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第9話 魔力の回復アイテムは人それぞれ

 町に近い深淵の森の中は、それなりに人の手が入っており、歩き易くなっています。

 しかし、鬱蒼と茂る木々は太陽の光を遮断し、視界を悪くしていました。


 そこで役に立つのが、このカンテラです。


 え? 魔法で明かりを灯せばいいのではと?


 まぁ、これには仕掛けがあるのです。


「そんな古めかしいものを、よくもってるな。今は魔導灯の方が手に入りやすいだろう?」


 私が亜空間収納から取り出したところで、物珍しそうに言われてしまいました。

 クロードさんが言うように、魔石を発光させて明かりを灯す魔道具が一般的に使われています。

 しかし、私は敢えて蝋燭に火をともすカンテラを使用していました。


「この蝋には魔物避けの香りを出す薬草の成分を入れているのです。『火よ(イニス)』」


 そして火をともしたカンテラを亜空間収納から取り出した木の棒にかければ、魔物除けと明り取りのカンテラの出来上がりです。


「それ、魔法使いの杖じゃないのか?」

「そう言えば、魔女のねーちゃんが杖を使っているところを見たことねーな」


 身長ほどの長さの木の棒の先には、鈍器になりそうな大きな魔石がくっついており、その下にはカンテラをかけるための、突起のような枝があります。


「まぁ、いいではないですか。先を急ぎましょう」


 私はサクサクと歩き始めます。


「魔女のねーちゃん。こっちの道だ。レバーラの湿原に行く方向だ」

「それ、先に言ってもらえます?」

「いや……レバーラ湿原だと説明の途中で、魔女のねーちゃんが……うぉ!」


 バルトさんの言葉を止めるように、木の棒を振り下ろしました。


「深淵の森に行くなら、魔力の補充は必要ですので、聞いていなくても仕方がないですよね?」


 今朝、長距離の転移を施行した上に、契約まで行ったのです。それも物体Xが出来上がるほどの呪いの契約です。

 それは私の魔力の半分は消費することになりますよね?


「でも、普通はあんなに食うか?……あっぶねー! 今、火が出たぞ! 火が!」


 木の棒の先から火が出たことに驚くバルトさん。それは火ぐらい吹くでしょう。


「魔力の補充は人それぞれだからな」


 バルトさんが逃げるように先に進んで行ったので、その後に続くようについていきます。


「魔力の回復薬でもいいのだが、如何せん不味いのがいただけない。あれはもう少しなんとかならないものなのか?」


 クロードさんが聞いてきました。聖騎士であれば、魔力の回復薬を使用することもあるでしょう。

 確かに、服薬するには喉に引っかかるエグみがなんとも言えません。


「まぁ、毒草が入っているので、不味いですわね。だから緊急時しか使用しないという制限があるはずですよ」

「毒が入っているのか?」

「薬も飲み過ぎると毒ですよ?」


 魔力を多く含む薬草は大抵、毒を持っています。そもそも人の身体に自然界の魔素が無毒かという話になるのですが、魔素を多く含むほど、人の身体に悪影響を及ぼすのです。

 しかし、魔力が回復するという矛盾が生じるのです。


 それを補うのが日々の食事です。人が食べるものにも魔素が含まれており、それを取り込むことで、魔力を補充することができるのでした。

 とは言っても、一番は一晩ぐっすりと寝ることですよ。


「使用制限があったのは確かだ。しかし、シルヴィアがあんなに甘いものが好きだったとはな」

「……」

「やっぱり好きなものの方が回復しやすいよな? 俺は断然に肉だな」

「……」


 好きな物の方が魔力の回復率は高いことは、魔法を使う者の中では常識と言っていいです。


「へぇー。好きな物の方が魔力が回復しやすいって知らなかったぞ。ってことは、練り飴や焼き菓子をあんなに大量に買って食べきったの……うぉ!」

「バルトさん。私が食べ過ぎみたいなことを言わないでいただけます?」


 だから近接戦闘系から見ると、爆食いしているようにしか見えないのも事実。


「ちょっと待て! さっきから、おかしいだろう! なんで武器として俺を攻撃してくるんだ!」

「メイスですから」

「どう見ても魔法の杖だろうが!」


 どうして見た目を気にするのでしょう?  魔法の杖のように見えて、鈍器として使えるなんて最高ではないですか。


「魔法使いの弱点は近接戦闘です。それは魔女も同じ。この枝に付属品を付けることで、属性攻撃もできる改造杖。いいではないですか」

「杖って言ってるじゃないか!」


 バルトさんは頭が硬いですわね。


「シルヴィア。それは凄くいい武器だな。しかしこれからは俺がいるから、魔法の杖として使うといいぞ」


 近接戦闘はクロードさんに任せろということですか。しかし必要になることもあるでしょう。


「そうだ。シルヴィア。甘いものが好きならハイヴァザール公爵家から、砂糖を取り寄せようか?」

「砂糖! 薬としても高級素材!」

「あと南方から取り寄せたカカオもあるぞ」

「回復素材の最高級のカカオ!」


 ファインバール伯爵家のツテでも、中々手に入らなかったカカオが手に入るのですか!

 クロードさん!


「それ欲しいです!」



たくさんの方に読んでいただきましてありがとうございます。


なんと!皆様に応援していただきましたお陰で、昨日【電子書籍化】のお話をいただきました!

ありがとうございます!

まだ書き始めたばかりですので、お手元にお届けできるのには時間がかかりますが、引き続き応援していただけると嬉しく思います。


それから「皇妃の逃亡計画」も【電子書籍】のお話をいただいきましたので、先にそちらをお届けできると思います。

詳しいことは情報公開の許可が下りてからになりますが、皆様に少しでも楽しんでもらえるように頑張っていきます。

本当にありがとうございます!


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こうしんがはやい。 あと、電子書籍化おめでとうございます。
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