのはんぶんをかなえました。

 なみいるライバルをうちたおし、歴代最強の竜王となりました。

 そして、隣国を脅すふりをして、愛するひとを呼び寄せようとしたのです。


 王子さまははっと胸元を押さえます。

 そこには、いつも肌身離さず身に着けている、お守り袋が忍ばせてありました。

 なかみは小さな、おもちゃの指輪。

 幼き日に、旅立つ友がくれた、やくそくの品です。

 竜王の語る過去は、王子さまの思い出と、ぴったりかさなります。

 なにより、その美しい翡翠の瞳は、紛れもなくあの竜人の子のものです。


 懐かしく、うれしい再会でした。

 ですが、それは同時に、悲しい再会でもありました。


『と、考えておりましたが……あなたは、女性ではないのですね?』

『……はい』


 なんということでしょう。

 それは、小さな勘違いでした。

 しかし、竜王が必死でかなえようとしてきた夢は、そのために無残に砕け散ってしまったのです。

 竜王は、ふらふらと玉座から立ち上がります。


『ふふ……あははは……あはははははははは!!

 私の……わた、し……は……はははっ、ははははははははははははははははァァッ!!!』


 美しい翡翠の瞳からは、とめどなく涙があふれています。

 声をかける間もなく竜王は、玉座のそばに置かれた酒樽を持ち上げ、中身を全て飲み干してしまいました。

 狂ったような笑い声と、それにつづく大きな爆発が大広間を揺らします!


 爆発がおさまった後には、一頭の巨大な白竜が浮かんでいました。

 翡翠の瞳が真っ赤に燃えれば、白い体もみるみるうちに、まがまがしい色に染まり果てます。

 大きく開いた口から飛び出してきたのは、先ほどまでの愛らしい声からは想像もつかないような、恐ろしいばかりの咆哮でした。

バ、バトルシーンまわりを盛ったら、一部分増えてしまいました……!

作中時間に合わせる方針ですので、このまま投稿させていただきます!

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