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魔女との契約婚で離縁すると、どうなるかご存知?【電子書籍化・コミカライズ進行中】  作者: 白雲八鈴


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第84話 魔物ですか?亜人種ですか?

 クロードさんに沼から引き上げられた冒険者の方は見慣れない男性でした。


「何だこれは?」

「亜人ですわ」


 緑がかった皮膚は毒素がある粘液に覆われており、頭部は脳が縮小したかのようになく、左右につく大きな目が特徴的です。

 そして穴が空いただけの耳まで裂けた口。


 アルフェレア大陸には居ないと言われている亜人種。(フメッグ)族です。


 この感じだと、死後それほど時間は経っていないようです。この辺りの魔物に、一部が食べられている様子がありませんから。


 それから、魚人と間違っても仕方がないと思います。

 だって籠手の先から出た指の間に水掻きがあるのですもの。


 この籠手は種族的に指先まで覆うことが不可能なため、この辺りでは流通していないものですね。


 オーダーメイドか、それとも元から持っていたものなのか。まぁ、私が気にすることではありませんわ。


 その(フメッグ)族が、革の鎧をまとって沼の中でことが切れていたのです。

 水辺で暮らしているという(フメッグ)族がです。


(フメッグ)族とは、おかしいですわね」

「その……(フメッグ)族? がここにいるのがか? 確かに初めて見たが」


 やはりクロードさんは、見たことがないのですか。

 しかし放浪好きのケットシーがサイさんの友達らしいということは、大陸を渡る航路が確立されているということでしょう。

 問題は……


(フメッグ)族が、湿地帯で死んでいるということです。それも特に外傷が見られないので『魂食い(ソウルイーター)』にやられた可能性があります」

「外傷がない? 確かにないが、それが特徴なのか? それだと、今まで倒してきた奴らが攻撃してきたのと矛盾していないか?」


 ……ああ、クロードさんは(フメッグ)族を初めてみたと言っていたので、特性をしらないのですね。


「違いますよ。そもそも水辺を好む種族ですから、水辺に住む魔物の対処法など熟知しているということです」


 それに亜人種は、魔物と違い武器を持てます。身を守る防具をつけているようにです。


「それに表皮には毒がありますので、多少の毒は効きません。あ、毒の採取をしてもいいですか?」

「あ……ああ。ちょっと亜人というものが、魔物とどう違うのかわからなくなってきたのだが?見た目はどう見ても魔物に近いよな」


 私が嬉々として、(フメッグ)族の緑がかった皮膚から毒を採取していると、クロードさんの困惑した声が聞こえてきました。


 改めて、(フメッグ)族の姿を視界にいれます。しかし、どの辺りが魔物と同じなのでしょう。


 ん? ああ! わかりました!


「ゴブリンは魔物ですか? 亜人種ですか?」

「魔物だろう」

「亜人種です」

「は?」


 そもそもの基準が違うのですわ。


子鬼(ゴブリン)族という亜人種です。彼らは集団で暮らし、武器や防具、そして言葉を使います」

「ギャギャギャとしか言っているように聞こえないが?」

「でもそれで、統制が取れていますよね」

「確かに……」

「一番区別しやすいのが、魔王に支配されるかどうかですね」

「全然わからん」


 え? そうですか? 魔物の王である魔王に支配されるのが魔物で、亜人種はその軍門に下ることはあっても、支配されることはありません。


「そもそも魔王というのは本当に存在するのか? 物語だけの話ではないのか?」

「いますよ。というか、周期的にまだ存在しないと言ったほうがいいですわね」


 魔王は世界によって生み出される存在なので、必要があればの話ですわね。


「時々だが、シルヴィアの言っていることがわからなくなるのだが、魔王は未来で存在するということなのか?」

「勇者という存在と同じです。勇者は過去にいました。ですが今はいません。しかし世界の危機が訪れれば、勇者は現れる。それが世界の理です」

「なんとなくだが、わかったような気がする」


 これは、納得はしていないという感じなのでしょう。

 私はある程度調べ終わったので、(フメッグ)族の死体を亜空間の中に収納します。

 恐らく今回の事件に関わっていると思われますから。


「シルヴィア!」


 突然クロードさんが私を抱きかかえて、木の板の上を疾走しだしました。


「何かやばい奴がくる! 青虎(ベルドーラ)が警戒している」


 クロードさんから低い唸り声が聞こえてきているので、青虎(ベルドーラ)が警告を発しているのでしょう。

 ですが、絶対に私の前で青虎(ベルドーラ)を出さないでくださいね。


 しかし、これはどうしたものでしょうか?


 背後から迫ってくるモノ。その魔力量とゾクゾクするほどの冷気。

 クロードさんの速さについてくることから、なんとなく予想がついてしまいました。


 あれ、絶対にこの深淵の森ヴァングルフにはいない種です。



 そして、突如として視界が晴れました。


 足元に広がる青い花畑。その中に溶け込むように存在する青い空を映す泉。


 レバーラの湿原の水源にあたるキアランの泉です。

 私が必要なのは、この泉の周りに年中咲き誇っている青いベルのような形をした花です。

 花弁が下に向いているだけなのですが。


 そして、背後から迫ってくる冷気を帯びた存在。この冷気、バジリスクのときにも感じましたわ。


 バジリスクが冷気をまとうとは、その個体種の特徴かと思っていました。ですが、もしかすると、こっちが本命だったということでしょうか?


84話でした。読んでいただきましてありがとうございます。


次回は日曜日です。

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