表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
地上戦機ライジングアース  作者: クマコとアイ
第一部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/98

16.危機一髪

ロボ戦です。漫画です。

(サイガ、ピンチだ……)

 ミューナイトが、斎賀のヘッドアップ・ディスプレイにメッセージを送ってきた。

 今の衝撃で、膝関節のストレス係数が最大値に達したらしい。

 ライジングアースに精神感応しているミューナイトは、実際に左膝を痛そうにしている。

 斎賀にもその情報は伝わる……


(いや、逆にチャンスだ。ミュー、半径100メートルで旋回して、やつらの背後に回り込め!)

 斎賀が冷静なアドバイスをする。

(どうするの?)

 と、ミューナイト。

(アリューシャンを左手に、アコーディオを右手に布陣する)

(よく分からないけれど……分かった)

 ミューナイトのAI脳と斎賀のヘッドアップ・ディスプレイのなかで、メッセージが高速で取り交わされる。その間は2秒もない。


 その後も斎賀の思考の断片は流れてきていたが、ミューナイトは斎賀の作戦をすべては把握していない。敵にも味方にも作戦を秘匿する、プロフェッショナルな意識を斎賀はもっているのだ。AIスキャンによってミューナイトの行動が読み取られた場合、その挙動は敵に筒抜けになる。


 逆に偽情報を流すことも可能だと斎賀は思ったが……

 しかし、今のところ、敵ビッグマンはこちらの行動を予測演算してはいないようだ。

 コックピット要員のホール・スキャンが済んでいないのかもしれない。


 轟音でジェットが起動。

 そのまま、ライジングアースはホバリング状態で、半径100メートルの円を描いて、アコーディオとアリューシャンの背後へと向かっていく。

ちりちりと、火花が散る音がする。


 敵も黙っているわけではない。

 アコーディオのロケットパンチが空(=くう)を切り、アリューシャンのミサイルがビルに命中した。

 どうやら、ジェマナイ側は本格的にこの街を犠牲にすることに決めたようだ……

 その間にも、何機かのドローンがアコーディオのパンチに撃墜される。


 ライジングアースは、アコーディオとアリューシャンの真東の位置に停止して、レディ状態にセットする。


 ミューナイトは、ストレスのかかっている膝関節にクッショニング・メタルをリカバーして、仁王立ちになる。

(これで大丈夫、サイガ……)

(さすが、最新鋭機だね)──お前も、と斎賀は思った。

(冗談を言っている場合じゃない。どうするの?)

(正面作戦さ!)

 幅50メートルほどの道路の先に、アコーディオがやはり仁王立ちになっていた。

 アコーディオは、メインカメラはつぶされているが、すでにサブカメラに切り替えて、こちらを補測している。

 そして、アリューシャンは背の高いビルのうえにジャンプして直立していた。


(アコーディオの左手はドリルなんだな?)

(そうみたい)

(なら、ロケットパンチは1発!)

(あ、そうか、分かった──)

 ミューナイトの意志がそうHUDに表示された瞬間、敵、アコーディオの右腕のロケットパンチと、アリューシャンの4発のミサイルが同時に発射された。

 再度、敵側の攻勢がかかる。

そして、敵パイロットの呼吸が一瞬、ミューナイトの意識へと流れ込んでくる。

 敵は──一人がネオスで、一人が人間だ。


 ライジングアースも、アコーディオとアリューシャンの攻撃に呼応するように、ロケットパンチを発射する。

 ビッグマン(ロボ)のロケットパンチは有線である。

 これは対電子線を意識したもので、リアルタイムに誘導サブルーチンを更新・改変することで、敵のEMP攻撃を回避することができる。

 しかし、その分射程は1.5~2マイルほどと限られる。


 しかし、この狭いドーム・シェルターのなかではそれで十分だった。

 うなるワイヤー。斎賀も顔をしかめる。

 ぎゅるんときりもみ軌道を描いて、アコーディオのロケットパンチとライジングアースのロケットパンチがぶつかりあった。

 飛び散る火花。ビルとビルあいだに、衝撃波が伝わっていく。

 がこん! と、ライジングアースのコックピットが揺れた。

 足下の地面が、すこしくぼんでいる。


 一方、アリューシャンのミサイル攻撃に対しては、左腕のロケットパンチが向かっていく。

 手には、さきほど引き抜いたクレーンが握られている。

(昔見たアニメの『ルパン三世』のようだな?)と、斎賀は思った。

 その意識が、ミューナイトにも伝わる。

 高速でアーカイブを検索。

(ルパンの味方、石川五ェ門のように、斬ればいいのね?)

 左腕に握られたクレーンが、アリューシャンのミサイル4発を高速で次々に叩き落す。

 地面とビルにたたきつけられたミサイルが、爆音を上げる!

(やった!)

 と思うミューナイト。

 斎賀もほっと息を吐いた。


 これで、アコーディオとアリューシャン両方の攻撃を相殺できた。


(サイガ、この子、飛行形態に変形できるよ?)

 突然、ミューナイトが声を高めた。

(なんだって? そんなこと今わかったのか?!)

 斎賀がメッセージを返信。

 ミューナイトはコンソールを操作している。

(ボディ各パーツの情報は把握していた。でも、その稼働システムとなると、ライジングアースは部分的にしか情報を伝えてくれないの。まだ、わたしとこの子は同化の途中にある……)

(つまり?)

 斎賀は、まだよく分かっていない。

 ミューナイトが高速でメッセージを送る。

(この子のボディを思いやってあげないと、実際にどのように稼働するのかが分からないの。人格サブが、情報開示を拒否しているの。まだ、未知の武装なんかもあるのかもしれない……)

(なるほど。敵にも味方にも謎の武器ってことか!)

 たしかに。

 それでは、正規パイロットが配属される前は、このライジングアースも本来の性能すべてを発揮することはできなかっただろう。

 さっきのように、輸送・移動の途中で人間に奪取されてしまう、ということも起きてしまうのだ。

 それは、現場と司令部との齟齬から起こったファクトだろう。

 斎賀は、あらためて自分たちの幸運を思った。


(ミューナイト、飛行形態で飛び去る前に、その未知の武器とやらを試すことはできないか?)

 斎賀が、高速で思考をめぐらせた。

(できると思うけれど……何が起こるのかの分析はできないよ?)

(それでも試してみる価値はある。今は、とにかくピンチだ)

 ミューナイトは、ネオスらしくもなく息を飲んだ。

 そして、斎賀は落ち着きはらっている。

ロボ戦、次章に続きます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ