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魔女との契約婚で離縁すると、どうなるかご存知?【電子書籍化・コミカライズ進行中】  作者: 白雲八鈴


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第81話 厄災を生み出す理由

「結局謎の部分が多いな」


 忙しなく、人々が行き来している町の中を歩いて戻っています。


 クロードさんが言うように、謎の部分が多く魔導師長さんに意見を聞いてもわからない部分が多いです。


 そもそも、グランディーア兄妹がどこで精霊魔法に掛けられたのかです。途中まで共に行動していたので、そこまでは問題なかったと思います。


 魔女である私が、魔法に掛けられたことに気づかないとかはありえません。

 絶対とはいいませんが。


「そのアルマトルーだったか? それを出現させてどうするんだ?」


 あ、そっちですか。

 そうですわね。こちらの大陸ではあまり痕跡が見られませんので、名は知れ渡っていないのでしょう。


「世界の浄化ですわ」

「は? ……いや、厄災魂を食らうもの(アルマトルー)ってことは、生き物は全部食うってことだよな」


 ええ、名前が示すとおり、人だろうが魔物だろうが魔獣だろうが、関係なく食べるのです。

 だから厄災と呼ばれているのです。


「術者も食われるだろう?」

「そうですね。世界の浄化が目的ですから」

「何か知っているのか?」


 知っているというか、魔女の誰もが持つ知識でしょうか。


「私の知識では、千年前ほどですね。こちらの大陸ではアンラヴェラータ魔導王国が最盛期の頃です。ドルヴェデイドという者が世界の在り方の不自然さを説いて、世界の浄化を掲げた戦乱が起こりました」

「そんな歴史など知らないが?」

「ふふふ。魔女たちの中でアンラヴェラータ魔導王国に、一目置いていたところがここですね。ドルヴェデイドの思想を持つものを、アルフェレア大陸に入れなかったことです」


 魔法での排除です。それを大陸全土で行った。だから、この大陸ではドルヴェデイドの戦禍に見舞われることがなかったのです。


「今回もその者が行っていると?」

「さぁ、どうでしょう? ドルヴェデイドは魔女たちによって粛清されましたから、術だけ残った可能性の方が高いでしょう」


 魔女たちが動いたので、世界に混乱をもたらすものを、徹底的に排除したはずです。

 禁厭(きんえん)の魔女の知識では、そう聞いているという曖昧さがありますので、その戦いには参加していなかったと思われます。

 そう魔女たちの間で、情報の共有化がされたということです。


 そもそも禁厭(きんえん)の魔女は、戦う魔女ではありませんからね。


「それを悪用していると?」

「それにしては中途半端なのですよね」

「は?」

「千年前は百体の魂を食らうもの(アルマトルー)が出現し、世界の大半が恐怖に陥れられたのですよ」


 まぁ、魔女たちのお陰で魂を食らうもの(アルマトルー)を出現させない方法が確立されたので、出現前に対処したというのもありますね。

 それに、初期の段階であれば、私でも対処は可能でしょう。ええ、相打ち覚悟ですが。


「百体……想像ができないのだが、青炎竜(アウロディゼロ)とどちらが強い?」

「そうですね。初期の段階であれば、異界の勇者より弱いでしょうが、魂を食らうほど強くなりますので、最終的に普通では手足がでないほどでしょうか?子供がドラゴンを相手にするようなものですね」

「それはヤバいな」


 わかりやすい例えを言ったつもりですが、隣で歩くクロードさんは笑っています。

 えっと、戦ってみたいとか言わないでくださいね。


「あ……やっぱり閉まっているな」


 どうやら今朝、クロードさんが来た時に閉まっていたので、お昼すぎにならと来てみたパン屋のレメーリア。

 因みに今朝の私のケーキはエレンシア商会で買ってきてくれたそうです。


「店主さんも参加されているのでしょうね」


 今日は中央地区でも、ほとんどお店が閉まっていました。

 エリンさんが言っていたように、中央地区でもお店を持つ人には、有事の際には戦闘に参加する義務が発生しているようです。


「今日は帰って薬を作ったほうがいいということですわね」


 今日は町の中も騒がしいので、大人しく南地区に戻ったのでした。




「魔女さーん!」


 魔女の薬屋がある路地に曲がろうとすると、遠くの方から私を引き止める声が聞こえてきました。

 視線を向けると、何やら慌てた感じで走ってくる顔見知りの冒険者の女性がいます。


「はぁはぁはぁはぁ……やっと……見つかった……」


 どうやら薬屋が閉まっているので私を探し回っていたようです。


「あの?『ラグロワール』は先に森に入ったと聞きましたわよ?」


 私を見つけて駆け寄ってきたのは冒険者チームの『ラグロワール』のサラさんでした。

 もしかしたら数が少ない治癒師なので、別行動しているのかもしれませんね。

 しかし、なんだか灰をかぶったように、アチラコチラが黒く汚れています。


「魔女さん。助けてください!」

「……薬は根こそぎ持って行かれてしまったので、手持ちはほぼありませんわよ」


 個人的に使う用の薬は所持していますが、よっぽどのとき以外は使用したくないですわね。

 今は私が持つ分しか薬がないのですから。


「私では手に負えないのです」

「あの? 聞いています? 私は治癒師ではないので、治癒はサラさんの仕事なのですよ」


81話でした。読んでいただきましてありがとうございます。

次回は…来週も休みがないので、週のどこかで投稿できたら…無理なら日曜日投稿です。

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