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空気少女のトラブルダイアリー  作者: しろまる
第3話:芸術(マスコット)は爆発だ!
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 7月 20日 土曜日


 死ぬほど体感時間が長く感じた一学期も終了、待ち侘びていた夏休みがやってきた。

 先週のカラオケ事件から一週間、色々な意味で異質な日々を送っていた。

 楽しそうで何より? 何を他人事みたいに。

 ワケアリな同期生にーー主に詩音とか永井に、望んでもない刺激的な生活に引きずり込まれる私の身にもなってほしい。


 永井はあれだけ言ったにも関わらず、まだ未練が残っているらしく、生徒会の勧誘を止めようとしない。今度はテキーラ1リットルくらい一気飲みさせてやろうかな。

 詩音に至っては、最早私を殺しにかかってるようにしか思えないレベル。

 ある日突然、正体不明の液体をペットボトル一杯に詰めて渡してきたり、犬だか猫だかクマだか神龍(シェンロン)だか分からない手作りの人形が、禍々しいオーラを放ちながら、机の上にぽつりと置かれていたり、「詩音いい事考えちゃったー‼︎ 」なんて言いながら、嬉々として人体切断マジックの準備を始めたり。

 数々の常軌を逸した言動、分かっちゃいたがどうかしている。


 …というか、現実(リアル)はもうじき年越しシーズンに突入しようという時期なのに、作者の頭がパッパラパーなせいで、私たちは未だに真夏の世界を生きてるってのもどうかしている。

 寒さで神経がやられたか、クリぼっちに慣れすぎて正常な思考が働かなくなったか。何にせよ、さっさとシュールストレミングでも被って、頭を冷やして頂きたい。


 話が逸れてしまった。

 しつこいようだけど、私は普通の日常を送りたい。

 面倒な事には首を突っ込まず、ヤバい人には関わらないように、問題も起こさない空気のような存在でいたい。……まぁ冬架と話してるって時点で、割と矛盾してる気がするけど。

 既に壊れつつあるこの理想の日常が、完全に崩落してしまわないように、何とか自分なりに考えなければならない。


 頭の中であれこれ逡巡しながらーー私は制服を着て玄関を出た。


 部活という訳でもなければ、夏休みの補習という訳でもない。これも以前話した事だけど、私は部活動には所属していない。

 では何故こんな暑苦しい天候の中、こうして出かけているのかーーー


 ☆★☆★☆★☆★☆


 それは、つい昨日の事だった。


「えーと、明日からいよいよ夏休みという事になりますが、皆さんくれぐれも高校生としての自覚を忘れる事のないようにして下さいねー」


 HRの時間、いつも通り担任が連絡事項を確認する。

 誰もが浮き足立った雰囲気で、夏休みの予定やら何やら騒々しくなっていたため、各教科の先生方からの注意もよく飛んできた。

 私も、例の問題児たちから解放される喜びを噛み締め、悠々自適な生活を胸に描いていた。


「では先生からの連絡は以上です。日直さーー」


「先生! 少しお時間よろしいでしょうか! 」


 HRが終わろうとした時、1人の男子生徒が、ピシッと挙手をして申し出た。

 その生徒は担任に許可を得ると、「失礼します」と威勢よく教卓の前に出て行った。


「おっ? どうしたんだ悠久(ゆうく)? 」


「一緒にバーベキューやる人募集ってか? おっしゃ俺一番乗りぃ! 」


 勝又(かつまた) 悠久(ゆうく)

 赤髪にグラサンをかけていて、チャラチャラしてる印象だが、これでも一応学級委員。

 しかし、学級委員としての務めはしっかりやってるらしく、クラスメートからもそこそこ信頼されている。何というか、見た目で損しているタイプだ。


 勝又はチョークで黒板に「マスコット作成」とでかでかと書き込むと、クラスメートをぐるっと見回して言った。


「皆、9月の下旬に文化祭・体育祭の合同イベントがあるのは知っているな? 」


 勝又がハキハキと言い張り、かけていたグラサンを外して教卓に置いた。

 9月下旬って……何でそんな先の話を今するのか…。


「各ブロック対抗で行うこの行事、今年は1ブロックにつき1つ、オリジナルのマスコットを作成する事になっている、それも知っているな? 」


 勝又が身振り手振りで説明する。

 しかし、未だにクラスメートは言葉一つ発しない。聞き入っているのか彼のペースに付いていけないのか分からないが、恐らくは後者だろう。


「……ふぇ? カレーパンが麒麟でバハメシア…? 」


 気持ちよく熟睡してた詩音が、ゆっくりと起きて呟いた。どんな夢見てたんだ。


「大方の概要を説明しておきたいから、明日の1時に体育館裏に集合してほしい。話は以上だ! 」


 今説明しちゃダメなの? と思ったが、こんな状況で熱弁しても、理解してくれる確率はゼロに等しいだろう。

 言い切った……とばかりに教卓のグラサンを取り、額に引っかける勝又。そのまま悠然と、自分の席へと歩み出した。

 最後までぽかーんとしていた一同。担任もイマイチ状況が飲み込めておらず、教卓の横で固まっている。


 マスコット作成……? まーた面倒な話だなぁ。まぁ私以外の誰かがやってくれるだろうし、もし呼ばれた時はテキトーに参加しとけばいいかな……。

 そう考えていた矢先、勝又が客席する直前に一言。




「あっ、言い忘れていたが全員参加で頼む。不参加はスクワット2000回な! 」





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