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地上戦機ライジングアース  作者: クマコとアイ
第二部

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38/102

38.アルスレーテ空爆(4)

やっとライジングアースが活躍し始めます……っても地味だ。

 ヌール・ジュマは、自身の死を覚悟した……が、死神はまだ彼の前に不敵な笑みをさらさないようだった。

 片翼が爆散した彼の機体を、がっしりととらえたものがある。

 ライジングアースである。


 チーム・ンデゲは、敵ビッグマンに圧されていた。

 そして、市街地すれすれの空域で戦闘を繰り広げていた。

 それが幸いしたのである……


 空域の無人機を4分の1ほど掃討したライジングアースは、北部守備隊、すなわちチーム・ンデゲの援護に回るように命令された。

 ここで、統合戦線空軍の司令部は、はじめて適切な命令をくだしたことになる。

「都市を犠牲にしてでも部隊を救え」

 それは──国を守れ……という命令だった。


「大丈夫か!? ヌール・ジュマ大尉。こちらは、ライジングアース、斎賀中尉。無理な攻撃はするな?!」

 斎賀は、無線通信にむかってありったけの声で話しかけた。


「だい……じょうぶだ、ライジングアース。助かった。そちらはサイガ中尉か?」

 ヌール・ジュマ機の通信機は生きていた。

 片翼を失って、墜落寸前の状況だった。

 ヌール・ジュマは、運命の女神がほほえんだのを感じた。


「そうだ。このまま地上に降下する。着地後は、機体を離れて待機したほうがいい」

 敵の後追い攻撃を恐れている斎賀は、そんなふうにジュマ大尉に伝えた。

「分かった。助かった。てっきり死んだと思ったがな!」

「軽口は後にしてくれ。ライジングアースも航空機をかかえての着地なんてやったことがない!」

 それは、戦場に生まれた、わずかな余裕の会話だった。

 斎賀は、胸のなかで十字を切る。


 ライジングアースはホバリングして、地面すれすれの位置をすべる。

 そのまま、イングレスαを地面に下した。

 秋の麦の穂が実っている、畑地だった。

 すぐにコックピットから、ヌール・ジュマがはい出してくる。

 斎賀とミューナイトは、ライジングアースのコックピットから敬礼を送った。

 離れてゆく地上で、ヌール・ジュマも敬礼をしている。


(さて、いよいよ敵との対面だぞ、ミューナイト。敵の性能は未知だ。油断するな?)

(分かっている。サイガは、電子戦に専念して)

 斎賀とミューナイトとは、思念通信を通じて会話する。

 ライジングアースの胸部ジェットノズルが、大きく煙を吐いた。

 上空には、敵のビッグマンが待ち構えている。


(ミューナイト、まず胸部ミサイル発射。それから、それぞれ左右に20度の角度をつけてロケットパンチ発射!)

(わかった、サイガ!)

 ライジングアースの操縦は、ミューナイトである。

 右手の小指をコムナイト・グリッドに挿入して、ほぼ思考だけでライジングアースを操っている。

 複座であるライジングアースのなかで、コパイロットである斎賀との間には、判断にわずかにタイムラグが混じるはずだったが、思念通信という高速のコミュニケーションがあるおかげで、なんとかそれをカバーできていた。

 上空の白いビッグマンは、両腕を広げて威嚇するようなポーズをとった。

 敵ビッグマンの二の腕の内側からミサイルが発射される。

 瞬時にミサイルを誘導に切り替えた斎賀は、敵の発射したミサイルにライジングアースのミサイルを命中させた。

(先制攻撃がいつだって効くってね!)


 敵ビッグマンは、飛行形態に変形しようとしたのか、一瞬迷いを見せた。

 そこへ、ライジングアースのロケットパンチが左右から挟撃する。

 敵には、どうやらロケットパンチの武装はないようだった。

 腰の部分のジェットノズルを勢いよく噴射させて、上空に逃げ去った。

 飛行機雲が、そのままビッグマンの軌道を表現している。


 斎賀は、サテライト群のクラッキングを行った。

 手元にUSBメモリはないが、ライジングアースの内臓データから、敵AIに誤情報を送る。

 一瞬、敵の機体が上空でゆらいだ。

 慣性飛行のシステムをクラッキングすることに成功したのだろう。

(今だ、ミューナイト、再度ロケットパンチ!)

(分かってる)

 ライジングアースの両腕が伸びた。

 ワイヤーによる有線操作で、ロケットパンチは敵のクラッキングの影響を受けずに、相手に命中させることができる。

 ビッグマン同士の接近戦ではもっとも有効な武器だった。


 太陽を背にして、敵ビッグマンが反転、逆噴射をかけて離脱する。

 そこに、スホーイが飛び込んできた。

 ライジングアースは胸部ミサイルを発射する。

 スホーイが爆散!

 しかし、正直あなどってはいた。

 敵はビッグマンだけではない、そのことを斎賀とミューナイトは思い知る。


 が、それは杞憂でもあった。

 味方のイングレス部隊が、敵スホーイ群を追い詰めている。

 ビッグマンをライジングアースが相手にしていることで、余裕が生まれたのである。

 チーム・リーダーを失ったものの、いまだにチーム・チーム・ンデゲは8機のイングレスαを保っている。

 上空で、スホーイとイングレスαとの空中戦が始まった。

 空戦性能で言えば、Su‐77よりもイングレスαの方が分が良い。

 幾条もの飛行機雲を描いて、戦闘機が飛び交う。乱戦だった。

 しかし、当初の作戦地点とほぼ同じ位置まで、イングレス部隊は押し返しているようだった。

 これなら、地上の高射砲や地対空ミサイルも無人機の掃討に専念できる。

 あとは、ダルエスサラームからの援軍がいつ到着するかだったが……

 戦闘は、すでに30分以上を経過していた。

 今回の対応はあまりにも遅い。遅すぎる。


 斎賀の胸に不安がよぎった。


ライジングアース(やビッグマン)の操縦は従来のロボットアニメのような操縦桿での操縦というよりは、コンソールへのコマンド入力、という感じですので地味ですね。

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