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魔女との契約婚で離縁すると、どうなるかご存知?【電子書籍化・コミカライズ進行中】  作者: 白雲八鈴


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第82話 神官騎士では駄目なのですか?

 以前もあったのですが、何故か治癒師のサラさんは、私に頼ってくることがあるのです。

 私は魔女であって、治癒師ではありませんわよ。


「魔女さんは私よりもよっぽど治癒師らしいです! 冒険者ギルドに来てください!」


 謎の言葉を言ったサラさんは、私の手を引っ張って西門の方に向かっていっています。


「あの? 何があったのですか?」


 私は若返ったサイさんから、『ラグロワール』とエリアーナさんが先に森に入っていると聞いたぐらいです。

 その後の話は全く知りません。説明が欲しいですわ。


 あ、エリアーナさんがいるではないですか。私よりも本職の神官騎士アレアリエーレがです。


「そうです。私よりも、ご一緒に行動をしていたエリアーナさんにお願いしてください」

「……え? あの人に?」


 なんですか?その微妙な感じは。

 エリアーナさんであれば、それなりの治癒魔法が使えるはずです。

 あれだけ聖気をまとっていれば、初歩の治癒魔法でもかなりの効果があると思います。


「って、聖騎士さんの肩になにやらモフモフが!」

「オプションなので、気にしないでください」


 店にケットシーの幼生を一匹放置しているのもどうなのかと思いまして、連れて出ていたのです。

 誰も何も言わなかったので、見えていないのかと思っていたのです。しかし、どうやら皆さんスルーしていただけのようですわね。


 クロードさんは全体的に白いので、黒いケットシーは目立ちますからね。


「それで、エリアーナさんでは、なぜ駄目だったのですか?」


 あのやる気満々のエリアーナさんであれば、『ラグロワール』全員の回復など簡単に成したと思うのです。


「あの人なんだか怖かったのよ。言葉がなんだか通じないし」


 ああ、聖水の効果が効きすぎてハイテンションのままだということですわね。


「では、何が起こったのですか?」

「火竜が出たのよ。竜なんて、深淵の森『ヴァングルフ』にはいないわ」


 火竜ですか。そうですか、ヴァングルフにはいないのですね。


「傷は火傷と裂傷ですか?」


 火竜といってもピンからきりです。ですが、私に助けを求めてきたということは、火傷の具合が酷いということでしょう。


「はい。私では……その……力不足で……ツヴァイさんが、命を引き止めたというところです」


 ツヴァイさんは『ディナート』の治癒師ですね。

 しかし火傷の薬ですか。あるのは少量でそれも全部回収されてしまいました。


「私の店から回収した火傷薬はどうしたのですか?」

「それは、ここに戻ってくるまでに使ってしまいました」


 その言葉に私は足を止めます。

 困りましたわ。


「その……申し訳ないのですが、火傷の薬はそれ以外作り置きがないのです。材料も無くて直ぐに作れる状態でもないのです」

「そんなぁ。私なんかに薬を使うから……」


 ああ、治癒師のサラさんに、火傷薬を使ってしまったということですか。

 治癒師を最優先に回復させたのは、悪い判断ではありません。


 これは先にエリアーナさんを説得して治癒魔法を使ってもらったほうが早いですわね。


「いま、エリアーナさんはどちらに?」

「一旦戻ってきて、サイ爺と大魔女様様と一緒に火竜討伐に向かいました」


 幻惑の魔女の呼び方がおかしいですわ。()が多いです。


 しかし、そうですか。火竜討伐に同行したのでしたら、仕方がありません。


「グランディーア兄妹も同行されたのですか?」

「そうです」


 レイラさんも頼れないのですね。そうなると……私は背後にいるクロードさんを窺いみます。


「クロードさんは治癒魔法を使うことができますか?」

「必要ないから、簡単な回復魔法しか使えない」


 治癒ではなく回復魔法ですか。そうですわね。聖女がいる聖王国では治癒魔法を聖騎士が使う必要がないということですか。


「それに聖獣と契約していれば、傷などは徐々に治るし、毒もほぼ効かないからな」


 あ、聖獣の守護的効果ですか。

 そうなってくると、やはり素材採取に行くしかありませんわ。


「サラさん。直ぐに回復魔法で現状維持をしに戻ってください。あと……これを」


 私はサラさんの手に、空間から取り出した青い魔石を渡します。


「これは?」

「水精霊の力を宿す魔石です。あ、これは貴重なものなので貸すだけですよ」


 置いておくだけでも水の気が空間に満ちるので、火傷の傷にはいいでしょう。


「私は今から素材採取に行ってきますので、それまで頑張ってください」


 そう言って、私はサラさんの手を外して、鈍器を取り出す。


「魔女さん。私では……」

「サラさん。自信をもってください。サラさんは『ラグロワール』の治癒師なのですから」


 私は鈍器を横に構えて腰を下ろす。そして空へと飛び立った。


「シルヴィア! 単独行動は駄目だ!」


 が、その鈍器の端をクロードさんに掴まれて、引き止められてしまいました。

 そうでした。主従の契約があるのでした。


「クロードさん。一度、契約を見直しませんか?」


 これだと、私が魔女として思うように行動ができません。


「今すぐには無理だ。契約の内容の変更には条件があるから」


 その言葉に私はガクリと肩を落とします。

 聖王はよく我慢できていますわよね。

 はぁ、今から行くところは空から行ったほうが近いのですけど、仕方がないですわ。


 ……あれ? そう言えば、空を飛べるとかクロードさんは言っていませんでしたか?

 あと、何故にクロードさんに抱えられているのですか?

82話でした。読んでいただきましてありがとうございます。

次回は日曜日投稿です。

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