第43話 魔女らしいって何かしら?
「疑問なのだけど、私は魔女らしくないのかしら?」
中央地区に向かう途中で、私は先程の言葉が気になっていました。
私って魔女らしくないのかしら?
確かにお歴々の方々に比べれば、魔女らしくないでしょう。
ですが、そのような方々はめったに人の前に姿を現さないから、そういうことではないと思うのです。
「そもそも魔女に会ったのはシルヴィアが初めてだからな」
クロードさんの言う通り、魔女とはめったに会うという存在ではありません。人として、300年は暮らさなければなりませんので、普通の人と変わらないのが魔女見習いなのです。
「それはサイ爺殿の奥方と比べているのでしょう」
カイトさんが幻惑の魔女と比べていると言ってきたのですが、別に姿がおかしいということはありません。
「見た目は普通の人と変わりませんわ」
「そういうことじゃない。兄さんは存在そのもののことを言っている」
レイラさんも理解しているように、言ってきましたが、私には理解ができませんでした。
「そうですか? 特に何かが変わっているとは思いませんでしたが」
サイさんにゾッコンというところはありますが、それ以外に特に魔女らしいといえるものはないと思うのです。
「魔女の店主。サイ爺殿の奥方は、全ての者が敵だと言わんばかりに威圧してくる狂犬のような方」
「兄さん。狂犬は言い過ぎ、聞かれると私たちの首が飛んでいくからやめて」
「レイラ。狂犬でなければ猛犬ですね」
「あまり変わっていない。兄さん」
確かにあまり変わっていません。しかし狂犬というほどだったでしょうか?
サイさんのことに対して過剰反応していたぐらいで、まだ私の声を聞いてくれていましたよ。
私が何を言っても、言っていることに耳を傾けてくれない人がいることを知っていますから。
「サイ爺殿が手綱を持っていなければ、我々など木っ端微塵だったでしょう」
「あれは兄さんが悪かったと思うの」
以前に幻惑の魔女と何かあったようです。
カイトさんの物事をはっきりという言葉は、人によってはかなり不快でしょうから、ひと悶着あったのかもしれませんね。
「魔女の店主。我々は何もしていないのに、力を大いに奮ってくるのが、魔女だという認識でしたね」
「だから、兄さんがサイ爺に真剣勝負をして、卑怯な手を使ったから怒られたの」
「何をいうのですレイラ。自分より格上の者を相手にするのでしたら、全てを水で満たしてもいいですよね?」
あ……なんとなくわかりました。
おそらく剣士と魔剣士の手合わせで魔法を使わないという条件で、海の精霊の能力を使ったのでしょう。
そしてサイさんを含めた周りが、水で満たされてしまったことで、サイさんに対して過剰反応をする幻惑の魔女にしてやられたのでしょう。
「兄さんのお陰で、一週間も霧の中をさまようことになった」
「あれはあれで、楽しかったと思いますよ」
「そういうのは兄さんだけ」
そうですか。一週間も幻惑の魔女の術の中にいたのですか。
「確かに言われてみれば……」
クロードさんは何かを思い出すように、言葉にしました。
「何とも言えない気をまとっていたな。突然、シルヴィアの側に現れた存在の姿を見ずに、敵と認識したぐらいだからな。サイザエディーロ殿から止められてなければ、剣を抜いていただろう」
クロードさんは幻惑の魔女を敵と認識するほどだったと。
うーん? 殺気とかそのような感じですか?
「そうそう。得体のしれない感じです。足元からゾワゾワっと何かが忍び寄ってくるような。首元に牙を突きつけられているような感じです」
カイトさんが例えを言いますが、私にはわからない感覚でした。
ただ思いあたることはあります。確証はありませんが。
「それ。使い魔の所為かもしれませんね」
私が幻惑の魔女から脅されていたのは、サイさんに対してのことです。
どうも、私の行動を見ていたというよりも、サイさんに対して監視、若しくは目になるようなモノがいることを匂わされました。
魔女の使い魔は『魔』の属性が一般的です。ですから、『大物の悪魔』などが使い魔でいれば、普通の人でも『恐怖』や『殺意』を感じてしまうかもしれません。
「使い魔!」
「魔女の使い魔とは、どのような化け物なのでしょう?」
「兄さん。マリアンヌ様の機嫌を損ねる発言はやめて、その場にいなくても地獄耳だって有名なのだから」
ああ、そうですか。この町でマリアンヌ様という存在が、特別視されている理由がなんとなくわかってきました。
どうやら監視の目が本当にいるようです。
だから辺境の町『エルヴァーター』は、そこまで治安が悪くなく、人々の生活が守られていっているのでしょう。
これは自分たちで、この辺境の地を開拓しようとした思いなのかもしれません。
が、あまりにも恐れられているので、やり過ぎ感がどうも否めないですわ。
しかし使い魔ですか。
「私も使い魔を持った方がいいのかしら?」
きちんと契約をした使い魔って、今までいませんでしたわね。見つかれば色々言って来そうな、元夫がいましたから。
「シルヴィアは今のままでいい」
「そうです。魔女の店主。それは客足がドン引きする案件です」
「客が来なくなるっていうこと」
どうも皆さん、使い魔には否定的なようです。別に特に今まで困ることがなかったので構いませんけど。
そんなことを話しながら、私達は中央区に入っていったのでした。
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