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魔女との契約婚で離縁すると、どうなるかご存知?【電子書籍化・コミカライズ進行中】  作者: 白雲八鈴


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第35話 幻惑の魔女の殺意

「以前のように騒がれなくてよかったわ」


 三人の魔女が去っていた室内に響き渡る幻惑の魔女の声。

 以前こられた魔女のときは大変だったのでしょう。


 姿もそうですが、空間を圧迫するような膨大な魔力の塊のような魔女が三人もいるのです。下手すると周りへの被害がでてしまうほどです。


 そう言えばここはどこなのでしょう?


 魔女の島ではないと言われていたので、人が住む場所ということでしょうか?


「あの……ここは何処なのでしょう?」

「グラフェルト帝国よ」


 これはとても遠いところに転移してきたようです。そして異界の勇者を召喚して討伐した国ではないですか!


「帝国! その……サイさんが一緒に暮らしていないとおっしゃっていたのは、呪いを引き受けた人を守るためでしたの」


 それは、あのエルヴァーターに他の魔女の気配がなかったのも頷けま……あれ? 私が辺境都市『エルヴァーター』にたどり着いたのは一年ほど前で、勇者討伐は確か……半年ほど前です。

 あら? っということは以前から幻惑の魔女はエルヴァーターにいなかったことになります。


「違うわ」


 はい。そうですわね。考えればわかることでした。


「私より若い女と手を繋いで歩いているのを見かけて、イラッとして家出したのよ」


 えっと……見た目が二十代に見える幻惑の魔女よりも若いということは、幼子か十代の少女! そこに嫉妬するのですか! とても目が据わっていますわ。


「その女が目の前にいるなんて、どう調理してあげようかと思うわね」

「私ですか!」


 いつの時ですか! もしかしてサイさんおすすめの家を見せてもらったときですか!

 甘い物に目がいってしまって立ち止まったときに、手を引っ張られた記憶はありますわ。


 睨みつけないでください。嫉妬されるようなことは何も……あれ?

 でも私はあのとき魔女の気配など感じませんでしたわ。


「冗談よ。素材探しの途中で呪いを引き受けることになっただけよ」


 はぁ……冗談でしたか。魔女同士での揉め事は避けたいことですもの。

 魔女同士が争って、国が滅んだという闇歴史もありますから。


「でも……」


 でも? なんですか?

 青い目に何も感情が浮かんでいなくて怖いのですが?


「あの人が優しいからといって、その優しさに甘えているようなら、それは私が許さないわよ。楽にイけると思わないことね」


 ひっ! 怖いですわ。感情がない目で、笑みを浮かべないでください。

 言い訳を、言い訳をしなければ、私の命の危機です。


「あ……確かに最初は色々わからないことがあり、お世話になりましたが、最近は仕事も順調で、サイさんは時間が空いたときに腰痛の薬を買いにこられるぐらいですわ」


 そこで一時間ぐらいお茶をしていかれるのは黙っておいたほうがよろしいですわね。


「そう……だったら、いいわ。あの人カッコいいし、人がいいし、優しいから……」


 突然デレ始めましたわ。

 あの……私からすれば、世話焼きのおじいちゃんという感覚なのですが。


「だから、直ぐに女が寄ってたかるのよ。全部排除してやったけどね」


 ニヤリと笑って、そんなことを言わないでください。排除っていったい何をしたのですか?

 幻惑の魔女を怒らせると、永遠に迷う霧の森に落とされると聞いたことがあるのですが、それは本当のことだったりしませんわよね。


「とにかく、あの人の手を煩わせるようなことをしているのなら、守り人をぶち殺して、貴女を始末するから肝に命じておきなさい」

「はい。わかりました」


 これは本気ですわね。それも三人の魔女から契約婚をした者を守るように言われたにも関わらず、邪魔だと言わんばかりにブチ……幻惑の魔女は、サイさんのことになると、人が変わったかのようになるのですね。覚えておきますわ。


「じゃ、もう帰っていいわ」


 言いたいことを言い終わったのか、私の足元から霧が立ち込めてきました。恐らく元の場所に返してくれるのでしょう。


 私の全身を覆うように立ち込めてくる濃い霧。


「ああ、そうそう。あの人から依頼されたものだけど」

「え?」


 魔力不全の方のお話ですか? 薬はまだできていませんわよ。


「面倒くさいヤツだから、一度ボコると大人しくなるわ」

「はい?」


 すでに私からは幻惑の魔女の姿は見えず声だけが聞こえてきました。

 ちょっと待ってください、何がボコるのですか? もう少し詳しいお話を……


「どういう意味ですの!」


 と、言ったときには私のベッドが視界に入ってきました。戻ってきてしまいましたわ。


「はぁ〜。まぁいいですか」


 どうせ薬ができれば会うことになるのですから。


 そう言えば明日はお昼に出掛ける予定でしたわね。

 もう、休みま……


「何がいいのだ?」

「はい?」


 この部屋にいるはずのない声が背後から聞こえてきました。恐る恐る振り返ると、不機嫌そうな銀髪の男性が、扉を背にして赤い瞳を私に向けているではないですか。


「あの……なぜ、私の部屋に? 鍵をかけていたはずですが? クロードさん」


 はい、クロードさんが私の部屋にいるではないですか!


「突然、シルヴィアの気配が無くなったら、何かあったのかと確認するだろう」


 え? 確かに夜に幻惑の魔女に会いに行くとは言ってはいませんが、それぐらいで鍵のかかった部屋に入ってきますか?


「俺の主はシルヴィアだと、理解していないだろう」


 聖騎士と主従契約を結ぶと、主の勝手な行動は、主の守護の反故になったりするのかしら?

 それなら一言伝えておくべきでしたわね。


「あと凄く心配した」


 って何故に私はクロードさんに抱き寄せられているのですか!

 ちょっと近すぎますわよ!


 私はクロードさんに説明している間、解放されることはなかったのでした。


どうやら幻惑の魔女から押し迫ったようですねw



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