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キメラ

ブックマーク数が少しずつ増えてるのをみると、とても嬉しくなりますね(*´ω`*)



「はぁ……凄く疲れた」


(お疲れ様。でも意外だったわ。貴方が人間を助ける為に魔力の供給を絶つなんて……その癖、私の能力スキルだけ使うなんて)


いや、まぁ俺にも思う所があってな



目の前で横たわる少年を見つめながら、俺は肩を上下させ、傍にあった木にもたれ掛かる。


俺は嫉妬に少年の記憶を見た後、直ぐに嫉妬からの魔力を絶った。あのまま嫉妬の魔力で能力を使っていれば、きっと少年の精神は崩壊していた。


途中からは、俺の魔力で少年の記憶をコントロールしていたが、それがかなりきつかった。




うぅ、気持ちが悪い……まさか記憶に引っ張られそうになるなんて……もう二度としないぞ……


(大丈夫?膨大な記憶を処理した気分はどう?)


一言で言うなら、最悪だ。あ、そうだ。お前に名前を付けてやる


(え!!!本当に!!!)


うーーん、……クレビーでどうだ?


(貴方がつけてくれるなら、何でもいいわ♪また呼んでね♪)




そう言い残すと、手の中から短剣が消えて行った。




♦♦♦♦




少年の治療をしてからサミエルの所へ行き、また少年の方を振り返ると胡坐をかく女と何やら話し込んでいた。




「さて、どうするか」

「やはり、殺しますか?」

「……直ぐそこに直結させるのは良くないぞ。サミエル」

「申し訳ありません」




恭しく頭を下げるサミエルは、人間達に冷たい視線を向けていた。だが、表情はいつもと変わらないのがサミエルの怖い所だ。




「取り敢えず、あのサミエルが捕まえた女に話を聞く」

「はっ畏まりました」




サミエルの一礼を横目に、俺は女の元へと歩き出す。話し込んでいた女は、此方が近づいてくると何の用だ?という目で此方を見上げてきた。




「お前たちは、誰の命令で動いている?令嬢を攫った理由は何だ?」

「……さぁな、私は知らん。取り敢えず、私はあんた達に闘う気がないなら何もしない事だけは確かだ。それに、カナレア嬢が奪還されちまったこの時点で、作戦は失敗してる訳だし、私としては部下達を無事に返したいんだが」




女は俺とサミエルを交互に見ながら、両手を上げる。どうやら本当に何もする気はないらしい。




「……そうか。残念ながら、お前たちをこのまま逃がす訳にはいかない。ディーレ伯爵邸に連れて行く。その前に、ミリアに魔法か何かで今日の俺たちのこの姿を改ざんして貰うからな」




俺がそう言うと、女は渋い顔をするが直ぐに分かったよ。と承諾した。



♦♦♦♦




「……遅い」

「そうですね……」




俺はサミエルを連れ、女と少年から距離を取りながら、未だ帰らないミリアとラオルを待つ。正直、今闘ったばかりの敵とはあまり長いこと一緒に居たくない。


ただただ気まずい。




「二人は伯爵令嬢を屋敷に届けに行ったんだよな?」

「はい。その筈ですが……」




歯切れの悪い言い方をするサミエルも、俺と同じように遅いと感じているのだろうか。サミエルも屋敷の方向へと顔を向けた。


さっさと屋敷に連行してしまいたいが、ミリアが来ないと連中の記憶の改ざんができない。まだ待たないとダメか。と内心諦めていた。




「これじゃあ暫くは戻って来なさそうだな。先に尋問でもしとくか」

「あの、アヴァニール様」

「ん?何だ?何か……待て。…………何か居るぞ」

「………確かに。何か居ますね。それに、包囲されてる様です」



俺とサミエルは、辺りの草むらを一通り眺めた。周りに何かが居る。それは先程最大限に下げた、探知能力に引っかかったものだ。


だが、おかしい。


先程までは何の気配もなかったのに、突然周りを囲う様に現れたのだ。どういう事なのか考えていると、ガサ……と草むらから音を立てて出てきたのは、動物の足だった。


茶色い毛の細い足が草むらから飛び出している状態に一瞬だけ気を抜くが、その横から何故か人間の手が出てきた。単に人間が動物を捕まえたのかとも思ったが、そうすると手の向きがおかしい。


人間の手は、掌が地面に向いていたのだ。そして、だめ押しにとばかりに、サミエルが口を開いた。




「何か、おかしいです」

「何がだ?」

「あの足は、ここらで見かける草食動物『シーフ』の足です」

「あぁ」

「シーフは大変臆病な生き物で、人間は愚か同じシーフが寄って来るだけでも逃げ出す程です」

「……つまり、人間とセットで、俺たちの前に現れること自体が、変だっていいたいんだな?」




その俺の問いにサミエルが答えるよりも先に、その疑問の種である本体が姿を現した。出てきたのは、茶色い毛を生やす胴体に、頭から四本の角が生えた動物。


だが、その動物の頭部の右横からはグラグラと揺れる人間の頭部があった。茶色の胴体からは、人間のものと動物のものが混在しているが、何故か一本だけ手がついている。


先程見えていたのも、あの手だろう。


もう片腕は、どこにもその面影がない。だが、左側から何かグニョグニョと蠢く塊が補うように付いていた。その生き物の様な何かは、俺たちの目の前で止まり此方を見つめていた。




「な、んだ……アレは……」







一言で言うならば、『化け物』。




そして、その化け物には、目がなかった。


よく見れば、両眼を何かで抉られた様な跡がある。くり抜かれた目の部分からは、紫色の液体がポタ、ポタ、と落ちている。それは右横から出ている人間の頭部も同じだった。




何だアレ!!!キモいしグロイし、何より怖い!!!!!!!




その時、後ろからあの女の声が聞こえた。




「……キメラ」

「おい、キメラってなんだ?あの化け物の事か?」

「い、いや……私も文献でしか知らないが……キメラは人工的に生み出される戦闘兵器だ。だが、キメラを作るのはかなり難しい、いや、ほぼ無理だと言われているものだ」




女は驚きながら、キメラを見つめると俺たちと同じように辺りを見回す。女の部下たちは、青ざめた顔で化け物を見つめていた。




「数が……10、25……もっといます」

「あぁ、分かってる。おい、そこの二人、死にたくなければ自分の身は自分で守れよ。そこのお前達も!しっかりしないと死ぬぞ!!」

「言われなくとも。おい!私の部下なら、ビビるんじゃないよ!しっかりしな!」

「……殺す」




多勢に無勢である中で、俺とサミエルと云えど弱い者を守ってやってやれる程、暇にはならないだろう。そこまで考えた時、何で自分はあの人間達を助けようとしている?と疑問に思ったが、突然襲い掛かってきた敵に、現実に引き戻された。


様々なキメラが、此方に向かってゆっくりと歩みを進めていると、木の上からラオルとミリアが降ってきた。




「只今戻りました!!って、何ですかこの状況!!」

「………」




キメラを指差したミリアは、何ですかソレ!!と何やら興奮気味に尋ねてきたが、その横に立っていたラオルは既に武器を構えていた。


そして、ミリアは何故か割りとグロテスクなキメラを見つめて、可愛いとはしゃいでいた。何処をどう見たら可愛いという言葉に行き着くのか不思議だが、今はそんな細かい事に突っ込んで聞く場合ではないし、余裕もない。


此処に居る全員で、このキメラ達を掃討しなければならないのだから。




「これはキメラだ!!お前達も早く倒すのを手伝ってくれ!!」

「はい!!」



評価数増えて欲しいorz

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