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魔王会合

「会合って……魔王のか?」

「そうだ!!魔王たちの会合だ!!!」



グラドが楽しそうに言うと、すかさずルクシアがその補足説明をする。



「会合では、自分の統括している地域の現状報告、人間及び地域の現状、魔物たちの活動記録などを話し合う場だ。まぁ、魔王たちによる情報交換の場と言った方がいいだろうか」

「情報交換か……」



何より人間たちの動きや、他のまだ会っていない魔王たちに会えるのだから、俺にとっては願ったり叶ったりな話だ。



一体どんな魔王がいるのか……それに、もしかしたら俺の過去の事を知っている奴がいるかもしれない



「どうしたアヴァニール。顔がにやけているぞ?」



グラドが突然横から顔を出し、首を傾げて見せた。俺は何を言っているんだと思いながら、自身の口元を持っていたグラスで見ると、俺は笑っていた。どうやら無意識に笑ってしまっていたらしい。



「あぁ……どんな魔王が居るのか楽しみだと思ってな」



俺が空笑いをしながら言うと、グラドはそうか?と言って顔を引っ込めた。



「じゃあ、早速会合の準備を」

「……待て。私は同意した覚えはないぞ」



グラドが勢いよく立ち上がったのを、ワイングラスをテーブルに置いたルクシアが制止させた。



「何だ?何か言いたい事でもあるのか?」

「大いにある。あの煩い馬鹿共に、付き合ってなどいられるか。私は忙しいんだ」



そう言ってルクシアは腕を組んで見せた。その表情は誰が見ても怒りを露わにしている。指は小刻みに組んだ腕をトントンと叩いていた。それを見ていたグラドは、先程とは違い何か勝ち誇ったような顔をしている。その二人の様子を交互に見ていると、突然グラドは俺の横に座り込んできた。



「うぉ!?」

「ふっふっ………ルクシア。今回はお前の我が儘でどうにかなる問題じゃあないぞ?これはな、アヴァニールの為なんだ!!!」



俺の肩を掴みながら言うグラドに俺は驚き、その瞬間ルクシアはトントンと叩いていた指を止め、一度だけ眉を動かした。



「……アヴィーの?」



怪訝そうに言うルクシアの視線は、一度俺に向けられたがすぐにグラドへと目線が変わった。俺は今自分が巻き込まれている現状に、冷や汗が流れてきそうだった。お願いだから、俺を巻き込まないでくれ、と次からはグラドに言っておこうと思った。



「そうだ!!アヴァニールはまだ俺たち以外の魔王とは会っていない。それに、アヴァニールが居なかった間、会合は開かれていない。以上、この二つにより会合は開くべきだ!!!」



グラドは俺の肩から手を放すと、握りこぶしを作りながら立ち上がる。その姿を俺とルクシアは静かに見ていた。すると、静かになった応接室に一人の拍手が響き、その方向へ顔を向けると、サリヴァンが無表情のままグラドに拍手を送っていた。



「流石ですグラド様。私、感動いたしました」



その言葉に、グラドはへへっと鼻の下を擦る。一方、ルクシアは溜息をついてから少し考えて、仕方が無い。と口にすると言葉を続ける。



「今回は貴様にのってやる。が、次はないぞ」

「ふん。ご協力感謝するぞ。氷帝殿?」

「……」



俺が口を挟むまでもなく話が纏まってしまい、なんだか手持無沙汰になってしまった俺は、会合についての質問を二人に投げ掛ける事にした。



「なぁ、会合って何かルールみたいなのとかあるのか?」

「……うーむ、一応……ない事もないが……俺は覚えてないな!!!」

「貴様は会合に出される料理を端から端まで食べているだけだからな。私が、会合のルールについて一通り話そう」



隣で喚くグラドを無視し、俺はルクシアに悪いなと声をかけてから話を聞いた。




一つ、会合に魔王は絶対参加であること。もし破る事があれば、地域及び地位の剥奪となる。

二つ、会合には魔王とその部下一名の同行を義務とする。

三つ、魔王、並びに部下の争い事を一切禁止とする。主に、暴力行為、魔法を禁止とする。




「以上、この三つを魔王会合の規定とする。……と、こういった取り決めだ。ちなみに、絶対参加ではあるが途中退席は可能になっている。最初に全員が揃っていれば良い、という事だな」

「まぁ、魔王にもする事とかあるしなー……」



まぁ俺は暇だけどな!!と笑いながら言うグラドに、サリヴァンがちゃんと仕事してください。と口を出す。そんなグラドに苦笑いしながら話を進めた。



「話し合いの議題は誰かが決めるのか?」

「いや、特にそう言った事はないな。基本的に各々が好き勝手に話している」



そこまで言って、ルクシアはまた溜息をついた。



「殆ど魔王は、自己中心的かつ怠惰的。そして何より統一させようという意識の皆無。私はそんな馬鹿共が集まるような所には極力行きたくはないのだが……友であるアヴィーの頼みならば、断るわけにもいかないな」

「そうか、ありがとな」



……何か俺がルクシアに頼んだみたいになってるな……



俺はその事に触れた方がいいのか考えたが、グラドはその事に気が付いていないようなので、態々話を拗らせる事もないか……と思い、言葉を心に留める。



「よし!!話も終わったとこだし!!俺たちは一度城にもどろうアヴァニール!!!」

「え、あ、そうだな」



本当はもっとルクシアに聞きたい事があったのだが、今日は一度話を持ち帰ってその会合に備えたい気持ちもある。だがそれよりも気になっていた事があった。



「お前たちは、会談しなくていいのか?」



俺が今まで感じていた疑問を口にすると、グラドとルクシアはあ、そうだった。と言う顔をした。どうやら話し込んでいたせいで本題を見失っていたらしい。



「……ま、まぁ。今日の所はいいんじゃないか?」

「グラド様。いけませんよ」

「い、いや……ほら!!アヴァニールを一度城まで送らないと!!」

「それは私が致しますので、グラド様はどうぞ心置きなくルクシア様とお話しください」



グラドは最初俺に助けを求めようと此方を見たが、俺は目を逸らした。すると今度はルクシアに助けを求めて視線を送るが、ルクシアは何だその目は。というような冷たい視線をグラドに送っていた。



「では、私はアヴァニール様達をお送りしてきますので」

「ま、待ってくれ!!じゃあ見送りさせてくれ!!な!!ルクシアもしたいだろ!!」



突然話を振られたルクシアは、一度ふむ……と顎に手を当て考えるといいだろう。といって立ち上がった。



「帰ってしまうのか、少し寂しいが仕方ない」

「何だ!!ルクシアは寂しいのか!!」

「貴様にはいっていない。会談さえなければ帰らせるところだ。土に」

「あ??」

「ほら二人とも、俺の見送りしてくれるんだろ!!早く行こう!!」



俺は今にも噛みつきそうなグラドの背を押しながら、城の入口へと歩みを進めた。城の前で待機させていた水焔龍の馬車に乗り込もうとした時、ルクシアは土産だと言って小さなペンダントを一つ俺にくれた。そのペンダントは光に反射し、様々な色を見せる不思議なペンダントだった。



「いいのか?」

「いい。それに、そのペンダントは元々アヴィーの物だからな……それにしても、何故アイツはこんないい馬を持っているのか、疑問でならない……」



というより、解せない。と言うルクシアに、グラドは笑いながら悔しいか!!そうか!!と完全に馬鹿にした態度だった。隣からルクシアの盛大な舌打ちが聞こえてきたが、見なくても分かるほどの殺気に俺はルクシアを見る事が出来ず、急いで馬車に乗り込むと、窓の隙間からルクシアに世話になったと一声かけた。すると、馬車は走り出し空へと上がって行った。


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