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魔女との契約婚で離縁すると、どうなるかご存知?【電子書籍化・コミカライズ進行中】  作者: 白雲八鈴


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第94話 思っていたより早い

「ふむ。魔糸の繭状になったであるな。ここまでは聞いていた話と同じである」


 魔法陣の中にいた魚人は、魔法陣から出てきた青白く光る糸に巻かれて、今は姿が見えなくなってしまいました。


 ここに到着して十数分ほどのことです。


 普通であれば、複数体を融合させるのに繭状になるそうです。

 ここまでは魔女の知識としてありますので、未完成なものを始末した魔女が記憶の共有化をしたのだと思います。


 ただ、このあとどうなるのか私にもわかりません。


「薬師の魔女。使い魔の状況は如何様なものか」


 私は、私の魔力を糧に作った使い魔の位置を探ります。

 五体中四体までは定位置にとどまっており、残り一体が短距離を行き来しているのが感知できます。


「グエンデラ平原にいる一体が何者かと接触したようですわ。それ以外は準備できています」

「ふむ。思っていたより完成が近い。今、ここで強制的に割り込んだ方が良いか、もう少し待つか。敵の出方がわからぬゆえ、どちらが正解か迷うところである」


 この大陸には定住していない種族を用いて、用意周到に計画されているこの実験。

 おそらく失敗しても成功してもいいのでしょうが、ここまで巨大な魔法陣を用いてきたのであれば、失敗しても何かを仕込んでいそうです。


「使い魔のところに転移で飛びます。でが、一回では飛べませんので、時間は多少かかります」

「わかっておる。魔力食い(ギルエンダー)の木であるな」

「はい。一度術が強制的に解除されます……あ……いいえ、こちらが対応可能になれば、上空に緊急信号の光を打ち上げますが」

「途中までしか上がらんからきちんと見ておけということであろう。年老いてもまだまだ現役である。馬鹿にするでない」


 私の言いたいことは伝わったようなので、どくどくと心臓が鼓動しているように青白く光っている繭のことはお任せしましょう。


「何かあれば、ガンディス渓谷のほうに逃げてください」

「ふん! 若作り魔女に頼るほど落ちぶれてはおらぬ。さっさと行けい!」


 まるで追い払うように手を振ってくる魔導師長さんと距離を取ります。


「シルヴィア。さっきの話がいまいちわからなかったのだが」

「説明はあとです」


 鈍器で地面を叩き、転移の魔法陣を出現させます。

 一度行ったところしか転移はできませんが、使い魔という目印があればそこを目指して転移はできるのです。

 いわゆる座標ですわね。


「『転移(エレアス)』」


 転移を呪文を唱えると、視界が歪み白い物が目に映り込みました。


「うわ! 後ろが崖!」

「クロードさん。ここは徒歩で通り抜けます」


 転移で出てきたところは、森とグエンデラ平原との境にある切り立った崖の上です。


 魔力食い(ギルエンダー)の木は魔物と人との生活圏を分けるにはよかったのです。しかし、強い魔物がここを超えられないということは、魔力で通り抜けできないということなのです。

 なので、飛行もできなければ、転移もできません。


 だから、私の転移は強制的に、魔力食い(ギルエンダー)の木の群生地手前で解除されてしまったのです。


「確かここは魔物が寄ってこないと言っていたところだよな?」

「はい。魔力を奪われるので近づかないが正解ですね」

「以前も思ったが、特に魔力が減った感じがしないが?」

「花が咲く時期はこの場にいるだけで影響がありますね」


 目に映らない花粉を無意識に吸ってしまうので、影響が大きくなります。今は木の幹にでも触れなければ何も問題はありません。


 ですが、私は敢えて枝を握り、折っていきます。これはこれで使いようがありますからね。


「クロードさん。おそらく、このケットシーの親が、今から行くところにいると思うのです」

「ああ、普通は幼生だけでいないだろうからな」


 私の外套のフードの中には、丸まって寝ているケットシーの幼生がいます。その存在を確認するようにフードを少し持ち上げました。


 動かないのでまだ寝ているのでしょう。


「『傀儡の術』。これが使われていたら、助けるのは困難です」

「なぜだ?術の解除ができないのか?」

「術の解除はできます。しかし(フメッグ)族のように命を対価にして術を発動していれば、助けることはできません。だから……」

「わかった。俺に任せろ」


 私は予想で言っていますが、おそらく合っているでしょう。

 グランディーア兄妹はそこで見てはいけない何かを見た。そして精霊魔法で忘却の術をかけられたのです。


 しかし、私もクロードさんもあの日グエンデラ平原にいたにも関わらず、何も感知することはなかったのです。

 それほどの隠蔽術は普通ではないと思います。


「だから……相手の視界に映り込む前にケリをつけます」

「いくら背の高い草に視界が覆われても近づけばばれるぞ」

「ここにはいない何者かが、傀儡の術をかけた者の目を使って見ているかもしれません」


 あの者であれば、平然と非道なことは行うでしょう。いいえ、あの者の思想を受け継ぐ者と言い換えたほうがいいでしょうか?


 世界を混乱に陥れる者『ドルヴェデイド』。


94話でした。読んでいただきましてありがとうございます。

次回も日曜日投稿になります。

よろしくお願いいたします。

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