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地上戦機ライジングアース  作者: クマコとアイ
第二部

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39/94

39.アルスレーテ空爆(5)

ライジングアースとプライムローズの戦闘ですが、乱戦です。

 斎賀は、十数秒の間、敵の姿を見失っていた。

 高速戦闘では致命的ともなりえる、判断の遅れである。


 敵ビッグマンが、再び十字に腕を開いて飛来する。

 二の腕の内側、それから腰部からミサイルが発射された。

 それをぎりぎりで、ライジングアースはかわす。


 地面に爆炎があがり、農家の納屋らしい建物が吹き飛んだ。

 油断してはならない……斎賀は気を引き締める

(どうやら、敵のパイロットは熟練らしい……そうとう上の人間が出てきたのか……)


 ジェマナイ側の総人口は、統合政体ロシア・アジア共栄圏として管理下においている人間を除けば、人間とネオスをあわせても400万人ほどである。

 実地の戦闘に高位の人間が出てきているとしても、おかしくはない。

 情報軍で任務をこなしてきた経験から、斎賀はそのように結論した。


(敵は人間か? ネオスか? ……いや、ネオスだ。この動きは……)

 それは、人間に計算できるような動きではなかった。

 ライジングアースの側でも、ミューナイトが高速演算を行いながら機体の軌道を計測して飛行している。

 しかし、相手のビッグマンは人型形態ながらも、戦闘機並みの軌道を維持していた。

 なんどか、ライジングアースの脇腹をかすめる。

 そのたびに、ライジングアースはミサイルで応戦した。

 残弾が減っていく。

 このまま、ミサイルの残量を減らすのは得策ではないと斎賀は思った。

 ミューナイトにそのことを伝える。

(ミューナイト、ロケットパンチのワイヤーを伸ばしたまま、敵を捕捉することはできないか?)

(できると思う。やってみる!)

 即座の答えが返ってきた。

 良い反応だ、と斎賀は思う。


 敵──プライムローズはライジングアースの上空を取り、滑空状態で迫ってきている。

 さきほど地面すれすれまで降下したかと思えば、瞬く間に上空を取られている。

 あるいは、敵ビッグマンは人型形態と飛行形態との瞬時の変形を行っているのかもしれなかった。

 それも、熟練のパイロットでなければできないことだ。


 斎賀は、その必要もないのに上空を見つめる。

 そこに、何かの天啓があるとでも言うように。


 ライジングアースの機体の左右から、スホーイ2機が迫ってきた。

 ミューナイトはロケットパンチを射出する……斎賀の命令よりも先に。

 2機のうち、1機が爆散した。

 1機は上空へ向かって弧を描いて逃げる。

 その先に、プライムローズがいた。

 2機のスホーイの攻撃は、どうやらライジングアースを低空におしとどめるための陽動らしい。

 しっかりと、敵機同士の連携が取れている。

 指揮官──おそらく、ビッグマンのパイロットは優秀なネオスに違いなかった。


 一瞬、斎賀は自分の判断能力を疑った。

 それは、戦場ではあるまじきことだったかもしれない。

 しかし、避けがたかった。


 斎賀は、ミューナイトに向かって、地上すれすれへ降下することを指示する。

 ホバーリング状態で、麦畑のうえに停止した。

 プライムローズが襲ってくる。

 ミサイルは撃ってこなかった。

 ミサイル程度の攻撃では、ライジングアースの装甲を貫けないことを理解しているのだろう。

 致命傷を与えるためには、関節部分など、機器が露出している個所をねらわなければいけない。


 急降下してきたプライムローズが反転。

 飛行形態に変化して、上昇を開始した。

(今だ、ミューナイト!)

 ライジングアースの両腕がロケットパンチを放つ、

 機動性の落ちた飛行形態の敵ビッグマンの翼をとらえた。

 そのままものすごい勢いで、ライジングアースは引きずられる。

 高度が0フィートから3000フィートまで引き上げられる。

 ライジングアースのロケットパンチのワイヤーがうなった。


 と、そこで敵ビッグマンが人型形態に変形した。

 変形しつつ、ライジングアースにキックを食らわせてくる。

 だが、すんでのところで回避。

 ロケットパンチは敵ビッグマンの肩をつかんだままでいる。


(ミューナイト、胸部ミサイル発射!)

(分かった!)

 ライジングアースの胸部から、敵ビッグマンめがけてミサイルが発射された。

 絶好の撃墜チェンスである!

 しかし……敵ビッグマンの頭部からビームのような光が射出された。

 爆散するミサイル。

 だが、ライジングアースにはビームは届かない。

 どうやら、空気中では急激に威力が減衰するらしい。

 敵の頭部ビームは、近接兵器のようだった。

 すんでのところで難を逃れるライジングアース。


(ミューナイト、ハイ・フリークエンシー・ソードだ!)

 斎賀が、思わず口に出してしまいそうに、思念通信に考えを送る。

 高周波で電磁パルスを出しつつ、金属を切断する武器である。

(分かった、サイガ。でも、今の思念通信は強すぎた。次からは、加減してくれ……)

 ミューナイトが思念通信でごねた。

 斎賀は、悪かったと思う。


 ライジングアースは飛行形態に変形。敵ビッグマンを追う。

 敵も飛行形態に変形して逃げる。

 2つの機体の軌跡が、中空に奇跡を描いて移動していく。

 その傍らでは、スホーイ1機とイングレスα1機が爆散した。

 イングレスαの破片が、ライジングアースにガツンと当たった。

(成仏してくれ!)

 斎賀はそれだけを思うので精一杯だった。


 飛行形態のライジングアースは、敵の眼前に躍り出ると、即座に人型に変形する。

 背中に装備していたハイ・フリークエンシー・ソードを構える。

 一瞬、敵がひるんだ。

 間髪を入れず振り下ろされる右腕。

 敵ビッグマンの左尾翼がはじけ飛んだ。

「やったか??」


 ──


「やられた!」

 と、その瞬間にセラフィアは思った。

 敵のビッグマンの右腕は、たしかに自機の左尾翼に振り下ろされた。

 しかし、それはすんでのところでコックピットを外れていた。

何の脈絡もなく武器が出てくるのはスーパーロボットもののお約束。

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