(3)
よろしければ評価、感想、ブックマークお願いします。
どういうわけか、私は勝又に連れられてJASPA 内を散策していた。
いや、私たちと言った方がいいかな。
今ここにいるメンバーは私と冬架と陽奈乃、そして勝又。無邪気にはしゃいだり走ったりする小学生と、危うく衝突しそうになる。
そういえばもう夏休みだ。普段通り登校しててイマイチ実感ないけど夏休みだった。
「いいか? まずマスコットを作成するにおいて、必要な材料集めは基本中の基本だ」
しみじみと思い巡らせていると、勝又がマスコットについての説明を始めていた。
そう、私たちは彼と共に、必要な材料の買い出しに出ているのだ。彼の支離滅裂な説明を理解するのに精一杯で、自分の役割分担に対して頭が回っていなかった。
「当然の事を言うなと思うかもしれない。しかしだ! 材料が無いと話にならない! カレーに福神漬けが入ってないのと同じくらい話にならんのだッ‼︎ 」
カレーの話はどうでもいいよ。
まぁその材料というのは、恐らくペンキやら接着剤やらスプレー缶やら、結束バンドと呼ばれる留め具等の事だろう。木材は学校が負担してくれるというし、ペンキもスプレー缶もある程度は用意されてるだろうけど、不足した時用に補充分を買っておくという事か。
でも、何でペンキとか買うのに4人も必要なんだろ? そもそも学校に残った人たちは何をしてるの?
そんな事よりも、私には気掛かりな事が一つあった。
「……そういえば、今日詩音さん居なくない? 」
私はさっきまで隣で駄弁っていた冬架に確認した。
そう、詩音の姿がどこにも見えない。
あの、私を見る度にマナちんマナちんうるさく騒ぎ立て、オチの無い理解不能な話を吹っかけ、持ち前の幼稚園児並みの知能で、人様に多大な迷惑をかけまくる詩音の姿が。
別に居ないなら居ないに越した事は無いけど。
むしろ日頃の無駄な苦労が無くなって清々する。
「詩音ちゃんなら、夏休みの補習に行ってるってさ。ほらあの子、前のテストでまた学年最下位取ったから、先生が「今度こそ逃がさんぞ」みたいな感じで激怒しちゃって」
しばらくして、冬架から返答があった。
なるほど補習か……そういやアイツ知能は幼稚園児並みだし、テストも最下位常連だったっけか。何で勘付かなかったんだろ私。
……まぁアイツが素直に参加するとは思えないし、参加したらしたで、うるさすぎて補習どころじゃない気がするけど。
第一に内容を覚えられるか…というより理解する事さえ不可能かもしれない。
「というわけでだな、この公式はーーってコラ芳村! いい加減先生の話を聞かんか‼︎ 」
数学の補習授業中、教師と詩音の2人しかいない教室に、教師が教卓をバンバン叩いて喝を入れる。詩音が全く話を聞こうとしないため、ついに教師も我慢の限界に達していた。
「ねー先生知ってる⁉︎ キャベツとレタスの違い‼︎ 」
その一喝を無視するかのように、詩音がさらに声を響かせる。
この時間中、このようにずっとどうでもいいような質問を繰り返して、一向に授業の本題に入れずにいた。
「はぁ? 植物の種類が違うって話じゃないのか? キャベツはアブラナ科で、レタスはキク科の植物 」
「違う……えっそうなの⁉︎ いやそんな話じゃなくて、詩音もっと革命的な違いを見つけちゃったんだ‼︎ 」
「それ補習が終わってからじゃダメなのか? ……まぁ言ってみろ」
「やったー! えっとえっと! 」
ぱあっと目を輝かせ、詩音が椅子から元気に立ち上がる。次の瞬間、彼女はすっと口を開いた。
「レタスでしょ? キャベツでしょ? ほらほらもう気づいた⁉︎ 3文字と4文字、文字数が違うんだよっ‼︎ 」
あまりの拍子抜けした回答に、教師は溜息をついて頭を抱えた。このまま仕事バックれて帰ってやろうかと、そんな心情が伺える。
「文字数なんざ挙げたらいくらでも挙がるだろうが‼︎ そんなくだらない事で補習の時間を無駄にするんじゃない‼︎ 」
すぐさま怒号が飛ぶ。ごもっとも。
「大体こうして補習の時間をとっているのも、お前が成績不振になったからなんだぞ⁉︎ 毎回毎回引っかかりおって、あと何回赤点取れば気が済むんだ‼︎ 」
「すー……すー………」
教師が感情を抑えきれずに説教を続けるが、詩音は気持ちよさそうに机に突っ伏していた。恒例のお昼寝タイム、まだ始まって5分程度。逆に凄い。
「とにかく、これに懲りたら二度と赤点をーー」
言葉を中断し、机にだらしなく涎を垂らして熟睡する詩音を見て、教師が一言。
「………少しは抵抗する素振りを見せろぉぉぉぉ‼︎ 」
ーー恐らくこんな感じになりそう。いや絶対なる。
「あはは……まぁあの人が真面目に補習受けるとは、到底思えないんだけどね」
「詩音ちゃん、色んな意味で何考えてるか分かんないからね……」
冬架もそう言って苦笑い。何考えてるか分からない以前に、普段から特に何も考えていない説が浮上してきた。普段の学校生活の傍若無人っぷりで証明できる。
「ねぇ2人ともー? 早く来ないと置いてっちゃうよー」
冬架との他愛もない話に夢中になっていると、いつの間にか随分前に進んでいた陽奈乃が、手を振って呼びかけていた。ちゃっかり勝又と手まで繋いでいる。リア充め。
「大変、詩音ちゃんが真面目に補習受ける訳が無く、普段から何も考えてないんじゃないかって話してたら置いてかれちゃった! マナちゃん急ごう! 」
具体的に説明ありがとうございます。
小走りし始める冬架に付いていこうとした時、
「フッ……まだまだのようだな、水園よ……」
どこか聞き覚えのある声と共に、肩をポンと叩かれた。
「周りが十分に見えていないようでは、"奴ら"の思惑にハマってしまい、存在抹消 されてしまうからな……」
含みのある言い方、最早清々しくさえ思えるほどの痛々しい言葉選び……。
おそるおそる振り返ってみると、思った通り。
青髪に黒縁眼鏡をかけた背の高い男子生徒、厨二病生徒会長(仮)こと、永井 綜次郎の姿があった。
何で一緒になって来てるんですか……。
遅くなりましたが、明けましておめでとうございます!!
2019年、なろう活動を始めてまだ二ヶ月ちょっとではありますが、これからも沢山の読者様に一読して頂けるように、より一層精進していきたいと思います!
2019年も、「空気少女のトラブルダイアリー」を、よろしくお願い致します!!




