表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/65

アルバイト


「いらっしゃいませっス!!」

「いらっしゃいませー」

「いらっしゃいませ」




三者三様の声が響く店内には、サミエル、ミリア、そしてマーラの側近であるセバスチャンが働いていた。




「なんで、私が、こんな、変態とっ!!同じ場所で働かなきゃいけないのよ!!!」

「煩いですよ、小娘。仕方がないでしょう。マーラ様直々に決められた事には、我々は拒否出来ませんからね」




きびきびと働く二人であったが、お互いに恨み言を吐きあっていた。それを見ていたセバスチャンが、腕を大きく振りながら怒りを表現していた。




「もー!!いい加減にするっス!!喧嘩なんてしてたら、お客様がお店に入ってこないっス!!」




ほら今だって!!と言ってセバスチャンが指差したのは、店の外にいる大勢の女性客と男性客だ。店内を覗き込む様に、或いは横目でチラリと見たりと、様々な客達が店の外に立っていた。




「……あれは、明らかに私達の事が気になり、いつ店内に入ればいいのか分からずにいるのでは?」

「人間って、本当に気持ち悪い……」

「ミリアさん!!そういう事は今言っちゃダメっス!!!裏でならいいっス!!」

「いや、それも聞こえると思いますけどね」




三人の今いる店は、マーラが経営しているブティック店だ。マーラは他にも、化粧品、魔具のオリジナルデザイン店など、人間世界で多くの店を手掛けている。そして今回、手伝う此処はマーラの経営する武器屋とブティック店、二つが繋がっている店なのだ。武器屋では、マーラ、アヴァニール、ラオル、レウ、ロウが働き、此方ではサミエル、ミリア、セバスチャンが働くことになったのだ。




「でも、なんで私は彼方でなく、このブティック店なのか……疑問でしかないですね」

「あぁ!!それなら、マーラ様に理由を聞いてるっス!!ミリアさんは、女の子だからって言うのが理由っスけど、サミエルさんは『イケメンだから客寄せに使えるし、あの笑顔で微笑まれたら、どんな女の子もイチコロで進められた服買っちゃうわよぉ♡それに、サミエルちゃんも女の子の気持ちって分かってた方がいいと思うのよねぇ~♪』ってマーラ様が言ってたっス!!」




何の悪気もなく言っているセバスチャンは気付いていないだろうが、サミエルの口元はひきつっていた。サミエルとしては、アヴァニール意外にそんな扱いを受けたくないということなのだろう。隣に立っていたミリアは、完全に遊ばれているサミエルを見て、笑いを堪えきれず音に出していた。




「小娘!!今笑いましたね!?」

「別にー」

「……許さん。使えない小娘より、私の方がアヴァニール様に貢献できる事!!此処で証明してやる!!」

「な、私の方があんたの数百倍は役に立ってるわよ!!!」


「……もうこの二人の仲裁、俺に務まる気がしないっス……誰かぁ!!何とかしてくださいっス~~!!!」




セバスチャンは、火花を散らす二人を見つめ叫んだ。




♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦



武器屋には、様々なお客がやって来る。魔物の討伐隊用の武器に新米兵士の武器選び、亜人種達も武器を買い付けに来ているのか、ちらほらと見かける。




しかし、色んな武器が置いてあるな……




店の中はそんなに大きなスペースがあるわけではない。実際、誰かが後ろを通ったりすれば結構な確率で身体がぶつかる。そんな店内だが、品物は全てショーケースの中に入っているので見た所ごちゃごちゃと品は置かれていない。ケースに入っていると言っても、全てが高価な品物という事もない。中には手の出しやすい品もあった。




うーん、結構安いがかなり良質な素材で作られているな……一体どこでこんなの仕入れてくるんだ?




俺がケースの前で佇んでいると、アヴァニールちゃん。と声を掛けられた。



「ん?どうした?」

「お仕事中ごめんなさいねぇ。実はさっき、隣の店からセバスチャンが来たの。それで、誰かあの二人を止める係が欲しいって言うから、ロウちゃんに行って貰っちゃったのぉ。勝手にごめんなさい」




両の掌を胸の前で合わせて見せるマーラに、何だそんな事かと思いながら、構わないと話す。




「まぁ元々あの二人だけっていうのが不安だったんだ。ロウはまぁ……丁度いいんじゃないか、と思う」

「良かったわぁ♡アヴァニールちゃんにそう言ってもらえて♡」




ウフフ、と微笑むマーラは胸の前で合わせていた手を右頬に持っていき女性らしいポーズをとる。すると、マーラの後ろから誰か男の声が響いた。




「あ、そうだわ。お客様を待たせちゃってるんだったわぁ。ラオルちゃんとレウちゃんが実演販売してくれてるお陰で売り上げも上々よぉ♪アヴァニールちゃんも、皆に負けないように、頑張ってねぇ♪」




ウフフフ♪と機嫌よく笑ったマーラは、お客の待っている所まで駆け足で行ってしまった。



♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦



「お嬢様、貴方には此方の方がお似合いですよ」

「あ、そうですか……?」



「キモエルが更にキモい……」




ブティック店は、多くの客で賑わっていた。勿論その殆どは女性客で、サミエルの前に客が一列に並ぶという奇妙な光景が広がっていた。




「人間って単純に脳ができてて羨ましいわ……」

「……ミリアさん、仕事をしましょうよ」

「分かってるわよ。でも私の所に来るのって人間の雄ばっかりなの。だから、此処に一時撤退をしてるのよ」




ミリアの今居るのは、店の裏だ。裏には色々な商品が山の様にあって、ロウはそれを店に運ぶ仕事をしている。ミリアは店との仕切りであるカーテンの隙間から、サミエルを覗き見ていた。




「あー人間って本当に気持ち悪い種族よね」

「うーん、俺は特に思わない……ですね」

「あんたも頭の作りが単純だからよ、きっと」




え、それ暗に俺の事気持ち悪いって事か、です?と聞いてきたロウの言葉を無視し店内を覗いていると、セバスチャンが此方に向かって歩いてきた。そして、勢いよくカーテンを開けると、探したっス!!と笑顔で声をかけてきた。




「ミリアさん!!俺と一緒に買い物に行ってほしいっス!!」

「は、はい?なんで?」

「いやぁ、俺マーラ様にいつもお昼の買い出し頼まれるんスけど、俺馬鹿なので道覚えられなくて!!今日も買い出しに行かないといけないから、丁度手が空いてそうなミリアさんにお願いするっス!!」




ミリアに買い出しリストを手渡したセバスチャンは、さぁ行くっス!!とミリアの手を掴み、店の裏口から外に行ってしまった。途中ミリアが何か言っていたがそれよりも早くセバスチャンが連れ出したので、聞き取れなかった。



「……嵐のような人だな」




一人残されたロウは、自分の仕事に取り掛かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ