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未練を残して死んだら魔王に転生させられました。  作者: 夘月
第一章 魔王と仲間
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伝わる想い



俺が軽く大剣を振るうと、目の前に居た男の首がすっぱりと切れ地面に転がった。俺が剣に着いた血を軽く振るい落すと、突然男の身体から勢いよく血が噴き出した。



首を落としたのだから当たり前だが、俺達はその大量に噴き出る血を被る事はなかった。それはミリアが魔法を唱えてくれていたおかげだった。




「終わったー……ミリア、魔法ありがとなー」

「はい。アヴァニール様も、実に見事な闘いでした!」

「流石はアヴァニール様、お見事です。わたくし、感動いたしました」




サミエルとミリアは、俺に賞賛の拍手を送る。それに少し照れ頬をかくとそれを見ていたサミエルが、あぁぁ!!?と叫んだ。




「な、なんだ?」

「あ、アヴァニール様!!!お、お顔に、血が!!」

「え?……あぁ、多分コイツの血がちょっとついたんだな。俺は怪我してないから、だいじょう……」

「アヴァニール様の!!!お美しいお顔にぃぃぃぃ!!!許さんぞ下等種がぁぁぁぁ!!!」




突然発狂したサミエルに俺が声をかける間もなく、ミリアが見事な回転蹴りを鳩尾に食らわせた。綺麗に入ったことにより、サミエルがうごぉ!?と普段絶対言わないような言葉を漏らすとそのまま地面に膝をついた。




「るっさいわね!!耳元で叫ぶんじゃないわよ!!ウザエル!!!」




腰に手を当てながら怒るミリアに、サミエルは小娘ぇ……と呻いた。




「はいはい、何かと喧嘩するな。サミエル、何でもいいから拭くものくれ」




鳩尾を抑えながらも立ち上がったサミエルは、綺麗なハンカチを貸してくれた。




「お前、いいのか?こんな綺麗なハンカチ」

「……はい、それは兄からの貰い物なので、寧ろ思いっきり汚してください」




いつもならもっと気持ち悪い事を言ってきてもおかしくないあのサミエルが、珍しく遠い目をしていた。




て言うか、兄とかいたのか……




だがこの反応からして兄とはあまり仲が良さそうには見えない。取り合えず、その渡されたハンカチで拭き取っていると横からそろりとロウがやって来た。




「……あんたら、強いんだな。正直驚いた」

「おい貴様。いつまでもその無礼な態度を改めろ。この御方は魔王にして、その第一席……不死王、アヴァニール・ヴィクティオル・ヴァルフレイ様だ」




サミエルはロウに語ると、地に頭を垂れろと半ば強制的に頭を下げさせた。




「いってぇ……って言うか、魔王のトップって100年前に死んだんじゃ……」

「これだから走るしか能のない犬は……陛下は不死王、何度でも蘇り我々を導く、とても素晴らしい御方なのだ」

「おいサミエル、もうその話はいい。後それ止めてやれ痛がってるぞ。……さて、ロウ。お前の言った通り、集落は助けてやった。お前はこれで俺の物だ」




そう言ってロウに手を差し伸べたが、俺は段々と恥ずかしくなった。




何かスゲー恥ずかしい!!!




「………」




ロウは俺の手を見つめているだけで、何の反応も見せない。俺にはそれが更に追い打ちとなり心の中で早く何でもいいから行動を起こしてくれと願った。その思いが通じたのか、ロウは一度後ろにある集落に目を向けたが、思い直したように俺の手を掴もうとした。だがその時。




「待ってくれ!!ロウ!!!」




後ろから声をかけたのは、一人の老人だった。その声に反応したロウは、後ろを振り向きぺトラ……と呟いた。どうやらロウが一瞬悩んだのはあのぺトラと言う老人が気がかりだったようだ。



俺はロウとぺトラを交互に見て、ロウの背中を押した。その事に驚いた表情を見せるロウに、俺は優しい口調で言った。




「あの老人が大切な人なんだろう?なら、ちゃんと別れを告げて来いロウ」




そう言うと、ロウはぺトラの元へとかけて行った。


♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦




「……ぺトラ、俺……」




彼らに出会った経緯や、あの人について行かなくてはいけない事……他にも色々と話したい事があるのに、ロウはうまく言葉にできずにいた。どう説明したら、ぺトラは納得してくれるだろうか……そう思い少し俯いていると、突然頭を撫でられた。




「ぺトラ……」

「なに、怖がることはないさ……話してごらん?」

「……俺、あの人たちに、助けてもらう代わりに……俺の全てをやるって言った。だから、俺は……もうここにはいられない。……ごめん」

「……」




ロウが告げると、ぺトラの優しく撫でていた手が離される。その事にロウは反射的に目を強く閉じた。直感的に殴られると思ったからだ。だが、その予想とは大きく違い身体に温もりが伝わって来た。驚いて目を開けると、ぺトラが泣きながら抱き着いていた。




「……ぺトラ」

「お前は最後まで、この集落の為に……本当に……わしの自慢の子じゃわい……」




そう言って涙を流す姿に、ロウも自然と涙が零れ落ちた。




「---ッ、ぺトラッ……今まで、ありがとうっ……」

「……何を言うんじゃ。またお前に会えるまで、わしは生きるぞい」







俺とぺトラは、お互いにさよならは言わなかった。







これが最後になってしまわない様に。



集落編が終わりました~!

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