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未練を残して死んだら魔王に転生させられました。  作者: 夘月
第一章 魔王と仲間
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強欲



グラドの城を出た俺たちは、そのマンティコアが目撃された場所へと向かう。




「って、また歩くのか……グラドは城から出ようとしないし」

「グラド様は昔から本当に気まぐれなお人なのですよ」




それはもう、色々とやってくれやがりました。と言って、サミエルは遠い目をした。それと同様ミリアも遠い目をしている。ラオルはそんなに表情が変わっていないので、色々やられたのは二人だけだったようだ。その表情を見て俺は、何やらかしたんだアイツ……と心の中で思った。




「それにしても岩だらけで歩き辛いな。……平面にしたいな」

「アヴァニール様、ご命令して頂けば此処一体を全て平面にする事も可能ですが」

「サミエル、今のは冗談だからな?やるなよ?」




サミエルは少し残念そうな顔でそうですか?と言い、すでに手に持っていた鞭を放した。その時俺は軽い気持ちで冗談を口にするのはやめようと心に誓った。すると、先を歩いていたミリアが岩陰に隠れながら何かを見ていた。




「どうした、ミリア」

「居ました……」




そう言ってまた岩陰から何かを覗いているミリアを見習って、全員が岩陰から覗き見る。そこには、獅子の頭と身体を持ち、背中にはコウモリの羽を生やし、尻尾にはサソリの尾がついている生物が熱くなった岩盤に横たわり、眠っていた。すやすやと眠るその姿を確認した後、全員が一度顔を引っ込め見合わせる。




「なんだか、凶暴そうに見えないんですけど……」

「全体的に覇気がない。ただの獣ですね」

「……」

「ていうか、日向ぼっこしてた、あいつ」

「……可愛いな」




一連の会話の流れに対し俺がそう声に出した瞬間、四人が一斉に俺の方を向いた。




「何だ?どうした?」

「い、いえ……アヴァニール様からそのようなお言葉を聞くのは初めての事でしたので……」

「そ、そうなのか?」




俺の言葉に、ロウ以外が頷いて見せた。そんな事をしていると何かがズズ……と動く音が聞こえ、また全員が岩陰から覗き見る。すると、先程まで眠っていたマンティコアが目を覚ましていた。目を覚ましたマンティコアは、表情が何とも可愛らしいものだった。黒い粒のような瞳を数度瞬かせ、顔を前足でこする可愛らしい姿に俺とミリアだけが共鳴していた。




「あぁ!!可愛い!!!アヴァニール様、見て下さい!!」

「そうだなぁ、可愛いなぁ……ペットにしようかな」

「愛玩動物なら是非、わたくしを!!わたくしならどのような望みでもアヴァニール様をご満足させてみせます!!」

「じゃあサミエル、ちょっと黙ってろ」




サミエルが何故か張り合ってきたので、俺は取り合えず命令を出した。




こいつは俺の部下っていう自覚があるのか無いのか……




「とにかく、殺すのは勿体無いから俺のペットにするか」

「ではアヴァニール様!!私にあの子のお世話をさせて頂けないでしょうか!!」

「おーいいぞー。じゃあ早速捕まえるかー」




そう言って俺とミリアが立ち上がると、サミエルがお待ちください!!と口を挟んでくる。




「あのような図体のデカさだけが取り柄のような、卑しい獣はアヴァニール様には相応しくありません!!どうかお考え直しを!!」

「うるさいぞサミエル。俺はもうアレをペットにするって決めたんだよ。ロウ、ラオル、二人でサミエルを押さえつけとけ。絶対逃がすなよ」




俺は怒り半分にロウとラオルに命令した。二人は頷く事で同意を示すと、ラオルはサミエルを一瞬で羽交い締めにした。その後からロウも加わりサミエルを押さえつけた。その姿を見て満足した俺はミリアとマンティコアの元へと歩み寄った。



マンティコアの目の前に立つと、その可愛らしい瞳が俺とミリアを見つめた。すると、先程まで可愛らしかったマンティコアの表情が一変した。黒い粒のような瞳だったのが、段々と血走り吊り上がっていく。そしてかなり獰猛そうな顔つきになると突然襲い掛かって来た。




「おわっ!!危なっ!!……ミリアー、防護壁頼めるかー?ついでにちょっとコイツの相手も頼むー」




マンティコアの攻撃で左右に分かれたミリアに、俺は声をかけた。




「はい!!お任せください!!」




ミリアは直ぐに俺の周りに防護壁を展開させると、マンティコアに何かしらの魔法をかける。するとマンティコアはミリアの元へと走っていった。そして俺は安全な領域の中で魔法を唱えた。




不可視インビジブル領域ドメイン




右前方に現れた暗い空間に俺は手を突っ込んだ。そして、一番前にあった武器を一つ取り出した。手にしたものを引っ張り出すとそれはレイピアだった。そのレイピアは刃の部分が反射する程綺麗で、一度も使われていない様に見える。柄には金に模様がはいっていて、それだけでもかなりの価値になりそうな装飾だ。



だが、更に凄いのは剣の方だ。所々に小さな宝石が埋め込まれ異様なまでに美しく煌めいている。そんな魅惑的なレイピアを持って眺めていると、心の中に何かがジワリと流れ込んできた。






『コノ世ノ全テヲ、奪イ尽クセ』






突然に流れ込んできた思念に俺は最初驚いたが、直ぐに冷静になった。どうやら、心に直接語り掛けているようだが、俺には全く効果がない。




『奪エ、欲シロ、……全テヲ、思ウガママニ』

「何だ突然。随分と強欲な武器だな。お前は何だ?言ってみろ」

『……我ハ、大罪。罪ハ、【強欲】。欲深キモノノ……全テノ始マリニシテ、終ワリデアル』

「ほう、強欲な。分かった。で、俺に何をして欲しいんだ?」

『……我ガ望ムハ、強欲。ソノ欲深サヲ我ニ示スコト』

「そうか……」




俺は悩んだ。強欲の言う欲は、どの基準に基づいているのか分からない。低めに見積もれば力を貸してくれないだろう。かといって無茶ぶりも良くないのだろうか……と考えていると一つだけ浮かんだものがあった。




「じゃあお前の言った通り、この世界を手に入れよう」

『…………』




俺が格好良く言ったというのに、強欲からは何の反応も返ってこない。俺は段々とあれ?これって選択ミスか?と思い始めた時、突然強欲が話しかけてきた。




『強欲ナ、主。今モ、昔モ、オ変ワリナイ。……我ガ力、主ニ、捧ゲヨウ』

「そりゃ有り難いな」




すると、今まで思念しか流れてこなかったのが一気に膨大な魔力が送られてきた。




「これは凄いな。力が溢れるってこういう事か……」




未だに供給される魔力に俺は笑う。




「強欲の力、面白い。ミリア!!もう防護壁解いていいぞ!!」




俺が叫ぶと、ミリアは直ぐに防護壁を解いた。そして、今までミリアに向かっていたマンティコアが何かに取り付かれた様に此方に一直線にかけてきた。




「やっぱそうでないとな!!!」




俺は向かってきたマンティコアを正面から受け止めた。細いレイピアは、マンティコアが振り上げた爪の長い前足の攻撃をいとも簡単に防いだ。これが普通のレイピアなら簡単に折れて死んでいる所だ。




にしても、これは凄いな……




俺は強欲のレイピアに目を向けた。この魔力は自身の身体も勿論のこと、このレイピアにも魔力を移す事が出来る。今マンティコアの攻撃を防げているのは、強欲から流れてきた魔力をレイピアに移しているためだろう。この武器は使い方によっては色々とできそうな気がした。



そんな事を考えながら爪を弾くと、マンティコアは直ぐに次の攻撃を繰り出してきた。その攻撃を軽々と避けると、マンティコアは俺の喉元に噛みつこうと大きく口を開ける。だが俺は、口が開ききる前にマンティコアの頭部に手を当て軽く押す。すると身体が宙に舞い、マンティコアの後方に着地した。



だがマンティコアは直ぐにサソリの尻尾を駆使して追撃してきた。だがそのどれもは地面に突き刺さるか、空をつくだけだった。




……さて、どうしよう




尻尾の攻撃を避けながら、俺はマンティコアを手に入れる方法を考え始めた。攻撃するのは簡単だが、それよりも相手を傷つけない様にする方が大変なのだ。例えば、今目の前にある尻尾を破壊する事は容易だが、此処で尻尾を破壊してしまうと仲間にした時に傷ついた状態で獲得する事になってしまう。ミリアたちに頼めばその傷の回復も可能だろうが、それはできるだけしたくはない。



俺も多分できる事にはできるんだろうけど……うーん、でも無傷で捕まえた方が俺への尊敬度みたいなのも上がるかもだし……でもやっぱり多少の傷はやむを得ないか……




『……主ヨ。我ノ、任意発動能力アクティブスキルヲ、オ忘レカ』




突然語り掛けられた強欲の声に俺は少し驚いたが、それよりも強欲の言っていたことに集中する。




アクティブスキル?何だそれ




任意発動能力アクティブスキル……ソレ即チ、保有能力。我ノ能力、隷属刻印スティグマヲ使エバ、アリト、アラユル者…全テ、ソノ支配下ニ、置ク事ガ可能……』

そんな便利な能力があるのか!!じゃあ、遠慮なく使わせて……

『待タレヨ、我ガ主。コノ能力ニハ、二ツ効力ガ存在スル。ヒトツハ、【所有】。フタツメハ、【服従】。ドチラモ、ソノ言葉ノ……』



分かった!!!じゃあ所有でいいな!?



『………』





俺が話を切り上げると、解説しようとしていた強欲が静かになった。話を切るのは俺も好きではない。だが、今は状況がかなり悪い。此方が会話をしている最中だとしても、相手にとってはそんな事は関係ないので、先程からずっとマンティコアからの攻撃を受けているのだ。



強欲の解説も聞きたいところではあるが、俺はそんなに器用な事は出来ないので、俺は心の中ですまない、と謝ってからスキルを発動させた。



戦闘シーンって得意ではないんですよね……。



登場キャラ①にミリアが加わりました!友人には感謝です(*´ω`*)

また、キャラの設定を付け加えました!なんだか含みのある言い回しがありますが、後々そのあたりに触れたいと考えています。

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