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空気少女のトラブルダイアリー  作者: しろまる
第1話:おつかいは手短に済ませましょう
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(2)



 私が通う高校は、ごく普通の公立高校、樹林(きのばやし)市立 樹林(きのばやし)高校。

 特徴と言えば、名前の通りグラウンドの隣に樹林のように木が生い茂っている、男女テニス部と野球部がそれなりに強い、購買で売ってるメロンパンが超絶美味い、こんなところかな。


 何とこの学校、家からかなり近く、徒歩で5分もあれば到着してしまうという、私にはピッタリの位置にある。


・家→左に曲がる→10mくらい進む(今ここ)→右に曲がる→ちょっと進む。


 これで5分。朝はなるべく遅めに起きたいというか、のんびりしたい派なので、割と助かっている。

 特に部活動にも所属してないので、当然だが朝練もない。そもそも練習が面倒なので、所属するつもりもなかった。


 そんな事を話していたら、いつの間にか学校まで来てしまった。


 他の生徒達は殆ど向かいから自転車をこいで、いそいそと校門を抜け、校内に入っていく。一応8時15分までに間に合えば遅刻にならないので、まだあまり急ぐ必要はないと思うんだけど…。


 私も、校門に立ってる数名の教師に「おはようございます」と軽く挨拶をし、校門を抜けた。

 校門からアスファルトの道を進んでいくと、右側に広めのグラウンド、左側に教室棟がある。

 眠そうにしている生徒、並んでお喋りを楽しんでいる生徒、ながら登校でもしていたのか、教師にスマホを没収されて反発している生徒、道のど真ん中でブレイクダンスを踊っている生徒…

 みんなこの道を通って登校している。何か約1名変な奴がいた気がするけど気にしない気にしない。



 そのまま昇降口で、学校専用のスリッパに履き替え、自分の教室ーー2年A組の教室に向かう。

 8時10分、時間は余裕があるが、もう結構多くの生徒が教室にいた。


「あ、水園さん、おはよ〜」


 クラスの誰かが、入室した私に挨拶をしてくる。


「…おはよ」


 少し遅れて、私も挨拶を返す。


 くれぐれも誤解しないでもらいたいが、私は決してコミュ症ではない。この私とて、ちょっとした言葉のやり取りぐらいはできる。

 といっても今みたいな日常の会話で、話しかけられた場合限定で、必要最低限の言葉を返しておくくらいだが。

 そう、普通の日常のためには、これは必要な要素なのだ。そこ、「今のは会話じゃなくて、ただの挨拶だろ」なんて細かいツッコミをいれるのはやめなさい。



 私の学校生活において、特に警戒しなければならないものは、"ある問題児"だ。

 そいつに絡まれさえしなければ、学園生活は比較的穏便にーーーー





「やっほーーーー!!マナちーん! おっはよーーーー!!! 」





 ……まぁ無理だろうな。もう絡まれちゃってるし。

 振り返るよりも先に、小さな身体が背後から抱きついてきた。


 背は私より頭1,5個ほど低い。

 白のキャラクターロゴ入りTシャツに黒のジャージズボン。カーキ色のキャップから、オレンジがかった短い癖っ毛髪を覗かせている。


 ーー芳村(よしむら) 詩音(しおん)


 ……先程、道のど真ん中でブレイクダンスを踊っていた、バカである。


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