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偽リカ真カ

久しぶりの更新ですかね?



「……なぁ、一つ聞いてもいいか?」

「はい。アヴァニール様」

「……城は?」




俺がこうして聞いていると、俺の頭がおかしくなったように聞こえるが、そう聞かざるを得なかった。実際目の前に来て、本当に城がないのだから。




「なぁ、俺の目がおかしいのか?」

「そ、それはー……ですね……」




珍しく言い淀むミリアを見るのは先程と合わせてこれで二回目になる。さっき歯切れが悪かったのはこのことがあったからだろう。そんなミリアの隣に立っていたラオルが突然俺に語り掛けてきた。




『アヴァニール様、これには深い訳がありまして……』

『なんだ、言ってみろ』

『私とミリアは、アヴァニール様の城の再建に尽力すべく、この地に訪れました。その後、大工達と城の構図を考えておりました。ですが、私とミリアの意見が合わず、現在城は幻覚魔法で映しているのです』




その後のラオルの話を聞くと取り敢えず城の建つ範囲分の地面を宙に浮かせ、幻覚魔法で納得のいく城のイメージをつくって外から見ていたらしい。ラオルとミリアは、申し訳ございません。と深々と頭を下げた。その姿に、俺の横に立つサミエルだけが笑いを堪え、震えていた。




「……あー、分かった。分かったから謝るな。お前たちは、俺の為に頑張ってくれている訳だしな……俺的には、威厳のある城ならどんなものでもいいぞ。あ、さっき映してた感じの城がいいな」




俺がなんてな。と言いながら笑うと、ミリアとラオルは顔を合わせた後、流石はアヴァニール様!!と目を輝かせた。




「実は先程の城が、ようやく私とラオルが納得のいく城のイメージだったのです!!」




やはりアヴァニール様は、分かって下さるのですね!!と嬉しそうに言うミリアと、これまた嬉しそうな表情のラオルに、俺は小声でそうか。と返事を返した。




適当に言ったけど、当たってたのか~……なんて言えないな




俺が二人に苦笑いをしていると、今度は隣にサミエルがとんでもない事を言い始めた。




「……ふっ。どうやら、お前達にはまだアヴァニール様のご配慮に気が付いていないのだな。いいか?アヴァニール様は、そんな事全てご存じだった。それを知っておられてもなお、お気遣い下さり、さり気なくお褒め下さったんだよ」




得意げに話し、勝ち誇った表情を向けたサミエルは直ぐに俺に笑顔を向け、そうですよね?と聞いてきた。




「ん、んん…………そう、だな」

「さ、流石はアヴァニール様!!私、感動致しました!!!キモエルに言われたのは腹立たしいけど!!!」

「---ッ!!!~~~ッ!!!」




今にも泣き崩れそうなミリアと、既に泣いているラオルに俺は更に表情を硬くした。余計なことをしたサミエルは、俺の顔を見ながら微笑んでいる。俺は必死に表情を作り、心の中でサミエルを罵倒すると、同時にまだ当分は仮拠点住まいになる事を考えた。




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「………………」


『嫌いじゃないの』


【幻想】


『必ず、迎えに』


【嘘】


『ドルマ』


【お前は】


『愛してる』








【愛されなかった】








「………」

「ドルマ。もうその辺にしとかないと、人形が壊れる」




ドルマは聞きなれたその声に動きを止め、目の前にある戦闘用機械人形を見上げた。機械人形の損傷は激しく、首が落ち掛け腕がもげていた。短い呼吸を何度かした後、ドルマはナイフをしまいゼノンの元へと歩いていく。静かに椅子に座りながら朝刊を読むゼノンは、ドルマがやって来るとタオルを投げた。




「………」

「拭け、汗臭いぞ」

「……うん」




会話の中でも朝刊から目を離さないのはゼノンが何かに集中している証拠だ。ドルマはゼノンの邪魔にならないように汗を拭くと、そっと傍に立った。




「……どう、したの?」

「あぁ……最近な、この国に嫌な噂が流れてるなぁと思ってな」




朝刊に書かれたゴシップ記事に目を通し終えたのか、ゼノンは新聞を手の甲で一度叩く。




「でも……ゴシップなんて、いくらでも……ある」

「まぁ、そうなんだがな……」




ドルマは一瞬だけゼノンの表情が変わったのに気が付いたが、それも一瞬だけの事だったので特に聞き出そうと思わなかった。大体、ゼノンが自分に隠し事をしているのはこれだけではない。と勝手に思っている。だがドルマは、それはやはり自分などでは到底理解のできない話なのだろうと割り切っていた。




「それよりもだなぁ。ドルマ。ちゃんと依頼はこなして来いよ?でなければ、またお仕置きだからな」

「…………ごめん、なさい。でも、ちゃんと………やるから」




ドルマはこの間、ディーレ伯爵邸から戻ってきた後、ゼノンに直ぐに報告した。その時の彼女の怒り様は、なんと言い表せば良いのか分からない程のものだった。思い出すだけでも全身の肌が粟立つほどの恐怖が押し寄せる。その様子を見ていたゼノンがドルマの頭を撫でた。





「まぁ、ちゃんとやるなら別にいいさ。あぁ、私もついて行くからな」

「……うん」





ドルマは少し痛いくらいに自分の頭を撫でるゼノンの手のひらが好きだ。ゼノンに頭を撫でられている時は、その豆だらけの手が優しく触れて、自分を守ってくれている気がするのだ。




(あった、かい、な)




ゼノンは撫でる事に一頻り満足したのか、ドルマから手を放す。ドルマは少し名残惜しそうにしていたが、直ぐにいつもの様に髪を直すとゼノンの言葉を待った。




「よし!!!これから私が稽古をつけてやるから、あっち行くぞ」

「………うん」




ドルマはゼノンの手に引かれ、闘技場の真ん中へと足を運んだ。



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