表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔女との契約婚で離縁すると、どうなるかご存知?【電子書籍化・コミカライズ進行中】  作者: 白雲八鈴


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

49/87

第48話 これはデートではありません

「今日は準備万端だからな」


 南地区の西側の門まで来たクロードさんの言葉です。

 今日は歴戦の冒険者風の格好で意気揚々としていました。


 昨日は雨の中、外套のみで深淵の森『ヴァングルフ』に入りましたものね。私はついて来なくていいと言いましたけど。


「今日は昨日行った場所よりも更に奥になります。日帰りも可能ですが、採取が難しいため、時間がかかります。そのため日帰りは不可能と思ってください」


 私は深淵の森『ヴァングルフ』の簡易地図を広げながら、今日行くルートを指し示します。


「あと魂食い(ソウルイーター)の件もだろう?」


 はい。ここ数日の『ヴァングルフ』で起こっている異変のことです。

 ただ、初期の段階では私でも対処可能ですが、そうでなければ禁厭(きんえん)の魔女でしかない私では難しいと思います。


「遭遇すれば、ですね。取り敢えず今日はグエンデラ平原で何が起こっているのか、確認しに行くだけです」


 最悪、国を動かした方がいいのであれば、早急に冒険者ギルド経由で連絡を取り付けてもらった方がいいでしょう。


「それで……」

「ルートはレバーラの湿原ではなく、ガンディス渓谷ですか?」

「あまりお勧めできないルート」


 ……なぜ、グランディーア兄妹がここにいるのですか?


「おい。何故に一緒に行こうとしている。これはシルヴィアとのデートなんだぞ」

「クロードさん。デートではなく、素材調達です」

「シルヴィア。これはれっきとしたデートだ」


 どういう理屈ですか! それにグランディーア兄妹がここにいる理由を聞いていません。


「それで、お二人はどうされたのですか?」

「『ラグロワール』のザインが面白いほど凹んでいたので、からかってあげたのです」


『ラグロワール』はこの辺境都市『エルヴァーター』にいる冒険者チームの名前です。

 よく店に来てくれるバルトさんや、目の前にいるグランディーア兄妹と名を連ねるほどです。そのチームリーダーがザインさんなのですが……何かありましたか?


「女神シルヴィア教を立ち上げるほどの崇拝者。聖騎士の登場に、兄さんが塩を塗りたくってあげた。その間に美味しい仕事は総取り」


 妹のレイラさんが、説明してくれるのはいいのですが、時々私にも理解できない言葉を使うので困ってしまいます。


「女神シルヴィア教って何かしら? そんな女神は存在しないはずだけど?」

「魔女の店主。愛と言うのは世界をも変えるのです。因みに我々は、魔女の店主が始末したという魔物がいた周辺の調査とグエンデラ平原での調査です」

「だから、一緒に行けるというもの」


 ああ、冒険者ギルドに報告したので、さっそく動いてくれるということですか。それならグエンデラ平原の調査は、二人に任せた方がいいでしょう。


 しかし、一緒に行くのですか?

 先程もお二人が言ったように、グエンデラ平原に行くルートとしてはあまり使われないところを通るつもりなのです。だから、一緒に行くというのには語弊がありますね。


「だから、これはシルヴィアとのデートだと言っているだろう。ギルドから依頼を受けたのなら、さっさと行け」


 クロードさんは、虫を追い払うように手を振っています。ですから、デートではないと言ったではないですか。


「なんといいますか、森がざわめいているのですよ。これは共闘した方がいいと私の勘が告げているので、待っていたのです」

「そう、兄さんの言う通り。昨日から思っていたけど、森がザワザワしている。二年前に起こったスタンピードの比じゃないぐらい。でも依頼料が破格。この仕事はおいしい」


 私は二年前に起こったというスタンピードは知りませんが、話ぐらいなら聞いたことがあります。


 波のように魔物が襲ってきたと。


 おそらくこのようなときのために、サイさんのお弟子さんたちがいるのでしょうね。


「ということで、共に行きませんか? もちろん魔女の店主は目的のものを手にいれたら、帰路についてくれていいですよ」

「森では体力の温存が大事。グエンデラ平原まででいい」


 お二人の言いたいことはわかりました。私たちが遭遇したような魔物の群れと相対することになれば、体力が削られ目的のグエンデラ平原にまでたどり着けないと考えているようですね。


「おい。それはこっちにメリットはあるのか?」

「もちろん、索敵はレイラが承りましょう。先陣は私が承ります。それで如何でしょう?」


 私たちは二人の後をついて行くだけでいいということですね。そして魔物と遭遇すれば、共闘する。


「……シルヴィアはどうなんだ?」

「構わないわ。ただルートは私が決めていいかしら?」

「ええ、構いません。行くのも引き返すのも地獄のガンディス渓谷ですね」

「は?」


 カイトさんの言葉にクロードさんが固まってしまいました。どうされたのですか?


「シルヴィア。今日通るルートのことを聞いていなかったのだが……」

「川がある谷間を通るのよ。大丈夫。落ちなければいいのよ」

「落ちれば生きて戻ってこれないと言われている。だからあまりお勧めできないルート」

「……シルヴィア。ちょっとルート変更をしようか」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ