表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
地上戦機ライジングアース  作者: クマコとアイ
第三部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

53/97

53.マダガスカル軍事演習(4)

不穏な軍事演習その4です。

 それよりも少し前……

「やっこさん、いましたよ? ランジングアースです、中尉」

 シエスタのイングレスαに突然通信が入った。

 気づけば、シエスタ機の隣を平行して飛行しているイングレスαがいる。


 声の主は、アマラ・ンドゥベだった。

 陽気な声が聞こえてきて、シエスタはヘルメットのなかで思わず微笑む。

「ンドゥベ少尉か? 貴官の無人機はすべて無事なんだな?」

「そうです。……って言っても、まだ戦闘をしていませんからねえ」

「わたしは1機やられた。相手はダレンザグ中尉だった……と思う」

「うわっ! それは災難でした。中尉がやられるのも当然ですよ。奴はネオスのなかでも一等強い」

「ああ。だが、お返しに4機やりかえしたよ」

 と、淡々と告げるシエスタ。

「ひゅーっ! それはイカしている。最高ですよ、中尉」

 とは、アマラ少尉。

「ああ。しかし、今は目の前の敵に集中しよう。せっかくライジングアースがいたんだ。飛行形態らしいな、スピードからして」

 シエスタは、コンソールに輝いている緑色の輝点を見つめながら、話す。

 そのスピードはノクティルカ並みだ。

 シエスタは、じりじりとした気持ちに自分がなっていくのを感じる。

 ライジングアースは、その存在だけで威圧感がある。

 アマラ少尉と自分の2人だけで立ち向かう、というのは無謀にも思える。

 せめて、あと2機いれば……と、シエスタははっきりとした意識をもって思う。

 それは、斎賀とミューナイトへの敬意からでもあった。


 ──


(ミューナイト、上空のイングレスα2機、目視できるか?)

(無茶言うな、サイガ。ネオスの目はいい。でも、両機とも1万フィートは上空へ行ったぞ?)

 不満げなミューナイト。たしかに、ネオスにも肉体的な限界はある。

(分かった。無人機は各機の1マイル圏内につけているだろう。つまり、俺たちは囲まれた。たぶんな)

(四方八方からミサイルが降ってくるっていうことか?)

(なんかお前……余裕だな? ペイント弾とは言え、食らったら悔しい)

(あなたこそ余裕じゃないか、サイガ。作戦は考えているの?)

(ああ、まずロケットパンチを射出しろ。手のひらのビームでミサイルを撃ち落す)

 しかし、ミューナイトは同意しない。

(ビームかく乱チャフが出ているんじゃないのか? 足の遅いミサイルにはビームは効かないぞ?)

(そうだな。それは考えられる。でも、まずはパンチを出せ。有線で不規則に移動させる)

(分かった。ジグザグに出せばいいんだな? 後出しじゃんけんみたいだ)

(冗談が言えるなら、上等だよ。これが演習で良かったがね……)

 そんな思念通信を、斎賀とミューナイトとは交わす。

 今、2人の人間関数はどんな数値になっているんだろう? と斎賀は思った。

 冗談を言い合える中で、2人で1体のロボを操縦する。

 まるで、昔見たアニメの世界のようだ。

 しかし、と斎賀は気持ちを引き締める。

(この戦闘、俺の判断よりもミューナイトの判断の方が優先するかもしれない……)


 ──


 上空8000フィートで反転したシエスタは、アマラ少尉もやはり機体を旋回させたことを確認する。

 無人機は、それぞれ親機の1マイル圏内に散在している。

 これをライジングアースの周囲から囲い込むように接近させる……ライジングアースは9機の無人機に囲まれるわけだ。

 隙がないわけではないが、今のところこれがぎりぎりの作戦だろう。

 シエスタは、試しにチディ・マベナ大尉とイーヴリン・ケイン中尉に通信を送ってみた。

 返答はなかった。

 サテライト群がかく乱されている。さっきアマラ少尉と通信ができたのは、どうやら偶然らしい。


 シエスタは、きりもみ飛行で海面にむかって降下する。

 相手にも無人機群がいるのだ。しかもたぶん、まだ無傷だろう。

 機体の周囲にミサイルかく乱チャフをまきながら、スピードは落とさない。

 いかに機体幅を広く見せるか……それで生死が決まる。


(さっき、ライジングアースは海面に向かっていった。今はきっとこちらを仰向きに捕捉しているだろう……)

 シエスタは、斎賀の行動を読んで思った。

 操縦しているのはミューナイトだが、指示を出しているのは斎賀だろう……

 そしてやつは、電子戦能力に優れている。

 今、アマラ少尉と無線が通じないのも、斎賀の仕業に違いない。


 数秒後、目視でもライジングアースをとらえた。ロケットパンチを射出している。

 ビームでミサイルを撃ち落す気だろうか?

 しかし、コンマ数秒のずれでAAMはそれを回避できる。こちらにもチャンスはあるのだ……。

 ──シエスタは無人機に指示を出して、AAMをいっせいに発射!

 海面すれすれに飛行させていた4機の無人機が、逆放射状にライジングアースへと向かっている。

 それとほぼ同時に、アマラ少尉も上空からAAMを打ち込んできた。

 20発近いミサイルが、ライジングアースへと向かっていく。

 あとは、敵からの攻撃を回避すること……シエスタは機体を水平飛行へと移行させた。


 ──


(ミューナイト、敵がミサイルを発射させた!)

(分かってる、サイガ。AAMのスピードならビームかく乱チャフは意味がない。ビームで撃ち落とす!)

 ミューナイトはまた左手でコンソールを操作。ロケットパンチのリミッターを解除する。

 ぐるぐると高速回転しながらビームを発射する、ライジングアースのロケットパンチ。

 次々に敵ミサイルが爆散していく。残り数発……

 が、ビームを逸れたミサイルが5発、ライジングアースへと向かってくる!

 ライジングアースは突如飛行形態へと変形して、ひたすら前へと加速。

 上昇するライジングアースのわきを、敵ミサイルがかすめて過ぎた。そのまま海面に衝突して消滅する。スピードが仇になった感じだ。


 ライジングアースは、高度5000フィートで再び人型形態に変形。ロケットパンチを収納する。

(サイガ、ロケットパンチのビームだけでは、ミサイルを完全に回避できない。マグネティック・シールドを試してみる)

(そうだな。それと、今のお前の判断は良かった。人型形態のままなら撃墜されていた)

(ありがとう、サイガ。わたしたち、息があってきたな……)

(そう願うよ)

 そう思う間もなく、今度は下方からSTSMの雨が襲ってきた。

 ──シエスタの奴、用意周到に計画していやがるな? いや、それとも僚機のパイロットも優秀なのか?


──


 無人機にSTSMを撃たせたのは、アマラ少尉だった。

 直前、つかの間通信機能が回復して、シエスタから通信が入ったのだ。

(斎賀中尉は常にサテライト群をクラッキングしているだろうが、シエスタにも電子戦能力がある)

 逆にコードをハッキングして、通信帯域の狭間を見つけたのだろう。

 コールサイン「亡霊女神」とともに、文字列がコンソールに表示される──「STSM」

 それだけの通信を送るのであれば、数秒かからない。

 海面への降下の途中で同時に自分に通信を送ってきたのだろう。

 なるほど、中尉はライジングアースにはAAMは効果が薄い、ということを逆に知っていた。

 上空に誘導して、小回りが利くSTSMで撃墜する、という作戦だ。

 とすると、シエスタ中尉はふたたびおとりのAAMを放ってくるな?


 アマラ少尉は自分たちの勝利を確信した……が?

シエスタとライジングアースとの直接対決です。これくらいロボを追い込めるくらいじゃないとね……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ