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魔女との契約婚で離縁すると、どうなるかご存知?【電子書籍化・コミカライズ進行中】  作者: 白雲八鈴


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第72話 プライドを切り裂いた結果

「え? これは神様に愛され過ぎて、早く天界にくるようにということなの?」


 とても前向きな考えをもつエリアーナさんです。

 神というモノと霊獣白羽(フェアメージュ)との間に関係性など、まったくありませんわよ。


「でも、私はいい男との結婚退職が希望だから、いくら神様に請われても困る」


 それで、色んな殿方に声をかけているという噂が、流れていたのですね。


「そもそも何故、聖獣に対価を差し出すことを知らないんだ? それでよく聖獣が呼びかけに応じてくれるよな」


 お皿のお肉を完食してしまったクロードさんからの疑問です。

 私は再び焼き上がったお肉をカウンターの上に置きました。


「これで最後ですからね。そろそろ、店を開けるので追加は焼きませんよ」


 これで、打ち止めだとはっきりと言います。


「え? もう終わりなのか?」


 何故かものすごく落胆するクロードさん。頭の上の白い耳が折れている幻覚が……最近怪しい幻覚が酷いですわね。


「いつも以上に、食べていますわよ」

「まだ食べる気なの! 底なしの胃袋の聖騎士!」


 エリアーナさんは最初の頃と違って、クロードさんが聖騎士だと知ってから態度が一変しています。


 命を霊獣に奪われるということよりも、反応が大きいです。どれほど聖騎士の印象が悪いのでしょうか。


「わかった……我慢する」


 山のような肉の塊を平らげて、まだ食べられるようです。朝からどれほど食べる気だったのでしょう?


「足りないのであれば、お昼に食べてください。あと身体能力が強化されているので、色々気をつけてくださいね。扉の取っ手とか壊さないように」

「わかった……」


 これで、終わりだとわかったクロードさんは、お肉を噛み締めるように食べ始めました。


「クロードさんの質問なのですが、召喚の呪文が命令呪文なので、強制召喚です」


 これは術者が強制的に喚び出す呪文になります。だから霊獣に拒否権がないのです。


「あと、聖騎士は私の知識にはあるのです。しかし、神官騎士(アレアリエーレ)という役職を知らないのです。ということは、新しい職業ですわよね?」

「え? 貴女、神官騎士(アレアリエーレ)も知らないの? 聖魔法が使える魔法騎士(マテリエーレ)のことよ」


 その魔法騎士(マテリエーレ)も知りませんわ。恐らく帝国独自の職業なのでしょう。

 そもそも、騎士と魔法使いに分ければいいだけのことです。帝国のことに口を出す意味はないので、これ以上は言いませんけど。


「アンラヴェラータ魔導王国には、多くの霊獣使いがいましたが、その流れを汲むのが聖騎士になります」

「え? そうなのか?」

「ええ。ですが、聖騎士は聖王を守るために存在する組織なので、霊獣に関しての情報が他国に漏れることはなかったと思われます」


 クロードさんが、アンラヴェラータ魔導王国の文字が、神聖文字に似ていると言っていました。それには理由があります。

 アンラヴェラータ魔導王国にクーデターが起こり、その後アンドラーゼ聖王国が築かれたのです。

 今ではその歴史も消されてしまいましたが、アンラヴェラータ魔導王国の遺物がどこかに残っているはずです。


「いや、他にも霊獣使いという者がいるだろう? でないと聖獣を喚び出せないじゃないか」


 ああ、呪文のことですね。それは如何様にもなりますわ。


「魔女にも、使い魔というモノがいます。私は個別に契約したモノはいませんが、遠くに手紙を出す時に喚び出して、手紙を持って行ってもらうことがあります」


 この辺境都市『エルヴァーター』にたどり着いたときに、お世話になった人たちへのお礼の手紙を出したぐらいですけど。

 新天地で暮らし始めたと一言を添えてです。


 もちろん返事はありません。何処で暮らしているのかも書かず、使い魔も手紙を渡せば契約終了というものでしたから。


「カラスだと、対価が宝石なのです。そんなモノを頻繁に扱うと破産するではないですか。要は使い勝手が悪いのです。だから次第に霊獣使いの数が激減していったのですよ」


 恐らくアンラヴェラータ魔導王国では、霊獣使いへの支援がされていたのではないのでしょうか。

 そうでなければ、霊獣を扱うより己の魔法を極めたほうがいいに決まっています。


「そして未来をその目で見るという霊獣白羽(フェアメージュ)。恐らく道しるべの呪文だけが帝国に渡ったのは、未来を皇帝に示した霊獣使いがいたのでしょう」


 その霊獣使いの末路は知りませんが、ろくなことではなかったと予想できます。


「目? 閉じていたが、それは未来をみていなかったということか? 答えるときだけ開いていただろう?」

「だって、誰も未来を望んで喚び出したわけではなく、パフォーマンスをしろと喚び出していたということでしょう?」


 エリアーナさんは、霊獣白羽(フェアメージュ)にどのような能力があるのか知りませんでした。ただ神の力を示すためのパフォーマンスを行っただけです。

 そこに意味などありません。


「聖獣青虎(ベルドーラ)に、戦うために力を発揮するのではなく、人々の見世物になるために姿を見せろと言っているようなものです。それを聖獣青虎(ベルドーラ)は許しますか?」

「それは契約にない行為だ。だから俺はしない」


 答えになっていませんよ。クロードさん。

 まぁ、契約は互いに縛るものであるけれど、霊獣のあり方を尊重していることを示すものでもあるのです。

 だから聖騎士は聖獣と契約を交わし、対価を定めるのです。


 それがないのが霊獣白羽(フェアメージュ)神官騎士(アレアリエーレ)の関係です。

 強制召喚で呼び出された霊獣白羽(フェアメージュ)のプライドは、ズタズタになっているのでしょう。


 未来を見る目は閉じ、対価に命を求めているのですから。




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