現在のこと
『嵯峨、起きたら?』
『う〜ん...もーちょい...。』
嵐汰は、寮で一番大きな部屋の大きなベットで寝返りをうつ。
そんな嵐汰を呆れた目で見ているのは、同じクラスの花坂桃李(ハナサカ トウキ)だ。
嵐汰のルームメイトで、嵐汰の世話役でもある。
『おっはよーーー!♪』
『ほら、起きた方がいいぞ。』
『...。』
ベッドルームのドアを蹴って、ぶち壊して入って来たのは、同じクラスの頓所無(トミドコロ ノン)だ。テンションが高く、寝起きの嵐汰には眩しすぎる。そして、耳障りだ。目障りだ。どっかへ消えてもらいたい。そんな嵐汰の気持ちが伝わったのか、桃李が、無の首にかかと落としをくらわせ、その場にひれ伏せさせた。
『嵯峨、起きたか?』
『ああ、起きた。』
嵐汰はあくびをして、伸びをするとベットから降りて洗面所へ向かう。無は放置。
洗面所につくと、顔を洗った。鏡に、ドアの隙間からこちらを除く不審な人物...いや、無が写るが、放置。
歯を磨き、着替えを済ますと桃李が
『行くか。』
と嵐汰の頭をポンと叩いた。
部屋の外へ出ると朝の光が廊下の窓から注がれる。
眩しさで目を細める。
『桃李ー...ちょっとトイレ。』
『朝礼始まるからダメだろ。』
『いや、漏れる。』
『じゃあ、漏れろ。』
そう言うと、桃李は嵐汰のえりを掴んで廊下を引きずって行く。だが、そんなことをしても嵐汰は簡単に逃げられる。...スペックを持っているからだ。
─────嵐汰が今通っている、この学校は『並行高等学校』、通称『パラレルワールド管理局』と呼ばれる学校だ。