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最果ての森のハーフコボルト  作者: よよまる
魔人のアネモネ
55/79

7-幕間.帰宅

短くなっちゃったので、月曜投稿です。

7-幕間


「と、いうことが今日ありました」


 アネモネは風呂から上がり、身体が温まったことで血行が良くなり頬は健康的な薔薇色になっていた。

 メリッサはアネモネの髪の毛を乾かすためにタオルを持ち、彼女の後ろに立っている。

 2人はリビングで今日出会った猟奇殺人犯の話をしていた。


「あの人も『博士』の刺客ですか?」

「いいえ、それはないと思います」


 メリッサは首を振る。


「私がいた頃にそういった者はおりませんでしたし、犯行に薬品や医療器具を使っていることから関係性はないと思われます」

「攪乱のためにそういう猟奇殺人犯のフリをしていたとかは?」

「なくもないですが、目的が不明です。魔力を求めて誘拐するにしても、邪魔だから排除するにしても拷問する必要性が感じられません。それにメイドたちは外で行動するときは2人1組で行動しております」


 メリッサも博士の命令で森にやってきた時は氷の魔術を使うメイプルというメイドと行動を共にしていた。

 任務をこなす上で仕方がない限り、この2人態勢をやめることはない、とメリッサは補足した。


「それなら良いんですけどね。あの人を取り逃がしたことで後々ロゥくんに迷惑がかかったら死んでも死にきれませんから」

「今回は関係ないとは言え、この前ロゥ様が町の近くで倒したゴブリン・バーサーカーは森で私が持ち込んだミノタウロスのような雰囲気があった、と申されておりました。もしかしたら博士の間者が近くに潜んでいるのかもしれないので少し警戒しておく必要があると思います」

「警戒ですか。あ、そういえば私の能力って知られてないんでしたっけ?

 メリッサさんといたもう一人のメイドの方は私が倒してしまいましたし、能力見られたのもその人だけですから」

「どこで監視されているかわからないので一概に知られてない、とは申し上げられませんね」

「私が倒す方の能力使ったのはあのメイドさんを倒す時くらいですよ?」

「はい。博士の能力開発は日々進んでいると思いますので、私の知らない能力ができているかもしれません。

 それに私がいた頃にも、遠くを見たり、他人の視界と自分の視界と同調させて覗き見できる能力者はいました」

「はぁ、ずいぶん便利な能力があるんですねぇ」


 髪が乾ききったのでタオルをメリッサへ渡し、髪留めを使って髪を結い始める。


「アネモネ様は今回のことは如何されますか? 働いている病院の関係者が猟奇殺人の犯人で、被害にもあってしまったわけですから」


 メリッサはタオルを片づけながら、アネモネに説いた。


「何もしませんよ」

「何も? 犯人のことを騎士団や病院関係者には伝えないのですか?」


 予想だにしていなかった回答にメリッサは首を傾げるが、アネモネは興味無さそうにつらつらと話す。


「はい。私は明日も普通に病院にお仕事をしに行きます。博士とは何の関係もないなら放置でいいかな、と思ったんですけど」

「一応、理由をお聞きしても?」

「目立ちたくないと言うのが一番ですね。私が被害者の上に犯人を知っているとなると嫌でも注目されてしまいますから。

 私がどうなろうとも、ロゥくんさえ無事ならそれでいいんです。できるだけ私は他人に干渉されたくないんですよ」

「わかりました。アネモネ様の御意志を尊重いたします」

「ありがとうございます」


 話が一区切りしたところで、家の外から軽快な足音が聞こえる。

 2人はその足音の主が誰かすぐにわかった。


「ただいまー」


 足音の主、ロゥが帰宅した。


「おかえり、ロゥくん」「おかえりなさいませ」

「あれ、何でアネモネ裸なの?」

「さっきまでお風呂入ってたからだよ。ロゥくんも入ってきたら?」


 一日中、あちらこちらを走り回った証拠にロゥは泥だらけだった。


「うん、そうするー」

「替えの服は私が用意しますので、どうぞそのままお風呂場へ行ってください」

「ありがとー、メリッサお姉さん」


 ロゥは風呂場へ直行し、アネモネとメリッサもそれぞれ服を取りに2階へ、夕食の準備をするためキッチンへと移動した。

次章はこれまでロゥが出会ってきた人たちの話をメインで書こうと思います。

あまり長すぎると本筋から脱線してしまいそうなので、気をつけないと……。

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