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未練を残して死んだら魔王に転生させられました。  作者: 夘月
第一章 魔王と仲間
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帰途と裏話



「おー!帰って来たか、アヴァニール!!意外とかかったな!!」




そう言いながら俺の頭を撫でるグラドは、楽しそうに笑っていた。




「取り敢えず、マンティコアは俺のペットにしたぞ」

「おぉ、あれか!!」




そう言ってグラドが指さしたのは、サミエルが担いでいるマンティコアだ。まだ眠っているマンティコアはサミエルの頭の上ですうすう、と寝息を立てている。見た感じ重そうに見えるのだが、担いでいるサミエルは涼しげな顔をしている。




重くないのか……怪力なのか……




俺が不思議に思っていると、担がれていたマンティコアが目を覚まし、俺と目が合った。豆粒のような瞳がじっと俺を見つめ突然サミエルから飛び降り、俺に向かって走って来た。




「お、うぉお!!!」




俺に向かって走って来たマンティコアはそのまま俺に飛びつき、覆いかぶさり擦り寄って来た。




「はっはっ!!どうやら主と認められたようだな!!」




俺がマンティコアに顔を舐められているのを見ながら、グラドは良かった良かった!!と言いながら笑う。

俺はマンティコアを落ち着かせながら下から這い出て、その頭を撫でた。




「じゃあ約束通り、アヴァニールのところに人員を送ろう。ついでに、腕のいい大工連中もつけてやるぞ」

「本当か!それは助かる」




じゃれつこうとするマンティコアを撫でることで落ち着かせながら、俺はグラドに感謝した。







「さて!!全員揃ったな!!そろそろ宴を始めようか!!」




グラドは一度手を叩き、高笑いをしたのだった。



♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦



「だから!!!コレとコレ、買ってあげるんだからもっと安くしてって言ってるの!!」




ミリアは、店先にも関わらず大きな声で店のカウンターを強くたたいた。その事に周りは一度ミリアに視線を向けるが、ミリアの姿を見た者全てが直ぐに顔を背け逃げるような足取りで立ち去っていく。店の店主は、流れる汗を拭きながらミリアに言葉を返していた。




「で、ですがミリア様……どちらもいい品ですから。それ以上は……」




ミリアが指で示した品は、正規のルートでも入手の難しい武器に着ける魔具だった。日用品の魔具は比較的に入手しやすいのだが、武器に着ける魔具ともなればその値段は一気に跳ね上がる。



そんな高級な品物が、此方の市場に来るだけでも奇跡に近いのだが、正直ミリアにはそんな事はどうでもいい。ただ安く手に入れたい。それが今回の目的だからである。実は、アヴァニールが居なくなってからこの100年で資金がかなり無くなっているのだ。




(全盛期なら、こんな物……うぅ、財布が痛い……)




ミリアは困り果てる店主に、最終手段を使う事にした。




「……貴方、誰のおかげで此処に居られると思っているの?」

「そっそれは勿論!!かの偉大なる魔王、ヴァルフレイ陛下と寛大なるお心の持ち主であるミリア様のお力添えがあってこそです!!」

「そうでしょ?貴方には、一生かかっても返せない恩が陛下と私にあるでしょ?」

「はっはい……」




この店の店主は、かつて魔物に襲われていた時アヴァニールが救った者だった。だがその時のアヴァニールは機嫌が悪く、店主をも殺そうとしていたのだがミリアが止めたのだ。




「あの時、陛下が許して下さらなければ、私が口添えしなければ、貴方は死んでいた。でしょ?」

「はい………」

「私が聞きたいのは、返事じゃないんだけど」

「分かりました……。此方と此方の品ですね。……どうぞ、お納めください」




そう言って店主は、ミリアの言っていた品を袋に入れて渡した。ミリアは満足に品を受け取ると、代金を店主に渡した。





「じゃあまた来るから。いいのが入ったら取っておいてね~」

「かしこまりました」




店を後にしたミリアは、そのまま他も店に入っては値切りまくっていた。買い物袋を両手いっぱいに持つミリアは、市場をふらふらと歩いていた。




「キモエルの奴!!!こんな時に限っていないんだから!!!一体どこに」

「そこのお嬢さん」




突然、低くしわがれた声が聞こえミリアは一度立ち止まった。するともう一度同じ声が、お嬢さん。という声が聞こえた。その声のする方を向くと、そこには亜人の老人(女性か男性かよく分からない)者が地面に布を一枚引いた上に座っていた。




「……私??」

「そうそう、そこの美しいお嬢さん。珍しい卵はいらんかね?」




その老人の言葉に、ミリアはその布の上に置かれた卵に目をやった。小さな籠の中いっぱいに入れられた卵は、それぞれ独特な色合いをしていた。




「……なんの卵?」

「これはね、人間が作った魔具の製造機をちょっと弄って作った卵でね。中からペットとして飼える魔獣が出で来るのだよ」




老人は、卵を一つ取ると卵の先をチョンと触り何かを唱えた。すると、卵が割れ中から小さな生き物が出て来た。大きな瞳をキョロキョロと動かした変な生き物は、一瞬にして消えると老人の肩に現れた。




「か、可愛い!!!」

「そうでしょう?こんな感じの魔獣がこの卵の中に入っているのですよ」

「卵に入ってるのは、その子と同じなの?」

「卵の中はみんな違う子が入っているよ。ちなみに、餌は水分だけ。水をあげれば育つように設定してあるのだよ」

「へぇ、なんだか植物みたい」




ミリアが卵を一つ持ちながら呟くと、老人は笑った。肩を揺らしながら笑うので肩に乗っていた魔獣が必死にしがみ付いていた。皺の多い顔は、笑うとより一層皺を多くしていた。




「確かに似ているな。……それでお嬢さん。買ってみるかい?今なら無料であげよう」

「本当に!?……じ、じゃあ、コレと……コレと……コレ!!」




ミリアは3つの卵を取り出した。一つは上半分が赤い色で下は青のもの。二つ目は斜めに紫色の線が入ったもの。3つ目は水色と黄色が入り混じった淡い色の卵だった。




「お気に召す魔獣である事を祈りますよ。あぁ、それと卵は数時間暖かいお湯につければ孵りますよ」

「有難う!!大切にするから!!」




ミリアは老人にお礼を言い、その場を後にした。貰った卵は自分専用の袋に入れまた市場を歩き出した時、見覚えのある背中を見つけ走り出した。その際アヴァニールと目が合うと、サミエルの前に立っていたところを少しズレたので、ミリアはそのままサミエルの背目掛け飛んだ。するとサミエルは2~3m吹っ飛んだところで止まった。




「ちょっとキモエル!!あんた今まで何処に居たのよ!!荷物持ちの仕事サボって!!おかげで私が全部持つ羽目になったでしょ!?」




ミリアはそう言って両手に下げた袋を2,3個サミエルの上に容赦なく落とすと、サミエルはぐっう!!とうめき声を上げた。



ミリアのお買い物シーンを詳しくしたかったんです。

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