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空気少女のトラブルダイアリー  作者: しろまる
第1話:おつかいは手短に済ませましょう
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(1)


 いきなりだが、どストレートに言わせてもらう。


 私はメンドくさいこと、厄介ごとが大嫌いだ。



 目立たない、他人と関わらない、平凡な人生でありたいーーそれらをモットーとしている理由の1つとして、その事が挙げられる。

 余計な関わりを持つから、面倒なことに巻き込まれる。

 だったら、自分から関わりを持たなければ良い、それだけの話。

 だから私は、学校でも決して目立つ事のない、まさに「空気」のような存在になりたい、そんな理想を持っている。


 おっと、自己紹介が遅れちゃった。

 私は水園(みその) マナ。どこにでもいる普通の女子高生。

 一応この小説で、主人公やらせてもらってます。どうぞよろしく。


 私の紹介は追々またやるとして、話を戻そう。


 ここで、「空気」という言葉について少し考えて頂きたい。


 空気というものは、いつも我々人間の周りに存在している。人間…を始めとした生物達は、その空気に含まれる酸素を吸って生活している。

 でも、それらは誰にも気づかれることはない。ましてや目に見えることもない。

 しかし、無ければ生物は死んでしまう。空気が無ければ生きていけない。

 いちいち肺から酸素を取り入れ、二酸化炭素を吐き出そう、なんて意識しながらやるわけではない。 ごく自然に行っていることなんだから。


 勘のいい人なら、私が何を言いたいのか分かってくれたと信じるけど、私が理想としているのは正にそういう事。


 決して目立つ事なく、それでいて何事もなく平和に過ごす。

 それこそが、私が理想としている"平凡でいつも通りの普通の日常"なのだ。


 そんなことを話していたら、あっという間に家を出る時間になってしまった。ふぅ、やっぱり自分の話をすると時間だけが過ぎていく。だからあんまり好きじゃない。


 制服に着替え、スクールバッグを肩に掛けながら部屋を出て、玄関に向かう。



 「いってきまーす」



 …と言っても、みんなもう出掛けていて、私1人しかいないんだけど。


 そう思いながらも、私は玄関の鍵をガチャっと閉める。



 7月10日 水曜日ーーー時刻は午前8時


 空はまだぼんやりと霞んでおり、送電線に止まっているスズメが2、3羽、ぴーちくぱーちくと、どこか私を元気付けるかのように(さえず)っていた。


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