ねこ
仲好しきやうだい いつでも一緒
兄さん御先に ゆくのだつて
そんなのうそだ あたしもゆける
さあさ良い子だ こつちにおいで
兄さんお別れ 皆で見送り
けふのうちに おそらにゆくのです
うそだうそだ いつでも一緒
兄さん云つた さう云つた
おそらにゆくと かあさま云つた
其れもうそだ 兄さんあなのなか
あたしはきいた なんどもきいた
おねがい兄さん おそらにあげて
なんどもなんども たのんだけれど
兄さんやつぱり あなのなか
うそだうそだ みなうそだ
あたしもゆくの したにゆく
たれもわらつて しらんぷり
うそだうそだと みな云ふけれど
兄さんいつた したへいつた
うへはいやだ したがいい
あたしもおふとん 兄さんとおなじ
ねんねこねこよ ねんねして
あたしもしたへ うへからしたへ
ここに居つてと かあさまないた
ここはいやだ したがいい
うそだうそだと かあさまないた
ねんねこねこよ もうねむい
女の子はその後、前作「帝都浮遊鐡道営団」でちらっと登場。
大正九拾九年シリーズ。