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魔女との契約婚で離縁すると、どうなるかご存知?【電子書籍化・コミカライズ進行中】  作者: 白雲八鈴


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第47話 魔女との戦い方?

「はい。そうですが、その……マリーアンヌ様から何か言われていたりしますか?」


 すごく気になります。いったい何を言われているのでしょう。


「はい。新人の魔女が来るだろうから、魔剣士の旦那と来たら始末しておいてといわれたぐらいです」


 ひっ! もし、サイさんの案内で来ていたら、私は殺されていたってことですか!


「いや、いくらなんでも一般人が魔女をどうこうできるものではないだろう」


 そこにクロードさんが疑問を言ってきました。一般人というには、ご立派な身体をしていらっしゃいます。


「マリーアンヌ様いわく、人の姿をしている魔女は魔法が使えるだけの人だそうですよ。まぁ、本気で信じてはいませんがね」


 パン屋の店の方は苦笑いを浮かべながら言いました。信じていないの部分にはいったい何があったのでしょう。

 なにやら恐ろしくて想像もしたくありません。


「それに我々はサイザエディーロ師範(せんせい)の弟子ですからね。多少なりとも魔女との戦い方は知っておりますよ」

「え? サイさんのお弟子さん?」

「我々とは?」


 私とクロードさんとでは気になったところが違うようです。

 魔剣士としてその名を馳せたサイさんのお弟子さんであれば、着ている服がパツンパツンの筋肉ムキムキでも納得できます。


「我々と言っても現役を引退した領兵ですよ。ヴァングルフに何か異変があれば、駆り出される要員ですね」


 確かに見た目は四十歳は過ぎていそうですが、まだ現役でもいけると思います。


 四十過ぎ?

 ふと、何かが引っかかりました。


「もしかしてエルン亭のご主人もそうですか?」


 サイさんのお勧めで紹介されたお店です。お弟子さんのお店を紹介されたのであれば、納得できます。


「そうですね。マリーアンヌ様に言われて、デザートを極めて来いと言われた仲でもありますね」


 苦笑いを浮かべながら言うパン屋の店の方。まさか! あの美味しいケーキを作っていたのが、目の前にいる男性だったのですか!


 私はスススっと男性の前まで行って、両手をガシリと掴みます。


「美味しいケーキをありがとうございます。ショーケースのケーキを全種類購入します。もちろんホールケーキ込みで!」

「それではご用意しますね」


 笑顔で言い返されて、ハッとしてしまいました。はしたなく全種類買うと言ってしまいましたわ。

 これではまるで私が、食いしん坊みたいではありませんか。


「しかし、早朝にケーキを購入する人がいるとは聞いていましたが、魔女様だったとは納得です」


 ケーキを箱詰めしてくれている男性に何故か納得されてしまいました。どの辺りが納得なのですか?

 そう思いながらも、私は店のパンをトレイに取っていっています。


 長丁場になるかもしれませんからね。多くても問題にはなりません。


「こっちこそ、早朝にパンならまだしも、ケーキを売っている店など初めてみたが? 聖王都内でも無かったな」

「マリーアンヌ様のご希望でしたので、それは必死でしたね。生きるか。死ぬか」


 早朝にケーキを売ることが、何故に生死につながっているのですか!

 パンを乗せたトレイを持って振り返ると、死んだ魚の目をした男性が、ショーケースの上にケーキの箱を並べていました。


 たぶん、とても恐ろしいことがあったのだろうと推測します。


「このパンも一緒にお願いします」

「かしこまりました。しかし、直接お客様から褒めてもらえるとは嬉しいものですね」


 男性は焼き立てのパンをおまけだと言って渡してくれました。とても香ばしい香りが鼻を抜けていきます。


 会計をするのに、私とクロードさんが互いに出すと言って、ちょっとごたつきましたが、私のケーキを買えてとても満足です。


「そういえば、魔女との戦い方とはどういうものなのだ?」


 店を出るときにクロードさんが先程のことを男性に聞いていました。

 魔女との戦い方ですか。強いて言うなら近接戦でしょうか?


「五体投地です」


 男性はいたって真面目な表情をして答えたのでした。

 それ戦っていませんわ。




「たぶん。あれはサイザエディーロ殿の目と耳だろうな」


 店を出たクロードさんが、そのようなことを言ってきました。それはどういうことなのでしょうか?


「確かに魔の森が隣接している以上。町は常に危険と隣り合わせなことは間違いはない」


 そうですよね。だから、一人でも多く対処できる人が必要だったのだと思います。


「だが、あれでは一般人に扮した領兵だ」

「引退した領兵ですよね?」


 別にそれを隠しているわけではなかったですよ。店の男性は嘘は言っていないと思います。


「それだと別に人が集まるところに店を構える必要はないだろう?」

「引退しているではなくて、現役の領兵が店を持っていると言いたいのですか?」

「そうだろうな。精肉店の店主もそうだが、あの者たちは武人だ」

「え?」


 あのガタイの良い精肉店の店主も同じなのですか?


「ハッキリ言って国の中枢並の兵の配置だ。いったいこの地には何があるのだろうな」

「クロードさん。触らぬ魔女に祟りなしですよ」


 この地になにかあれば、幻惑の魔女が絶対に動くと思いますので、深入りは無用ですわ。


「そうだな」


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