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十の魔王①

目の前には、大きな椅子に腰を掛ける魔王達の姿があった。そしてその全員が、此方に目を向けている。魔王達の射抜くような鋭い視線に身体が穴だらけになりそうな気さえしてくる。



だから最初に部屋に入ってたかったのに……うおおぉ、凄い見られる……というか、なんでグラドは動かないんだよ!!……これは、あれか?俺が先に行かないといけないパターンなのか?



魔王達の視線にビビっている場合ではない。これから俺は、どちらかの通路を通って(多分だが)一番奥の空いている席に座らなければならないようだった。



とりあえず、歩かないと……



焦る気持ちとは対照的に、身体は意外にもすんなりと動き出した。通路の右手側に歩き出し、優雅にだが素早くを心がけ魔王達の横を通りすぎていく。グラドはどうやら俺の後ろを歩いている様で、後ろから複数の足音が聞こえてくる。やはり、先に歩き出すのを待っていたらしい。席の前にやって来ると、グラドはもう一つ空いていた左側の席に腰を下ろす。



おい、お前席左なら俺の後ろじゃなくて、普通に左側通って良かったんじゃないのか……とは、言いづらいな、この空気……



そう思いながらも中央の席に座ると、先程の空気が更に威圧的なものへと変わる。重苦しい空気に見る魔王達の目、それだけでも帰りたいという想いは膨らんでいくのに、目の前の魔王達は、その異質さを醸し出す。



重苦しい……呼吸がしづらい……もう、何でもいいから早く終わってくれ……



俺は魔王達に悟られないように、上手くポーカーフェイスをしていた(つもり)。すると、グラドがまた大きな声で言う。



「さて!!!久しぶりだな諸君らよ!!!まずは記憶のほとんどないアヴァニールの為に、自己紹介をしてもらうぞ!!!」



グラドが言うと、席から一番遠い、(多分だが)末席の男がおずおずと手をあげた。その男は今まで見たことない角が生えていて、額には目の模様が描いてあった。



「で、では……私から……」



遠慮がちのか細い声が此方まで聞こえてきたが、直ぐ横からグラドが大きな声で喋り出した。



「まずは俺から名乗ろう!!魔王軍第二席、グラド・ブレイズ・ヘイリオンだ!!!!」



先程まで手を挙げていた男は、グラドの豪快な挨拶に委縮したのか挙げていた手をゆっくりと下げていた。



可哀想に……



「……おい、貴様。此処は末席からの挨拶が常識だろう」



グラドの対面する形で座っているルクシアが言うと、あっけらかんとした態度で言ったもん勝ちだろうと言って笑う。ルクシアは何か言いたそうな顔をするが、結局何も言わずに一度だけ咳払いをして喋り始めた。



「魔王軍第三席、ルクシア・エル・ロードだ」



次にグラドの横に座っていた老年の男が、ふぃー。と謎の声を出した。その男は金色の髪をオールバックにしている。そのオールバックの生え際から二本黒い角を生やし、左目には切られたような跡があった。老年に見えるが、褐色肌の身体は筋肉質で、腹筋が見事に割れている。



ていうか、上はほぼ裸体だな



「俺は魔王軍第四席、ジーク・ロアグランドだ。こっちは俺の第一側近のセティだ。またよろしくな、アヴァニール」



机に頬杖を尽きながら俺に手を振るジークは、両腕が肘までが何か黒い硬そうな手になっていた。その後ろには何やら儚い雰囲気を漂わせる髪の長い女性が佇んでいる。服装はグラドと同じ着物で、彼女も二本の角が頭から生えていた。セティは俺に軽く礼をすると、静かに俯いた。



「よろしくな。ジーク」

「おぅ。じゃあお次さん、どーぞ」



ジークが反対側を顎で示したので、今度は反対側に目を向けると、口になにやらくつわをした女の子が座っていた。白髪のショートカットに赤い肌、そして頭には小さな赤い角が顔を出している。黒い半そでの服にフードがついているモノを着た女の子は、俯いていたがジークの声に顔を上げる。



「……魔王軍、第五席……クライア・エヴァゾーク………側近、スプライト」



クライアと名乗った女の子の後ろには、白銀に紺碧の縦線が入った短髪の何かが浮遊している。生気の無い白い身体は、胸より下が煙状になっており、腕も二の腕より先が無い。


だが、その先があるかのように手だけがまた浮遊していた。両手はそれぞれに色が違い、左側が鮮やかな翠色、右側が深い青色だった。瞳は黒に金色と、闇夜に光る動物の目の様だ。だか、その浮遊している者は、申し訳なさそうな表情で俺に頭を下げた。



「おい、サミエル。あの子の後ろにいるスプライトって子は何なんだ?」

「あれは幽鬼ゆうきと言う魔族の一種です。幽鬼は実態がないので、物に触れるときなどは誰かの身体にとりつきます。幽鬼の特徴としては、時に人間に取りつき、生命力を吸い付くしたりします。魔族、魔物にも取りつく事がありますが、上位種になると身体に取りつく事は出来ないようです」



因みに食事などは摂取する必要がありません。と、サミエルの解説に首を縦に降っていると、突然誰かの昂った声が部屋に響いた。



「サミエル~~~!!我が愛しの弟~~!!♡」



サミエルと呼ぶ男の顔を見て、納得した。蒼銀に煌めく髪と、前に降り曲がるようにして生えた角以外は、サミエルに似てなくもない。特に、笑った時の顔はサミエルと瓜二つだ。



そう言えば、サミエルには兄が居たんだったな。……まぁ、きっと久々に会ったんだし、少しくらいは話させてやるか……



「おい、サミエル」

「人違いです」

「え、いや」

「人違いです」



俺の言葉に完璧な微笑みで返すサミエルになにも言えなくなると、はぁぁあぁと変な声が聞こえてきた。



「サミエルッ!!!その兄を兄とも思わない、血縁関係すら認めない!!寧ろ赤の他人扱い!!!イイッ!!♡流石は私の愛しい弟♡♡」



身体を震わせ、口の端から涎を垂らし、ハァハァと息を荒げる姿に、俺はサミエル以上にドン引く。俺が心の中で、あの兄あってこの弟ありか……と考えていたら、(略して)サミ兄の後ろに居た執事の格好の、背の高い男が頭を下げた。



「申し訳御座いません、ヴァルフレイ陛下。我が主に変わりまして、ご挨拶申し上げます。魔王軍第六席、ウィズダム・ド・ラグニイルとその側近であります、ベリタスと申します。よろしくお願い致します、ヴァルフレイ陛下」



ベリタスが一歩後ろに下がると、先程まで気持ち悪い事になっていたサミエルの兄、ウィズダムが改めて俺に、よろしくお願い致します。と挨拶した。



「あ、あぁ、よろしく……」



サミエルには無視されているのに、未だに手を振るウィズダムを無視スルーして、俺は次の人物に目を向ける。次の席には、少女が二人とその二人に抱えられる人形が一体、座っていた。



まさか、あの二人が魔王、か?



二人の少女は、目で見て分かる程の対極した色同士だった。


一人は黒をベースにしたフリルの沢山ついた服で、髪はかなり短い。そして、右目ははっきりと見えているが、左目は前髪とその上につけている黒い帽子で見えない。

もう一人は、白をベースにしたフリルの服に、長い髪を一番下でカールさせている。頭の上には白いヘッドドレスをつけている。目元は、黒服の少女とは逆に左目を出し、右目を隠す様にしている。



その二人に抱えられる人形は、まるで子供が寝ているかのような表情をしていた。



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