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地上戦機ライジングアース  作者: クマコとアイ
第四部

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64/97

64.南極戦線(3)

ライジングアースとブラックスワーンダーとの戦闘です。

 ライジングアースとブラックスワーンダーとは雪原に着地した。

 銀色の結晶が地に舞い上がる。


 無人機群は攻撃して来ない……

(とすると、ライジングアースの鹵獲が目的なのか?)

 そう、斎賀は思った。


 素早く、30機のAPF‐Jに敵無人機のかく乱を、残り30機に敵基地の探索を指令する。

 APF‐Jに搭載されているのはAIブレインだとは言っても、敵施設の探索くらいは可能である。

 高度を1000フィート以内に抑え、南極大陸をくまなく探索させる。


 それにしても……と、斎賀は思った。

 目の前のビッグマンからは殺気が漂っている。

 俺たちを殺す気だ……たぶん、敵の操縦士はそうとうの手練れなのだろう。

 あるいは、アルスレーテで出会ったあの機体のパイロットか?

 名前くらいは聞きたいものだな……


(ミューナイト、いつでもマグネティック・シールドを作動させる準備を!)

(もうやっている。全身の量子フィールドがあれば良いんだが……)

(たしかに、敵のビーム兵器は防げないな)

(その時には、最悪頭部バリアがある)

(いちいち敵の攻撃に頭を向けるのか、間抜けだな?)

(笑ってる場合じゃないよ、サイガ。このライジングアースは、設計が本当に特殊だ)

(対ビッグマン戦闘を意図してはいなかったからだろう。帰ったら整備班に要望しよう……)

 その間、コンマ数秒の会話。

 斎賀のかぶっているヘッドアップ・ディスプレイが、「DANGER」の表示を写した。

 敵ビッグマンは、じりじりと間合いを詰めてくる。

 核の弾着まで、あと45分である。


 ──


 セラフィアは身構えていた。

 スキャン結果によると、敵のNNN‐3は以前にはなかった武装を装備している。

 どうやら、手のひらにはビーム兵器も追加されているらしい……


(量子重力フィールドがあれば良いのだが、磁界バリアで防ぐしかないか?)

 手元のコンソールにすばやくコマンドを打ち込む。

 敵ロボがビーム攻撃を行ってきたときの、回避行動のパターンを覚えさせる。


(アルスレーテで戦った時とは、もう別の機体だな……)

 セラフィアはコンソールではなく、目の前の全視界モニタを見つめた。

 敵ビッグマン(ロボ)が屹立している。

 それは、「偉容」と呼ぶにふさわしい姿だった。


 ──


 上空では、無人機同士の戦闘が始まっていた。

 APF‐Jに入力されたコマンドが、敵オルリヌイ・ルーチを誘導してライジングアースの1マイル圏内から引き離していく……


 しかし、じわじわと敵ビッグマンは間合いを詰めてきていた。


(ミューナイト。こちらは、敵の武装が分からない。とりあえず、ハイ・フリークエンシー・ソードを抜け。それでミサイル攻撃くらいは防げるだろう)

(そうだな、サイガ。誘爆の危険性を考えると、敵もビーム兵器は使ってこないと思う。接近戦……いや、肉弾戦が良いと思う)

(おっかないこと言うね。でも、格闘女子、嫌いじゃないよ?)

(冗談はやめて、サイガ)

 ミューナイトはぶうたれた。


 ライジングアースが、背中に構えていたハイ・フリークエンシー・ソードを抜く。

 そのままホバリングでダッシュ。敵ビッグマンに切り込む。

 敵──ブラックスワーンダーは空中へとジャンプ。

 ありきたりの……当たり前の攻撃は効果がないか。──当然だな、と斎賀は思う。

 足元の雪が舞う。氷河が割れて、ガキっと高い音を立てた。

 残り40分。


 ──


 睨み合っているだけでは埒が明かないと、セラフィアは思った。

 飛び道具でかく乱してみるか……

 と、両肩に装備されているスパイラル・カッターを射出する。


 ぎゅうんとうなりを上げて、ブーメラン状の武器がライジングアースに迫った。

 ライジングアースは手に持った刀でそれを打ち返す。

 きゅん! という高い音を立てて、ジェット・ノズルが反転する。

 スパイラル・カッターは、ふたたびブラックスワーンダーの肩におさまった。


(あのパイロット、思っていたよりも反応が速い……)

 セラフィアは、独り言ちるともなく心のなかに思った。

 では、量子なぎなたで攻撃するか──と、背中のなぎなた状の武器を抜いて身構える。

 ジェットを噴射して、ライジングアースに接近。

 ビッグマンの両腕を器用に操って、ライジングアースに切りつける。

 ──ぎりぎりのところで躱す、ライジングアース。

 胸からミサイルが発射された。

 ジャンプしてそれを回避。

 敵から200メートルほどのところに距離を置いて着地する。

(無人機にあのビッグマンを攻撃させたほうが良いか……?)素早くコンソールを操作する。

 その間も、自機は敵ロボに正面を向けたままで対座している。


 ──


(ミューナイト。ユーマナイズを使う気はないよな?)

(あの武器は使わないと言った。サイガ)

(だな。俺も正々堂々と戦ったほうが、後味が良い……)

(味覚の問題じゃないよ!)

 ミューナイトがとぼけたことを言った。

 斎賀は苦笑する。


 上空からオルリヌイ・ルーチが接近してきた。

 3機。いや、4機?

 ライジングアースに向かってAAMを発射する。

「こっちは地上にいるんだよ!」

 斎賀は思わず叫んで、ミューナイトに思念通信をした。

 瞬時に飛行形態に変形するとともに、ブラックスワーンダーのほうへと突っ込んでいく。

 そのまま、すれすれの状態で急上昇。

 ライジングアースを追ってきたミサイル群が、ブラックスワーンダーにまともにぶつかる。

 ──と思った瞬間、敵もマグネティック・シールドを作動させる。

 1つのミサイルが自爆し、それに巻き込まれて誘爆するミサイル群。

 ブラックスワーンダーは、ジェットノズルからジェットを噴射して後方に飛びのいた。

 そのさらに後ろ側に着地する、ライジングアース。


 ──


(敵の機体が複座だということを、油断していた。単座の機体よりも動きが良い……人間の能力とはこれほどのものか?!)

 瞬時にミサイルのコントロールをハックするとは。

 セラフィアはうめいた。

 そのまま機体を振り向かせ、榴弾ミサイルを発射する。

 人型形態に戻っているライジングアースはジャンプ。地面に激突して爆発するミサイル。

 ──今度は空だ!

 ハイ・フリークエンシー・ソードをかまえて、ライジングアースが襲ってきた。

 ホバリングで回避。量子なぎなたを相手に突き立てるように持って、突進。

 ブラックスワーンダーの量子なぎなたと、ライジングアースのハイ・フリークエンシー・ソードがうなりをあげてぶつかりあった。

 ライジングアースは手のひらを返して腕を振る、

 ぶん! という衝撃とともに、宙に放り出されるブラックスワーンダー。

 量子なぎなたの量子重力場が逆に不利に作用した形だ。

 相手を破壊するのではなく、自分への衝撃波として返ってきた。

 そのまま後方宙返りをして、氷河のうえに着地するブラックスワーンダー。


(敵の言う通りであれば、核が弾着するまであと30分ほどか……)

 額の汗を、セラフィアはそっと手のひらでぬぐった。

 ブラックスワーンダーが氷河を踏みしめると、みしり、という高い音が走った。

臨場感重視です(笑)。

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