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魔女との契約婚で離縁すると、どうなるかご存知?【電子書籍化・コミカライズ進行中】  作者: 白雲八鈴


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第60話 神の審判?

「マリーや。いいから、取って差し上げなさい」

「はーい。あなた」


 サイさんの一言で、態度が変わる幻惑の魔女。思ったのですけど、お二人はなんとなく似ているのではないでしょうか?


 幻惑の魔女によって目隠しが取られた神官の女性。


「ありがとうございます。お優しい御方。私の名はエリアーナ・フェリアットと申します。以後お見知りおきを」


 風もないのに、ピンクゴールドの神がふわるとなびきます。そしてサイさんを見つめるピンクの瞳がキラキラと輝いていましたが、徐々にその光を失い、幻惑の魔女を睨みつけるように向けられました。


「ちょっと! ジジイじゃない! どれほどのいい男かと期待した、私のこの気持ちをどうしてくれるのよ!」

「はぁ? どこがディーがいい男じゃないと言うの? これほど素敵な人は他にいないわよ!」

「これこれ二人とも落ち着きなさい」


 騒いている二人の間に入ったサイさん。

 そしてピタリと動きを止める二人。


「マリーや。少し離れていなさい。それから、若い娘には優しくせねばならぬ」

「はい。あなた」


 凄く落ち込んだ感じの幻惑の魔女が、肩を落としながらこちらに向かってきました。

 えっと? 別に怒られた感じではなかったと思うのですが?


「凄いな。流石サイザエディーロ殿」

「え? 何が凄いのですか?」

「神官の聖気と魔女の魔力を相殺したのだ」

「相殺ですか?」

「ああ。もし、術が発動していたら、術が無効化していただろうな」


 術の無効化? それは魔女にとって致命的です。魔法が使えないことは、魔女にとって屈辱的なことですから。


 サイさんから怒られたのと同意義のようなもの。

 それで幻惑の魔女は落ち込んでいるのですね。


「神官のお嬢さんや」

「何よ。私は謝らないわよ。悪い魔女が私をここに連れてきた……」


 パンッと甲高い音が室内に響き渡ります。

 手を上げているサイさん。頬を赤くしている神官の女性。


 サイさん! さっきと言っていることが違います!

 優しくはどこに消えたのですか!


「その悪い魔女に、神官のお嬢さんは助けられたのであろう? 勇者の呪いの苦しみから助けられたのであろう? ならば、そのような態度は許されるものではないのぅ?」

「何よ! 魔女は呪いを受けても、なんともならないのでしょう! ならば良いじゃない!」


 そうですわね。引き受けた呪いは、隔離をしますので、身体に影響があるわけではありません。


「私は主に愛されているの。そんな呪いで死ぬような者じゃないの。主に愛されている私は人々から愛されるべきなの。こんな悪い魔女の住処にいるような者ではないのよ!」


 ……なんだか、理解できない言葉を言っていますわ。帝国の神ってアレでしょう?

 初代皇帝とかいう人だったわよね。


「あんな小物に何の力があると言うの?」

「ないに決まっているでしょう。英雄殺しの王に、神と名乗る資格なんてあるはずないでしょう」

「そうですわよね。使い潰した英雄の首を罪人に仕立て上げた、愚かな王というぐらいね」

「本当、昔からやっていることが変わらないのよ」

「なんだか。歴史の闇を聞かされているようだ」


 私の背後からクロードさんの引いた声が聞こえてきました。

 今の歴史は良いように書き換えられているので、真実ではないのですよ。

 あんな初代皇帝が英雄のように書かれた歴史書などゴミです。


「それでは、その神に問うて見ると良い。神官のお嬢さんが正しいかと」


 ん? 神に問う? 初代皇帝に?


「良いわよ! 主に審判を仰ぎますわ」


 そう言って、床に膝をついて、両手を組んで天井を仰ぎ見る神官の女性。

 神の審判? 私は驚いて幻惑の魔女に視線を向けます。


 すると、私の視線を受けた幻惑の魔女は首を横に振りました。それも凄く残念そうな顔をして。

 それどういう意味ですの?


「我らが主よ。我が進むべき道を示し給え」


 私はすぐに結界を張ります。濃い聖気が辺りに満ち始めました。幻惑の魔女を見ると、同じように結界を張っています。

 そうですわよね。

 この聖気の濃さは、流石に影響があります。


 本当に神の啓示があるのですか?


「北にはコトウ。南にはセレハーレン。東にはマエリベラ。西にはアラエリス」


 あら? この呪文は?

 もしかしてと思って幻惑の魔女を見ると、とても残念そうな顔をしたままです。

 そうですか。意味がわからず使っているのですか。


「我はヘレバレラとなりて地に降りたし、このフクベラタンの行く先を示し給え」


 何かに祈りを捧げる神官の女性の背後に、複数の翼を持つモノが現れる。それは白い翼しかないモノです。


 霊獣白羽(フェアメージュ)


 そしてその白い羽の一つが宙を舞い、神官の女性の膝の上にふわりと落ちて、霊獣は消え去りました。


 上を仰ぎ見ていたピンク色の瞳が、膝の上に落ちた白い羽をみて驚いています。


「そ……そんなぁ! 私に! この私に! ここにいろとおっしゃるのですか!」


 何故か知りませんが、絶望に打ちひしがれている神官の女性。

 その呪文の意味を理解して使ってくださいね。


「大変ですね」

「そうよ。どうしてアンラヴェラータ魔導王国の魔導書を読まないのよと聞きたいわ。というか言ったのよ! でも文字が読めないと抜かしやがったのよ! バカじゃないの?」


 そうですか。一応聞いたのですか。そうですよね。クロードさんも読めないと言っていましたので、もうアンラヴェラータの文字は廃れてしまったのでしょうね。


「何が起こったのか、聞いていいか? 何故、あんなに落ち込んでいるのかわからないのだが?」


 この光景は、基本知識が無ければ、翼の集合体が顕れて羽を飛ばして去っていったというだけですものね。






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