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第64話 異界の勇者が興味をもったモノ

「異界の勇者は知っておるぞ」


 あら? 妖精国にまで、異界の勇者の話が伝わっているのかしら?

 大陸も違うといいますのに。


「魔王という存在を調べておったのぅ」


 ん? その話だと直接会ったということでしょうか?

 おかしいですわね。

 私がいるアルフェレア大陸からフェモーレ大陸に渡るには、エルフの王の許可がないと開かない海門を通る必要がありますのに。

 もしくは、シャロンさんのように空を飛ぶかです。


「あの? いつお会いになったのですか?」

「……さて? 十年前だったか、十日前だったか、いつであったかのぅ」


 覚えていないということですね。


「いや、十年前と十日前は全然違うだろう。それから、十年前は勇者はまだ召喚されていない」

「ん? 昨日かもしれんと言えばよかったかのぅ?」


 これは長寿のエルフ族だからでしょうね。朝と夜の認識はあっても、昨日だろうか1年前だろうが、十年前だろうが、同じという感覚です。


「そう言うことじゃない」

「クロードさん。シャロンさんを見てわかるように、先代の禁厭(きんえん)の魔女の頃から殆ど変わっていないと思われます」

「酷いのじゃ! 子供ではないのじゃ! それに魔女も変わらぬではないか!」


 身体が成長しても、シャロンさんの夢は叶いませんよ。それから成長が遅いと行っているのです。


「長く生きていれば、何も変化が起きなければ、日とか月とか年とか大した意味は持たないのですよ」


 それよりも気になったことは……


「シャロンさん。異界の勇者は、魔王に関する記述を見つけたのですか?」

「そんなものは、一般書庫には無いのじゃ。その代わり、魔女に関しての書物に興味を持っておったのぅ」


 ということは、魔王よりも魔女に関心をもっていたということですか。それであれば、あの新たな肉体を得て復活しようとする行動も理解できます。

 恐らく魔女の血の継承にヒントを得たのでしょう。


「アランカヴァルを手に入れれば、世界を手中に収められるかと聞いてきたのぅ」

「ん? それって最初の魔女なのだろう?」

「違うのじゃ。アランカヴァルとは……」

「シャロンさん。口にすれば世界の禁忌に触れます」


 私の言葉に、シャロンさんは慌てて両手で口元を覆いました。


「シャロンさん。その書物は何処か別のところに移動してください」


 口を両手で押さえたまま頷くシャロンさん。

 そのような書物は、存在しないはずですのに、誰が書き残したのでしょう。


「今日は帰るのじゃ。その書物は探して禁書庫に移しておくのじゃ」


 そう言って、シャロンさんは小型の飛竜に乗って帰って行きました。


「また来るのじゃ」


 という言葉を残して。



「クロードさん。私は急用ができましたので、夜ご飯は適当に食べてください」


 私はl絶対に料理はしないと遠回しに言って、ケットシーをクロードさんに渡しました。


「シルヴィア。俺はシルヴィアの剣だとさっき言ったばかりのはずだ」


 ……言われましたね。


「主であるシルヴィアに付き従うのは、聖騎士の役目だぞ」


 それを言われて遠い目になります。

 そうでした。そちらの契約がありました。

 聖騎士の主従の契約。


 しかし、私が行きたいところは普通のところではなくて……。


「別の魔女の家に行くので、流石にクロードさんを連れて行くのは……」

「行くに決まっているだろう」


 まだ解体し終わっていない魔牛(テュランブル)を収納袋にしまいだしましたので、本気でついてくるようです。


 大丈夫なのかしら?




「今から行くところは『天河(てんが)の魔女』のところです」


 私は小さな荷馬車に乗って、移動をしています。荷馬車と言っても、荷物が乗る場所はあるものの、今は何も乗っておらず、御者台に腰を下ろしていました。

 隣にはもちろんクロードさんが陣取っています。


「ちょっと、その前に聞きたいのだが、これはなんだ?」

「魔導生物です」


 クロードさんが指し示したのは、荷馬車を引いている骨です。

 骨が四足動物の形をして、舗装されていない地道を猛スピードで駆けているのです。


 これは丁度、クロードさんが解体した魔牛(テュランブル)の骨が残っていましたので、それをイジって魔導生物化したのです。

 いわゆる、魔法で生き物のように動いているモノと言い換えられますわね。


「魔導生物というもので、移動しないと行けないのか?」


 ここは魔女の島なので、目立ったことはできません。ですが、別に魔導生物にこだわる必要もないですわね。


「魔導生物でなくてもいけますが、普通の生き物だと窒息するので、可哀想だと思ったのです。普通の騎獣にしますか?」

「その前に、俺が窒息する可能性がないか?」

「そうですね……でも、ついてくると言ったのはクロードさんですよ?」

「あ……うん……そうだな……」


 魔女の中庭って、シルヴィアの庭と同じような感じではないのか。と、隣でブツブツ独り言を言っているクロードさん。


 だから、私は禁厭(きんえん)の魔女なので、薬草畑が中庭であって、他の魔女の中庭は魔女を示す特徴的な庭になっているのですよ。

 と、説明しようと思ったのですが、目的地が見えてきたので、見たほうが早いですわね。



64話でした。

日曜日予定が入り投稿できるか不明なため、本日投稿しました。次回は日曜日かもしくは火曜には投稿します。よろしくお願いします。


短編の宣伝をさせてください。


【真実の愛って何なのかしら?】

「私、愛人を作ってみようと思うの」

もう、夫と離婚してもいいと思うの、だから当てつけに愛人を作ればいいと思ったのです。

さて、誰に愛人役を頼めばいいのかしら?


みたいな話。興味があればお願いします

https://ncode.syosetu.com/n1717kz/



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