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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

こうしてスライムは最弱モンスターとなった

作者: hung

何となく思い付いて衝動的に書き上げてしまった

すまないと思っている、今は(文章を)反芻している

 そこはかつて絢爛な装飾が施され、見るものに感動と恐怖(・・)を与えていた巨大な建築物の内部。


 人類種の敵対種族であり、周辺国家どころか世界中から忌み嫌われたモンスター属の総本山。


 世界から魔王城と呼ばれたその場所は、かつての華麗な装飾も豪華な部屋も寒々とした空気も今や見る影もなくなっていた。


「くははは! よくぞここまで魔王たる我を追い詰めた物だ!」


「くそっ! ここまでなのかっ」


「諦めちゃダメだ! 皆に勇気をもたらす者、それが勇者! 勇者の俺がいる限り、膝をつくのはまだ早い!」


「全く、無茶苦茶にも程がありますね」


「ほほほ、けれどもその無茶苦茶で奮い立つ儂らも案外安いものじゃな」


 重厚な鎧を着込んだ戦士が弱音を吐き、戦士に比べると軽装に見える部分鎧な男(勇者)が鼓舞する。

 その声に応じて背後で力尽きかけていた僧衣を纏った女が構えを新たにし、女の近くにいた老翁がローブを着直した。


「くははは! 良い、良いぞ! 人とはやはり面白い! さぁ我をもっと楽しませろ!」


「行くぞ、魔王ぉぉおおお!」




 戦いは熾烈を極めた。男達の剣は魔王の守りに(ことごと)く弾かれ、翁の魔術は掠りもせず、女の祈りは怪我を癒すが疲労は溜まり続ける。

 しかし、相対する魔王は余力があるとは言え、生来の強大な魔力で身体の強度を上げ、反応速度を加速させて守りに片寄らせている事で勇者達と渡り合えている為、攻めに転じられていない。


 双方に余裕等と言う物はなく、まさに互角。

 で、あるならばその結末は偶然であり奇跡と呼ぶに相応しい必然であった。


「くははは! こうも膠着していては魔王の名が廃る! 行くぞ!」


「勇者!」


「おう!」


 守りを固めていた魔王が焦れた状況を打破しようと攻勢に移ろうとしたその時、戦士が一声あげる。

 二人に余計な言葉は必要ない。この魔王城に来るまでに長い旅があった。道中で喧嘩をした、くだらない事で言い合いで収まる時もあれば、剣を取り殺し合いにまでなった時もあった。

 しかし、その長い旅が二人の間に確かな絆を育んでいたのだ。勇者と戦士は口に出さずとも連携をとり、攻勢に移ろうとした魔王の前に同時に踊り出る。


「ぬっ!」


 守勢から攻勢に出る、刹那の意識の移り変わりの間隙(かんげき)を縫ったその行動に魔王は勇者と戦士どちらに、どのような対応をすれば良いのか迷った。


 その迷いはほんの一瞬、しかし吊り合った天秤を片方に揺らがせるには十分な勢いを持っていた。


「「うおおおおお!」」



 魔王と交叉した二人は剣を降り下ろした格好で固まっている。女と翁も杖を構えたまま動かない。



「くははは! これが勇者! 人間! 見事! 美事!」



 突如笑いだした魔王を背後に迎えたまま、勇者と戦士はゆっくりと立ち上がる。



「守りの魔王たる我をここまで! ここまで………がはっ!」



 勇者達へと振り返った魔王は己を斬った者と目を合わせたと同時に血を吐き倒れた。


「魔王………」


「待ってください! まだ何かしてくるかもしれません! 迂闊に近付いてはいけません!」


 倒れた魔王へと近付きかけた勇者が女の声に止まる。


「く、くは、くははははは! その様な余力等残っておらぬわ、見事であったぞ」


 血を吐きながらも賛辞を送る魔王を遠巻きに見守る勇者達であったが、魔王の言葉に嘘はないのを確認するとようやく構えを解いた。


「くははは! 我はここまでだ! しかし忘れるな、闇を統べる魔王と呼ばれる存在は必ずまた現れる!」


 例え相手が人類種の天敵たるモンスターの王、魔王であっても今ここにいるのは互いに力を認め合った勝者と敗者のみ。

 敗者の言葉を勝者はその心に刻み込もうと耳を傾ける。


「その時、勇者たるお前達はいない! 王である我が居なくモンスターは弱り争いも少なくなり、人類は牙を抜かれる!」


 その言葉は1つの予言であった。魔王たる統率者を無くしたモンスターは、魔王を倒した勇者達を筆頭に士気を上げ続け、いつかはモンスターを脅威と見なせなくなるだろう。


 いわゆる種が弱体化した時に、目の前に居る強者が突如現れればどうなるだろうか。


 女と戦士はその未来を垣間見たのか、ギリと手に有った獲物を握り締める。翁はローブのフードを深く被り、顔が見えない様にしているが、悔しげな様子である。


 しかし! 今ここに居るのは誰だ!? そうだ、勇者だ、人に勇気を与える者たる勇者であるのだ!

 魔王の絶望に満ちた予言等、知ったことではない! 仲間に勇気を与えられずして何が勇者! そう決め勇者は声を出そうとする。


「その時は「がはっ!!!」」


 魔王へと、いや、仲間達に言い聞かせる為に声を出した瞬間、もう少しで絶命しそうだった魔王が一際大きな呻き声をあげた。


「ぐぐぐっ! こ、ごれはぁ! がぁぁあっ!」


「皆! 油断するな! 何かおかしい!」


 突如として苦し気に叫ぶ魔王の様子にただならぬ何かを感じ、勇者は仲間達に警戒を呼び掛ける。


「お、おのれぇぇええええええ! 我が誇りすら………」


 怨みと絶望に染められた声をあげると、魔王はそのままパタリと動かなくなった。


「何だか嫌な予感がぷんぷんするぞぃ」


「爺さんもか、俺もだ」


「先ほどまで薄れかけていた魔の気配がまた集まってきます」


「魔王は復活するのがお約束ってぇのはお伽噺だけじゃないのかねぇ?」


 まるで視える様な濃密な魔力、さっきまで戦っていた魔王が鎧へと変換していたそれが辺り一面に漂う。

 しかし、無秩序にばらまかれている訳ではないのは一目瞭然であった。魔の気配をよめる者ならば持ち主である魔王が死んだことで発散され霧散しようとしていた魔力が渦巻き一点へと集中している様が見えていただろう。



『うふふふふ! 邪魔な魔王を倒してくれてありがとう! あなたたちったら私にとっても勇者様だわぁ!』


 周辺に響くように甲高い声が勇者達に向けられる。


「魔王戦第2ってかぁ!」


『あら、野蛮なのね。私は戦いなんて言う雅じゃ無い事は好きじゃないの』


「へっ、じゃったらそのままバカ魔力に食われて制御ミスって爆発でもしてくれんかの!」


 気配は先ほどまでとは違い、魔王と戦っていた広間全てに広がり、4人共が背中合わせで警戒しているが見つけ出せない。


『そんなの嫌よぉ! だからぁ』


 空気が変わった! そう感じた刹那、勇者は己の魔力を一気に爆発させ仲間達をその勢いで吹き飛ばし、自分も飛びずさる。


「きゃん!? って、あら、しっぱぁい」


 仲間達が突然の事に抗議をしようと体勢を立て直し、自分達がいた場所へと振り返る。

 しかし、先ほどまで自分達が警戒し、背中を合わせていたまさにその場所に黒い翼を携えた女が何もない………いや、何もなかった筈の空間から上半身だけプラプラとさせていたのだ。


「皆! あいつに触れられるのは何かヤバイ!」


「ヤバイって何がですか!」


 勇者の警戒を呼び掛ける声に勇者パーティの女が疑問の声をあげる。


「何かは何かだ!」


「勘か!?」


「勘だ!!」


 戦士が再度問いかけると、答えになっていない答えを返す勇者。


「勇者の勘は頼りになります! 各々、絶対に触ってはいけまけん!」


「爺さん、相手が女だからって助平根性出すなよ!」


「かぁ! 儂をなんじゃとおもっとるんじゃ!」


「そう言うなら私のお尻揉むの止めてください!」


「コラテラルダメージじゃ!」


 魔王を倒した後から再度の戦いに沈まない様に気合いを入れ直すべく、軽い掛け合いをする。


「良い勘してるわね! 私の能力は『絶死の翼』弱っていたとは言え、あの魔王の鉄壁の守りすら破るのよ。

 そして、魔王の魔力を回収した私の能力は勇者の加護すら貫くわ! さぁ! 今の私は『絶死の魔王』! あなた達に死をもたらす烏! 苦しんで死になさい!」


「来るぞ! 応戦だ!」


「「「了解!」」」



 その戦いは最初の魔王との戦いと遜色無いレベルの絶戦だった。

 絶死の魔王と名乗った者は空間を隔てた場所から即死の腕を伸ばし、触れられない勇者達は逃げ回るしかなかった。

 腕と共に出てくる羽には弱いながらも死の呪いが掛かっていたため、時間が経つごとに舞い落ちる羽が勇者達の力を削ぎ落とす。


 ただでさえ、守りの魔王倒した直後の疲労した状態なのだ。あまり長引けば、体力が無くなった順に絶死の腕へと抱かれるだろう。


 しかし、世界は勇者達を未だに見放していなかった。我武者羅に振った翁の杖が絶死の魔王に当たった時、魔王が痛がったのだ。


 魔王と呼ばれる存在と思えない虚弱さを見てとった勇者は、絶死の魔王が『死の呪い』へと一点集中した存在であり、聖なる加護を得た勇者の剣ならば一撃で倒せると予測。


 もちろん己の事である魔王はそれが分かっていた為、最も厄介な勇者を呪うべく、勇者を重点的に狙ってくる。


 だが、先の魔王を倒したコンビネーションを、この成り立ての魔王は甘く見た。ほんの僅かに勇者から注意がそれた瞬間、勇者と戦士は自分達の剣をすり替えた。


 そして、再度勇者へと狙いを定めた魔王が別空間から身体を出したその時、気配を殺していた戦士に横から一刀両断にされた。



「うふふふふ! 短い間の天下だったわね、けど、後悔なんかしてないわ」


「お前も最初の魔王に負けない位、強かった」



 そして、終わりが近付く。最後の言葉を聞き届けるのは勇者たる者の義務である。

 絶死の魔王も魔王たる者の義務として、最後の言葉を人類、いや、勇者へと向ける。


「あは、それって何よりの褒めこと………がぁ!!!」


「魔王!?」


「ちくしょう! またなんかあんのかよ!」


 しかし、それを嘲笑うかの様に絶死の魔王が苦悶の声をあげる。上半身だけになったその身体がまるで内部に何かが這いずり回る様にボコボコと蠢く。


「あっ! がぁ! うっ……ぼぉ!」


 そして、魔王が血を吐きぐしゃりと潰れる。

 だが、悪夢はそこで終わらない。魔王が吐いた血、死体となった身体から数センチ程度の大きさの何かが大量に出てきたのだ。


『我が名は『分裂の魔王』! 守りと絶死は能力に過信しその身を滅ぼした! しかし、我は驕りなどない! 我が分裂を滅ぼし尽くす事など不可能! さぁ、お前達を食い尽くしてやろう!』


 何と魔王戦第3目である。


 あんまりではないだろうか、せめて2連戦で終わっておけと勇者達が叫びをあげる。しかも、オーソドックスな魔王であった守りの魔王や、人外な羽を持ってはいたが人型の絶死の魔王とは違い、分裂の魔王は小さな昆虫型である。


 しかも先ほどまでの魔王の魔力を(むさぼ)り、その数は数えようとも思えないレベルで増え続けている。

 この数の暴力に負ければ、即微R15をすっ飛ばして完全R18Gな展開となる事は想像に(かた)くない。


 それでもやはり、勇者達とは世界に愛されているのだ。

 一度形勢を建て直そうと女が魔を祓う聖なる結界を張ったところ、その結界に分裂の魔王達は手も足も出なくなったのだ!


 勇者達の力でも殲滅することができない様な生存力は確かに有ったのだろう。しかし、まがりなりにも彼女は最終決戦で共に戦える存在なのだ。


 魔王の強大な魔力で強化された攻撃でなければ、その結界を壊すことなど叶わない。

 分裂の魔王は飽和攻撃ならばと間断なく攻めるが、その攻撃による消耗よりも、女の自然回復の方が若干速かったのだ。


 パニックになりかけた勇者達はその隙に完全に体勢を立て直し、冷静になれた。そうなれば、この様な状況はこれまでの旅で一度ならず有ったこと。

 周囲を敵に囲まれ、その度に打開してきたのだ。即座に結界を維持する女以外で頭をフル回転。そう時間もかけずに翁が閃いた。


 今までの相手に隙がなく使えなかったアイテム。エルフに貰った水薬で女と翁の魔力を回復。

 魔王城一帯をもう一枚の結界で空間的に分離。その内部に爆裂と焼失の極大呪文で一掃したのだ。


 如何に分裂の魔王であろうとも周囲の魔力や酸素、その他諸々を一気に焼失されると復活する余力等残るはずもなく。

 分裂の魔王としての本体である1体の蝶しか残っていなかった。







 ここまで来た皆様はもうお気付きだろう。そう、勇者が分裂の魔王の最後の言葉を聞いている途中、地下から伸びた舌が分裂の魔王を補食し新たな魔王となったのだ!


『俺は『頑強の魔王』! 変な能力等必要ない! この強大な魔力で攻防同じ様に強化すれば………ぐはぁ! やられたぁ!』


 守りに特化してようやく互角だった勇者達を甘く見たアリクイの魔王がやられ


『オレが『一点撃破の魔王』! 攻撃こそ最高のぼうぎょべらった!』


 攻撃に特化しすぎてカモネギとなったウサギの魔王がやられ


『儂こそ『魔法の魔王』! 魔法を極めずに何がまおっほぉぉ!』


 前衛が居ない純後衛魔法使いな亜人の魔王がやられ


『ウゾウゾ、生理的嫌悪には負けようて『嫌悪の魔王』、あっそんなの最初の町を出た時に克服しましたか、しっれーしゃーしたー』


 迷走した芋虫の魔王がやられ


『ゲロゲロ『毒殺の魔王』! 装備で毒が無効だと何も出来ないぞぉ! ゲロッパ』


 蛙の魔王等は何がしたかったのかすら分からずにやられた。


 もちろん、上記のような軽い感じで戦っていた訳ではなく、どの魔王も強大な存在であった為、善戦はしていたのだが、その存在が受け継がれて行く度に徐々に魔王と言う存在が弱体化していったのだ。

 まぁ、考えてみれば先に倒された魔王から霧散する魔力を吸収して新たな魔王を名乗るのだ。如何に効率化してもその吸収に無駄が出ないはずもなく。


 更に魔王達に誤算だったのは、先の魔王達の魔力を吸収した為なのか、その特質も一部受け継いでしまっていたのだ。


 もちろん最初の守りの魔王である甲殻や、絶死の魔王の死の呪いだけであれば、それはほんの一部だけでも強力な力となっただろう。


 しかし、利点だけが受け継がれる訳がない。



『ぐふふふふ! 俺様は『耐性の魔王』! とのような衝撃も斬撃も、魔法も俺様にはきかん! 他の魔王を狙うライバル達を蹴散らしてくれてありがとうよ! しかしこれでライバルは全て消えた! せめてもの礼に苦しまない様に我が体内で瞬時に溶かしてくれげばぁ!!!』


「あっ、ごめんまだ何か言ってた?」


 連戦に次ぐ連戦に、消耗しきり虚ろな目をした戦士が体に染み付いた動きで新たな魔王を斬りつける。


『き、きさま! それでも勇者の仲間か! 魔王の口上を妨げるとばぁぁあああっつい!』


「儂もう老体での、耳がね遠いんじゃよ。『体制の魔王』じゃって? 体制への反乱したいなら労働三権から学び直すのがよいぞ」



『何の話だ! と言うか『耐性の魔王』たる俺様の身体が何故熱いなどとくきょょおおぉぉぉ! じょうかされちゃうのほぉおぉ!』


「浄火 浄化 情火 情歌 浄化………あっ魔力キレた。エルフの水薬でゴッゴッゴッ。すー、はー、すー」


『こら! 魔力を補充するな! 深呼吸するな! 何故だ! 俺様の身体に何が起こっている!?』


 絶対に浄化止めないマシーンと化していた女が「浄化しないと、浄化、浄化」と言いながら、辛うじて正気を保っていた勇者に羽交い締めにされ、その温もりに安心して気を失った。


 女は幸せそうな顔で気絶し、翁は疲労から座り込み、戦士は止めの合図を待ちながら血走った眼で、魔王の血に塗れた剣を素振りしている。

 軽く言ってカオスであった。


『何故だ! 様々な魔王達の能力を吸った魔力を纏めあげたこの俺様が何故気の抜けた火の魔法や浄化で致命的なダメージを受けるのだ!』


「能力だけじゃなくて、弱点も吸ったからじゃない? 途中の魔王からどんどん手応え少なくなってきたし」


 その言葉に『耐性(笑)の魔王』が固まる。


『いや、だが、しかし、そんな、そんなことが、そん、そんな! こんなことが!』


 炎への弱さ、氷への弱さ、爆裂への弱さ、斬撃への弱さ。様々な弱点。それは単体であればそこまでではない弱さとも言えない生物としての一部でしかなかった。


 その様な弱さとも言えない弱さだが、塵も積もれば山となる。


 そして、魔王としての頭脳が勇者の言葉に否定の言葉を返せない。それはそのまま自ら事実であると肯定しているのと同じであった。


「まぁ、気の毒だとは思うが、これも世の習い! さぁいくぞ! 魔王!」


「ふーっ! 魔王! コロス! オレ、オマエ、コロス!」


 思考の狭間から勇者の声によって現世へと戻ってきた魔王がギギギと錆び付いたかの様な鈍い動きで勇者達を見る。


「最後まで魔王として抗うが良い! 俺はそれを勇者として迎え撃とう!」


「ゆうしゃ! まだか、オレハヤクキリタイ! コロス! 魔王、コロス!」


 正気を失った戦士を必死に宥めながら、勇者と魔王の最終戦を始めようと、世界を決する一戦を始めようと宣う男に、魔王はフッと笑った。



 あぁ、これが今まで倒れてきた魔王達の気持ちか

 俺様が魔王で、あいつが勇者

 勇者は世界に愛され、魔王はモンスターに愛され

 その期待と力を一身に背負い、自分達こそが生き残るのだと吠えあげる

 敗者に残されるのは根切りの未来、勝者に与えられるのは繁栄の未来

 その最後にあるが故、勝者は敗者に最後の言葉を許すのだ

 負け犬の遠吠えかもしれない、しかしそれは勝者への呪いでありながら賛辞の祝福でもあるのだ

 油断するなと、お前達をいつか倒してみせると、それまで待っていろ、負けるなよと



 ならば俺様も残そう! 最後になるかもしれない!

 だが、これこそが俺様が心のそこから叫ぶ願いであり呪いで祝福なのだ!


 世界に宣誓せんと身体中の魔力を込める


 勇者よきけ! 世界に響け! これぞ我が生き様よ!















「ぷるぷる、ぼく悪いスラ「戦士ゴー!」いぶるぅぅうあぁあぁぁあ!」








 長い戦いの終わりは、その長さに関係なく呆気なく訪れるものだ。

『耐性の魔王』と名乗ったスライムの魔王は戦士の剣によって核を一刀両断にされ、バラバラに散らばり、もう二度と集まる様子を見せなかった。




 そして、世界に平和がもどった!






 しかし、世界に平和がもどったとは言えモンスターが即座に居なくなる訳ではない。

 未だに獣の様なモンスターは世界の至るところに現れる。


 様々な国はモンスターの対処に追われ、魔王撃退から長いときをかけても、未だに最初の魔王が予言した様に弱体化していない。



 そのモンスターへの対処の中で特に変わった事があった。


 かつては斬撃も打撃も効かず、対処法と言えば強力な魔法で焼き尽くすか凍りつかせるしかなかったモンスターが急激に弱体化したのだ。


 そのモンスターはかつての強さは見る影もなく、斬れば死に、叩けば破裂、弱い魔法でも致命となる。


 しかし、その代わりと言った様に魔法を使う亜種、毒を持つ亜種、モンスターを回復する亜種と言った、バリエーションが出てきたのだ。だが、かつてそのモンスターが強かったのは『耐性』がほとんどを占めていた。

 ならば、変わった種が出てきたところで、それは斬れるし叩けるし、魔法も効く他のモンスターと同じ対処で良いのだ。


 どこにでも現れ、甚大な被害をもたらしてきたモンスターの弱体化と共に、国はそのモンスターへの対策として回していた予算を縮小。徐々に強力な魔法の使い手が少なくなってきたが、今はまだ表面化していない。




 そのモンスターの名前は…………







『ぷるぷる、ぼく悪いモンスターじゃないよ!』



 完

きっと倒された魔王達は殺された事でスライム程じゃないけど、弱体化して始まりの町周辺に出てくるよ!

もちろん、とある作品とは全く関係ないよ!

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