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魔女との契約婚で離縁すると、どうなるかご存知?【電子書籍化・コミカライズ進行中】  作者: 白雲八鈴


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第46話 食料の買い込み?

「その名も魂を食らうもの(アルマトルー)であるな」


 それは千五百年前に顕れた厄災です。突如として発生した厄災により、世界に死が満ち始めたのです。


 そこで動いたのがアランカヴァルの魔女たちです。


 私の知識によりますと、七人の魔女たちがその厄災に立ち向かい、アルマトルーを消滅させたとあります。

 ただ、詳しい姿は伝えられていません。


 ええ、きっと魔女たちには黒い物体Xにしか見えなかったでしょうから。


「シルヴィア。その危険な魂食いがもしかして、昨日冒険者ギルドで報告していた件につながるのか?」

「ええ、グエンデラ平原で起こっている異変のことです」


 しかし、この分だと形を成していない可能性があります。早めに対処した方がいいですわね。


「ふむ。それはそこの深淵の森『ヴァングルフ』でのことであるか。今はどの段階かは知らぬが、処分は早めにしたほうがよい」


 ええ、どの段階かわからないのがネックです。すでに術が完成していれば、私の力など無意味ですから。


「ありがとうございます。今から薬草をとりにグエンデラ平原に向かいますので、対処できればしておきたいものです」


 この案件は魔女が動くところです。できれば、禁厭(きんえん)の魔女である私よりも、精霊に干渉できる魑魅(すだま)の魔女がいてくれればいいのですが、今の状況で見習い魔女でしかない私が魔女に連絡をとるのは理に反します。


 これが、三百年生きた魔女であるなら、別なのですが。

 ことは思うようにはいかないものです。


 私は薬ができれば、また来るということを言って、クロードさんと共にホテルを後にしました。



「しかし、あの親衛隊という者たちがいなくて助かったな」


 ボコった本人が何を言っているのです。


「あっ。あとコレとコレとコレもくれ」

「ありがとうございます。聖騎士ハイヴァザール様」


 そして、今はお精肉店でクロードさんがお肉の爆買いをしているところです。

 初めて中央地区の商業地域にきましたが、昼過ぎだからでしょうか、あまり人がいません。


「それでドラゴンの肉って入らないのか?」


 どうも私がドラゴンの肉を出し渋っているため、他のルートで手に入れられないか模索中のようです。

 だってクロードさんが食べると私が持っているドラゴンの肉など一食で終わってしまうではないですか。


「流石にドラゴンの肉は、このような辺境には流れてこないですね」


 店員の冒険者かと思うほど身体ががっしりとした男性が答えます。

 言い換えれば、王都に流れてしまうので、ここでは手に入らないということです。


「ドラゴンの肉に近いものですと、グエンデラ平原に生息しているボロレアという硬い鱗に覆われた原竜亜種でしょうかね」

「ドラゴンではないのか?」

「飛びませんし、どちらかと言えば、獣に近い感じです」


 あ……そのような情報をクロードさんに与えてしまえば、見つけるまで帰らないといいそうですわ。

 まぁ、私だけ帰ってもいいかもしれませんけど。


「シルヴィア。ボロレアってわかるか?」

「ええ、草原地帯に生息していますが、数が少ないので滅多に見かけませんわね」


 すると子供のような笑顏を浮かべるクロードさん。

 あら……一瞬かわいいと思ってしまいましたわ。


「それじゃ、ケーキを買ってから行こうか」


 金貨で支払いをするクロードさんの言葉に、心臓が高鳴ります! 噂のレメーリアに行けるのですか!


「ケーキを買いに行きましょう! お店はどっちですか?」


 私がウキウキしながら尋ねると、クロードさんからクスクスと笑われてしまいました。なんですの?


「シルヴィアは可愛いな。好きなだけ買うといい」


 もしかして、子供扱いされています? しかし、甘いケーキの誘惑の前ではどうでもいいこと。


「はい! 今日中に戻れるかわかりませんから、いっぱい買います!」


 私は急かすようにクロードさんの手を引っ張って歩き出しました。


「シルヴィア。逆だ」


 くっ! だから、私はどっちだと聞いたではないですか!


 しかし、クロードさんも先程の話から、今日中には戻れないと感じたようです。ええ、大量の肉を購入していましたもの。


「ここだ」


 クロードさんに案内されてきた店は、一見どこにでもあるようなパン屋でした。

 が、確かにマリーアンヌ様御用達と看板を掲げています。


 窓から垣間見れる商品はパンしか見当たりませんが、おそらく奥にあるガラスのショーケースに私を待っているケーキたちがいるはずです。


 カランとベルがなる扉を開けると、パンの香ばしい香りが鼻を抜けていきました。

 パンも美味しそうですわ。


「いらっしゃい」


 そして置くから聞こえる野太い声。そちらに視線を向けると、これまたガタイのいい人物がエプロンをつけて店番をしてました。


 あの、中央地区では体格のよい男性が店を持つとか決まりでもあるのでしょうか?

 女性の店員がいる店もありましたが、割合としては冒険者と言っていいほど、体格がいい男性が店番をしている率が高かったのです。


 店番の男性と目が合い、驚いたように声をかけられました。


「あなたはマリーアンヌ様がおっしゃっていた魔女様ですか」


 え? 昨日の今日で、そんなことが伝わっているのですか?

 何気に幻惑の魔女の情報網が恐ろしいです。


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