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地上戦機ライジングアース  作者: クマコとアイ
第一部

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12/96

12.ライジングアース奪取!

やっと出てきます。

 ビッグマンNNN‐3は、山側のドーム出口へとむかってゆっくりと歩いていた。

 フルスロットルではないらしい。

 そもそも、あのビッグマンに飛行能力はあるのだろうか?

 従来型のビッグマンに比べて、すこし大型のようだが?


 斎賀は、せわしない時間のなかでもそんな思いをめぐらしていた。

 ミューナイトが、彼の腰にしっかりと手をまわしてつかまっている。

 彼らの乗るドローンは、あっという間にNNN‐3に接近する。


 機銃の音が響いた!

 警戒されていたと見える。


(なるほど、やつら。人間とネオスの2人だと思って、あなどったな?)


 斎賀は、ポケットに潜ませていたコンパクト・タイプのジャミング・システムを取り出した。

 これは、兵器類のAI照準機構をクラッキングして、射線をゆがませるというものである。

 キューイーーーン!

 という音を立てて、コンパクトがうなる。

(このタイプは、人間の生身にも害がある、というのが難点だな……しかし、サテライト群が機能していないこの状況では、都合がいい)


 斎賀が足元のペダルを踏んだ。ドローンが急上昇する。

 高射砲が目標を失って、ドーム天井にパ、パ、パンという当て外れの弾を打っている。

 ローカルネットでは、目標の位置・方向分析にやや時間がかかるらしい。

 これも、助かった。


「ミュー、パンくずはこちらに向けているか?」

 斎賀が叫ぶ。

「やってる。急いでビッグマンの足元に集めている」

「そうだ。奴らはどうせAI照準だ。人間を準備していなかったのが、やつらの仇になる」

「それくらいは、ジェマナイも予想していたと思うけれど?」

「人員削減だな!」

「人間嫌いのせいかも……」

 そんな冗談を言い合っているうちに、ドローンはNNN‐3の頭の上に。


 敵側からもドローンが出てきた。

 この間45秒。

 思っていたよりも早い。いや、想定内だ。

 ドーム内の低い空のうえで、ドローン同士が交錯する。

 敵兵士(人間だろうか? ネオスだろうか?)が、ライフルを構えている。


「ミュー、撃て!」

「了解!」

 ミューナイトが何発か銃弾を発射する。

 こちらは、AI脳の目視による正確な射撃である。

 何人かの兵士が銃弾をくらって、地上に落下した。人間らしい……


(ネオスではなかったか。後味が悪いが、今は助かった)


「気をつけろ? ミュー。外のビッグマンも動き出すぞ!」

「それは、NNN‐3を奪ってから!」

「その名前、嫌いじゃなかったのか?!」

 空中戦の最中で、声も自然と高くなる。


 斎賀は、いくつかのドローンをかわすと、NNN‐3のコックピットらしいハッチにドローンを取りつかせる。


 と思ったが、再びドローン上の兵士による攻撃。

 斎賀のドローンは、再度急上昇。

 ミューナイトが敵兵を狙撃する。

 遠くで、がさりと人の落ちる音。

 ミューナイトは表情を変えない。

 ネオスにとって、やはり人間は異種族なのだろう……と、斎賀は思う。


 何度かの空中での交錯を経て、斎賀は3度目にNNN‐3のコックピット・ハッチにとりついた。

 マグネットが、かちりとした音を立てる。

 ポケットから携帯小型汎用レーザーを取り出して、ロック箇所らしい部分に押し当てる。

 ウィン! と鳴って、レーザーが作動する。

 レーザーを握りしめている、右手に負荷がかかる。

 取り落としそうになるが、必死にこらえる。

「痛い、が、ここで負けんな、俺!」

 斎賀は唇をかみしめた。


「ミュー、夜光虫を!」

「わかった」

 ミューナイトが、ポケットから新しいナノマシン兵器を取り出す。

 見た目は、人間が飲む錠剤の飲み薬のような形状だ。

 それを器用に指でひねって、ミューナイトはハッチの溶解した部分に押し当てる。

 ハッチの焼け焦げた部分から、ナノマシン型のドローンが侵入していく。

 夜光虫とは、システムのクラッキングに特化したナノマシン・ドローンだ。

 これで、内部でロック機構を破壊して、ハッチを開けることが出来るだろう……

 あとは、開錠までのあいだ敵の攻撃を防ぐことだ。


 一度クラッキングされて効力を失った武器は、リカバリーまでに時間がかかる。

 斎賀がクラッキングした機銃類も、依然としてドーム天井に銃弾を放っている。

 ドローン群はいまだに飛び回っているが……斎賀のコンパクト型ジャミング・システムでは、飛行機能まではクラッキングできないのだろう。

 斎賀は、旧式の武器と最新の武器を場面に応じて器用に使い分ける。

「マジシャン」というコードネームが伊達ではないと、ミューナイトは思った。


「ミュー、夜光虫は何秒で機能する?」

「侵入までに1分。クラッキングは2秒もかからない!」

「おう。どうやら、お前も興奮してきたようだね? おりこうさん!」


 ドローンをNNN‐3のハッチから離脱させて、また数度敵のドローンと交戦する。

 そのなかに、子ルーチンらしい兵士が何人かいた。

 死闘の末に、打ち倒す。

 ミューナイトがほっと息を吐いた。

 やはり、同じネオスとの対峙では緊張するらしい。

 ミューナイトのAI脳が、高速で演算し、敵ドローンの飛行した航跡から、次の位置を予測する。

 さらに、敵をかわすためのドローンのあるべき位置を斎賀に伝えつつ、おとり弾と、本命の弾を発射する。

 それで、完璧だった。


「サイガ、敵の子ルーチンが『カミカゼ』タイプじゃなくて、良かったよ」

「だな。人間もネオスも、自滅上等なんて、歓迎したくないぜ!」


 斎賀が、4度目にコックピットにとりついた。

 ミューナイトが、ドローンから飛び降りて、ハッチを開放する。

 ビッグマンのコックピット内部から、驚いた顔が彼らを見上げた。

 人間が1人。ネオスが1人──と、斎賀は見た。


「降りろ! このビッグマンは俺たちがもらう!」

どうやってライジングアースを奪うかはいろいろ考えたんですが、こんな感じです。

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― 新着の感想 ―
ついにビッグマンを手に入れるところまで来ました!これがライジングアースになるのですね。 サイガとミューナイトの関係がなんだか不思議で面白いです。(╹◡╹) 個人的にはシエスタがカッコ良くて好きになりま…
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