表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/65

お嬢様と暗殺者②

「か、カナレア!!!」

「お父様!!!助けて!!」



涙目になりながらカナレアが叫ぶと、ディーレは衛兵に娘を助けるのじゃ!!と命令をする。だが、衛兵たちはその場を動かなかった。それどころか、衛兵たちはその場に倒れ込んでしまった。首から血を大量に流しながら。



「なっ!!」

「嫌あぁぁぁぁあ!!!」



目の前で倒れた衛兵たちの姿に驚きの声を上げる。ディーレは直ぐに違う衛兵を呼ぼうとしたが、突然後ろから何者かに頭から押さえつけられた。



「ぐぁっ!!!」

「………フューエル」

「ドルマ様。単独行動はあまりお勧めいたしません」



若い男の声にディーレは横目で顔を見る。ほとんどを布で覆い隠しているためにその表情は分からないが、ディーレにはおおよその見当がついた。



「お前たちは、暗殺部隊かっ!!!」

「その通り。ですが、返答次第では生かす予定ではあります」

「私はっ、もう何もしない!!!お前らの主人にそう伝えただろ!!!」

「ふぅ、そのご意思は変わらないようですね」



ディーレを押さえつけていた男は、ディーレを掴んで起き上がらせるとカナレアの方へと目を向けさせる。



「お父様」

「カナレア」

「………」



すると、カナレアの腹の上に跨っていた女の子が立ち上がり、今度は髪を引っ張ってカナレアを膝立ちにさせた。



「うっ、痛ッい……」

「………じゃあ、殺すね?」



女の子は何の躊躇もなく、手にしていたナイフでカナレアを刺そうとして振り上げた。その時、カナレアの頭の中には走馬燈が駆け巡ると同時に、思う事があった。



(あぁ……私は此処で死んでしまうのね……もっと幸せな死に方が良かったな……)



カナレアは迫りくるナイフを一度見た後、目を閉じた。

だが、そのナイフはカナレアに届く前に制止した。女の子を制止させたのは、ディーレの言葉だった。



「やめてくれ!!!」

「………」

「その子は……その子は私のたった一人の、大切な娘なんだ……」

「おや」



その声にカナレアは目を開いた。そして、父であるディーレを見つめた。



「お父様………」

「お願いだ、娘の命を奪うのなら、私を殺してくれ……娘だけは………」



力強く言い放つディーレに、カナレアは涙を流した。だがその涙は嬉しさから痛みの涙へと変わる。髪の毛をぐいと引っ張られ、痛みに顔を歪めたが、それよりも強い恐怖に支配された。自分の髪を引っ張る女の子を見上げると、恐ろしい形相で父のディーレを睨んでいた。



「…………本当か?」



絞り出した声を出す女の子は、ディーレを恨めしそうな目で見つめると更に力を籠める。



「………なら、三日、猶予をやる。お前の大切な、娘を………守って見せろ」



そう言って髪を握っていた手で、カナレアを放り投げた。すると、今までディーレを押さえつけていた男が拘束を解いた。拘束が解けた事でディーレはカナレアを受け止め、座り込んだ。



「カナレア!!!」

「お父様!!」



カナレアはその直後に後ろを振り向くが、女の子と男の姿は既になかった。ただ、また窓から流れてきた風がカナレアの頬を掠めていった。



「よろしいのですか?ドルマ様」

「…………何が」



ドルマは走りながらフューエルに目だけ向ける。先程ディーレ伯爵邸を出てきてから、ドルマは何か殺気立っていた。



「任務を中断して帰られるなど………それに、いつもの雰囲気と違ってらっしゃるので」

「………別に………ただ、腹が立ったから………あいつらは、俺が、殺す。何も、問題ない」

「………そうですか」





静かな夜、雲間から月明かりが覗いていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ