僕の話 4
「それにしても、小松さんと幼なじみってのは羨ましい話ですね」
僕の卵焼きを咀嚼しながらまた言う。
「みんなそう言うけど実感したことないな」
「なるほど、発馬は男好きと」
「論理が飛躍している。色んな可能性を消しすぎだ」
「なれば、去勢済みと」
「立派なのがちゃんとついてるわ」
「なるほど、立派なのがちゃんとついてると」
「誘導尋問だ。弁護士を呼べ」
「何はともあれ実物を見せて頂かないことには弁護の仕様がありませんなあ」
「この世は変態しかいないのか」
「それも海尊の言葉ですか」
「海尊がこんな事言うか」
完全に雄索のペースで会話が進む。
「とにかく、あれほど可愛い子が近くにいて今まで何も感じてこなかったって去勢したか、あるいはそっちしかないでしょうに。まさか俺のことを」
そう言って雄索は自らの体を隠すように両手を胸元でクロスさせる。悲しいかなその大きな体を二本の腕で隠すには無理があった。
「俺にその気はないし、うぬぼれるな」
「知らないんですか。最近はこういうぽっちゃりボディがモテるんですよ」
「それは女性に限った話だろ」
「くぅ、俺も女性に生まれていればボンキュッボンのダイナマイトボディで玉の輿確実だったのに」
本気なのかふざけているのか判然としない。
「雄索は女性に生まれても、今とあんまり変わらない気がする」
「それは褒めてるんですか」
「ギリギリ」
「褒めてるんですか」
「貶してる」
「貶してるのかよ」
次: 2017/09/20