期待を胸に・・・俺は美少女のハーレムを作るんじゃー。
タイトル詐欺で、美少女は出てこない予定です。
現代の日本では少子化が1つの問題となっている。
旧来のお見合い制度が全盛だった時には、
どんな男女でもほとんど結婚できていた。
しかし今では、一部の人間しか結婚できず、
子を授かるということができていない。
未婚者カップルで結婚や子作りに前向きという層も、
決して多くはない。
理由はいろいろあるが、
大きなものを挙げると経済的要因である。
経済的な不安が大きいために、結婚に踏み出せないのだ。
とはいえ今のままでは、
どんどん少子化が進んでしまうと危機感を強めていた国では、
ある制度を試みようとしていた。
今でも中東やアフリカ諸国では存在している制度である、
一夫多妻制である。
経済力に長けた男が、複数人の女と婚姻関係を結ぶというものだ。
その試みとしてのモデル事業・一夫多妻制が来月より始まる。
モデル事業であるため、いろいろな行動の制約や国からの調査が入ったりするものの、
その分補助金も与えられる。
そして、新しいことが好きな俺は、その一夫多妻制のモデル事業に応募していた。
ちなみに俺のスペックについて。
35歳、IT系の中小企業の幹部(年収1000万)、
コミュ力は低~普通、
女の好み:特にこだわらないはず。
一夫多妻制について:多くの妻が欲しいというわけではない。
ただ、新しいものには好奇心旺盛となり、挑戦してみたい欲が大きい。
そろそろ35歳だし、子どもも欲しいかな。
そして俺のもとに、
厳正なる審査の結果、あなたが選ばれましたという書類と、
モデル事業初日の説明文書が届いていた。
そこの文書には、
あなたの収入なら、その後にパートナーと設ける子どもの人数も想定し、
なおかつ補助金で賄われる部分も考慮しますと、
5人ないし6人の妻を持つことができると書いてあった。
モデル事業、初日。
俺はウキウキした気分で会場へと向かった。
前日まで、
世にある一夫多妻制の作品(漫画ではそれこそ美少女ハーレムにしているもの)や、
実際の中東やアフリカで美人を多数囲っている画像なんかも見て、
妄想を膨らませ、悦になっていた。
係官から説明を受ける。
「現在、一夫多妻制にエントリーされている女性600人の中から10人をお選びください。」
「10人を選んでから、5~6人に絞りましょう。」
なんと600人も対象者がいるのか!
これは、迷っちゃうだろうなー。
期待を胸に、
女性600人の画像を見渡すと、
げんなり、した。
何とそこには、お世辞でも可愛いとは言えないような、
ブスしか載っていないのだ。
全ページの上から下まで、全部ブスだ。
ちょいブスではなく、
まごうことなき全員ブスだ。
俺「これは、どういうことなんですか。」
係官「え、何がです。女性の写真ですよ。」
俺「いや、そうなんですけど、
その、ブスしか載ってないじゃないですか!!」
人前でブスという言葉を出すのはためらいたかったが、そうも言ってられない。
なんせこれから選ぶ妻候補が全員、ブスなわけだからな。
係官「そうですか。でも人の好みはそれぞれですしね。」
俺「それにしたって、ひどいでしょう。
もう少し可愛い子がいたっていいのに。」
その瞬間、係官は得意げな顔で話し出す。
係官「あなたね、これは国のモデル事業なんですよ。
少子化対策に国の補助金も使われるわけです。」
俺「それは、知ってます。」
係官「モデル事業で補助金が使われるということは、
国民の共感を得られなければ成立しません。
一夫多妻制という少し物議をかもしそうなテーマで、
なおかつ女性が美女揃いだったら、
共感なんて得られるわけないじゃないですか!!」
俺「そんな理由で、ブスばかり集めたんですか?」
係官「とはいえ完全に人為的に集めたわけではありません。
この一夫多妻制のモデル事業に応募してくる女性は、
我々の願望にマッチするといいますか、
ブスな女性が多いです。
少子化対策の一環ということで、
子作りに励んでもらうために
健康で30歳ぐらいまでと条件をつけているので、
中年までこじらせたブスの方の応募はできませんが、
若いブスな女性の応募が幸いにも多いです。」
俺「それにしたって、見る感じ、ちょいブスもいないんですけど。」
係官「それもあなたの美的感覚次第ですよ。
とはいえ確かにそれには我々の方で細工をしてあります。
たまにですけど、
可愛いとか
普通とか
ちょいブスとかでも
応募してくる女性がいるのですよ。
そういった時に、普通以上の顔の女性はお断りしています。
だって、そうでしょう。
そういった顔の女性はたまたま今は良い出会いがなかったり、
男運が悪かったりで、
すぐに相手は見つかるでしょうし。
ついでに良い出会いに恵まれるよう、
提携している婚活業者に情報を流します。
問題は、ちょいブスの女性ですね。
我々の組織で美的感覚を判断する係官が全部で20人いるんですけど、
その中の3人以上が可愛いと思ってしまうようなちょいブスの女性については、
1年後も気が変わっていなかったら再度、応募してください。
との文書を送付するとともに、
先程と同様、提携している婚活業者に情報を流します。
だから、ここらへんは確かに操作ですね。」
俺「そんなことがあっていいのか。
大体ブスを相手に選んで、少子化が解消されるのか?」
係官「あ、それは大丈夫だと思いますよ。
あなた自身も分かっているとは思いますが、男ってけっこう単純ですし。
けっこうすぐにブスだけど可愛い奥様に慣れると思いますよ。
それでも心配なあなたに、プログラムを一部紹介しますか。」
そうして係官はプログラム表を取り出す。
係官「まず、男女ともに性欲が亢進するように、
日々の食事に微量ですが性欲亢進剤が入っています。
また、どうしてもブス女性に萌えることのできない男性のために、
ブスな女性を集めたエッチな内容の映像も多数用意しています。
また、奥様となるブスな女性達との子どもができるまでは、
外界のメディアの閲覧を制限させていただきます。
我々の組織で製作しているテレビ番組(ニュース、ドラマなど)のみの
視聴とさせていただきます。
もちろんそれらのニュースの読み上げや、ドラマに出演しているのは、
ブスな女性だけですが。」
唖然としていると、
係官「あ、ブスブス言っちゃいけませんね。
私もなんですけど、そういった番組を製作して何度も見ているうちに、
最初はブスだと思っていたけど、
けっこう可愛いじゃん!!って思える瞬間があるんですよね。
あ、今のは外部に言わないようにお願いします。
今のを上司に知られちゃうと、美的感覚を判断する部署から外されちゃうので。」
俺はいろいろと説明を聞き、
若干ゲンナリもしていたが・・・・
係官「ここまでがチュートリアルです。
この先の扉を開いたら、後戻りできません。
どうしますか?
ちなみに今、引き返されるのであれば、
モデル事業への登録料や説明料、準備料など諸々を考慮して、
約1000万円のお支払いをお願いします。
応募書類に、小さい文字でしたが書いてありましたよね。
もちろん、
ここで引き返さないのであれば、料金はかかりません。」
将来の奥様候補がブスしかいないという状況に怯える部分もあったが、
俺は当初の目的通り、
ブスとはいえ一夫多妻制という面白そうな
新しいものに飛びつく精神で、
「いや、行きます!!」
と、扉を開けた。
本当は短編で終了するはずと考えていましたが、
思いのほか長くなってしまったので、
連載とします。
まだ完結できていない作品が多い中ではありますが。




