第十八話「支援」
親の目を盗んで投稿。長かった。
八月六日
十時三十分
航空自衛軍
国後島近海
エクセル「各機、戦闘体制に入れ。シグマ隊、オメガ隊は艦隊防空、ワイバーン隊、ペガサス隊は敵艦に攻撃、リュンクス隊はワイバーンとペガサスの援護をしろ。」
「「「了解」」」
F-2八機、F-4四機。合計十二機の戦闘機が敵艦隊に向かっている。
F-2は対艦ミサイルを四つも携行できる戦闘機だ。
戦闘方法は、まず燃料の消費を抑えるため高高度を飛行。そして敵のレーダーの探知範囲に近づいたら一気に急降下、低空飛行に移り対艦ミサイルの射程に入り次第対艦ミサイルを発射。標的を撃沈する。
低空を飛行するために低高度の運動性能はF-15も凌ぐと言われている。欠陥機と言う人も居るが
それは間違い。確かに最初のころは不具合はあったが、度重なるアップグレードとかで解消されている。
F-2の現在の装備は九十三式対艦誘導弾が四発。九十九式空対空誘導弾が二発だ。
今この空域に居る機はリュンクス隊のF-4四機、そしてペガサス隊とワイバーン隊のF-2、八機。F-15は全て艦体防空にまわされているので、ペガサスとワイバーンの援護をするのはリュンクスのF-4だ。
都筑三等空尉「いよいよか。」
花沢三等空尉「ペガサス4、焦って海面に突っ込むなよ。」
独り言をしたのはペガサス隊四番機の都筑。その独り言に答えたのはペガサス隊三番機、花沢三等空尉。
都筑「はっ、んなこと起きるわけ無いだろ。」
花沢「そういうお前は日常でいつもドジをする。」
皆野一等空尉「ペガサス3、ペガサス4。あまり羽目をはずしすぎるな。」
雑談に興じる花沢と都筑を窘めるのはペガサス隊の隊長、皆野一等空尉。
駒野一等空尉「そういうなペガサス1。緊張を和らげるためにやっているんだ。」
皆野「ふん。」
そしてかなりおおらかな副隊長。ペガサス2こと、駒野一等空尉。
都筑「にしても、F-4で大丈夫か?。なんか俺達に援護される気がするんだが。」
釘川二等空尉「おい、てめぇF-4なめんなよ。」
宮城二等空尉「いくら退役寸前とはいえ、お前らに援護されることはない。」
都筑の言葉に反論してきたのはリュンクス隊三番機の釘川二等空尉と宮城二等空尉。
鎌田一等空尉「リュンクス3、いざと言うときはそう言っていられなくなるぞ。」
白江一等空尉「まぁ、あまりF-2に無茶をされても困るがな。」
リュンクス隊二番機の鎌田一等空慰と白江一等空慰だ。
木戸一等空尉「で、いつ低空飛行に入ればいいんだ?。」
野本一等空尉「もうすぐじゃないのか?。」
敵の位置をエクセルに聞いているのは木戸一等空尉。その質問に答えているのは野本一等空尉だ。
風間二等空尉「楽に出来るといいんだがなぁ。」
波多野二等空尉「無理だろうな。」
リュンクス隊四番機の風間二等空尉、波多野二等空尉。リュンクス隊の中では影が薄い。
エクセル「そろそろ敵のレーダーの探知距離に入る。各機、低空域に移動しろ。」
「「「了解。」」」
~二分後~
鎌田「ワイバーン、エンゲ-ジ」
皆野「ペガサス、エンゲージ」
木戸「リュンクス、エンゲージ」
低空飛行の状態で対艦誘導弾を発射する、先行するワイバーン隊とペガサス隊。それを守るかのような陣形で飛行するリュンクス隊とアプス隊。
木戸「全機、対艦誘導弾発射!。」
ワイバーン、ペガサス両隊のF-2から白い尾を引いてミサイルが発射され水平線の向こうへ消えた。
命中を確認すると、すぐさま退避行動に移る。
おそらく誘導弾が消えた方向は黒煙を上げ、傾いている敵艦がいくつもあり死屍累々と言った有様であろう。
皆野「敵主力艦への命中を確認。」
エクセル「よくやった。しかし複数の敵機が高速でそちらに向かっている。リュンクス隊。迎撃してくれ。」
「「「了解。」」」
低空飛行のまま目標へ向かうリュンクス隊。
敵機の正体はここから約九十キロ離れているMig-31、六機だ。
ロシア軍が一番最初に導入した第四世代戦闘機で、かつて函館空港に強行着陸したMig-25の大幅な改良型だ。主な改良点は、GSh-6-23 23mmガトリング砲をつけたことと電子兵装の強化、燃費の向上、低高度の目標への対処能力、新型ミサイルの搭載等である。
木戸「ロックされた。各機散開!。」
Mig-31からミサイルが発射され、アプス、リュンクス両隊へ迫る。
釘川「逃げ切れない。ちくしょおぉぉ!。」
宮城「うわあぁぁぁ!。」
ほとんどは回避したが、釘川機は避けきれず被弾。そのまま墜落した。
野本「リュンクス3応答せよ!。リュンクス3!。」
木戸「くそっ。各機、リュンクス3の仇をとれ!。FOX1。」
三機のF-4からミサイルが発射され、六機のうち一機のMig-31に吸い込まれ命中。
風間「このまま一気に行くぜ。FOX3!。」
波多野「宮城達の仇だぁ!。」
Mig-31に果敢に突っ込んでいく風間と波多野。
すれ違いざまに機銃を打ち込み撃墜。
木戸「こっちも負けていられないぞ。FOX2!。」
野本「ヒット!。ってケツに着かれているぞ!。」
木戸「甘い!。」
撃ち落したと同時に後ろに着かれるも急制動で逃れ、逆に後ろをとり機銃を発射、エンジンに当たった様で火を噴きながら墜ちてゆく。ちなみにMig-31はあまり機動性能が良くないのでドッグファイトでは簡単に負ける。
木戸「後ろを取ったからって油断したな。」
野本「決め台詞 乙。」
ビーーーーーー
突然ミサイルアラートが鳴り、あわてて回避行動をとるも
後方に被弾し。制御不能になる。
木戸「おい、どこに当たった!?。」
野本「エンジン被弾!、炎上してる。翼も吹き飛んでるぞ!。」
木戸「ちっ、ベイルアウト!。」
脱出装置を作動させ脱出しパラシュートを展開する。落下しながら辺りを見回せば残ったMig-31を鎌田機が撃墜した後だった。最後に残ったMig-31は撤退したらしい。着水した時に周辺にいたのは空自のF-4とF-2だけだった。
鎌田「リュンクス2より1。撃墜されたようだが大丈夫か?。」
木戸「プライドに傷がついた以外は問題ない。一刻も早い救助を要請する」
白江「おい、死ぬなよ。」
木戸「大丈夫だ。水温もそこまで低くない。捕虜になる可能性は高いが・・・。」
鎌田「まぁ、捕虜にならないように。」
波多野「リュンクス3より1へ。派手な墜落だったが大丈夫か?。」
木戸「脱出したのを見ていなかったのか?。」
風間「敵機に夢中で脱出したところは見ていないね。」
木戸「空戦ではそれが命取りになるぞ。ま、俺に言えた義理じゃないが。」
波多野「肝に銘じとくよ。じゃあな。」
リュンクス3からの通信が切れた。
白江「じゃあな。がんばって持ちこたえろ。」
鎌田「幸運を祈る。」
そしてリュンクス2からの通信も切れ、轟音とともにF-2とF-4が飛び去った。
木戸「・・・・・さて、救難団来るまでどうする?。」
野本「さぁ?。」
明日で期末テストは終わり。赤点取ってません。・・・・・・多分。
追記十月六日。現実では、F-4は第二航空団、第三航空団に配備されていませんが、こっちでは中国などの脅威に対抗するために一部の飛行隊を移設した結果、F-4を使用する飛行隊が第二、第三航空団に配備されています。