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魔女との契約婚で離縁すると、どうなるかご存知?【電子書籍化・コミカライズ進行中】  作者: 白雲八鈴


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第21話 驚きの事実

 いろんな種類のプチケーキに心を躍らせながら堪能しています。しかし、このように多くの種類を用意しておくなど、公爵家の夜会に参加したときぐらいしかお目にかかったことありませんわ。

 しかし、そのような夜会でバクバクとケーキを食べるわけにもいかず、涙をのんで見送った記憶があるぐらいです。


「『エルヴァーター』に、このようなケーキ屋があるのですね?」


 壁際に控えている女性に尋ねます。自分へのご褒美としてケーキを買うのもいいかもしれません。


「はい。マリアンヌ様御用達のレメーリアというパン屋で販売している品になります」


 クロードさんが、ケーキを買ってくれたパン屋でした。幻惑の魔女はマリアンヌという名でこの辺りで通っているようです。


 それもこの感じだと、幻惑の魔女は辺境都市『エルヴァーター』ではそれなりの重要人物扱いになっていると思われますわ。


 早めに挨拶に行ったほうが、無難ですわね。

 今晩にでも訪ねてみましょう。


 そんなことを考えていると、扉がノックされ先程出ていったオーナーが戻ってきました。


「魔女様。こちらがご所望のチョコレートになります」


 黒く光沢感のある丸いものが五つほど箱の中に並べられていました。どうも味が違うのか色が微妙に違います。


「こちらからまろやかな甘味があるものとなり、左に行くほどほろ苦さが際立つ味となっております。どうぞご試食くださいませ」


 え? 食べていいのですか? ただで?


 いいというのであれば、右側の甘いという明るい茶色のチョコレートを取って食べてみます。


 甘い! そしてなんとも言えない香り……香り? どこかで嗅いだことがある香りですわね。

 溶けて無くなってしまいましたわ。


 今度は反対側のほろ苦いという黒っぽいチョコレートを食べます。


 やはりどこかで嗅いだことがある香りが鼻を抜け、舌の上に甘さの中に苦さが調和していき、幸せが口の中を満たしていきます。

 しかし直ぐに無くなってしまいました。


 私、とんでもないことに気がついてしまいましたわ。


「シルヴィア。どのチョコレートにするか決まったか? それとも全部買うか?」


 その時、交渉が終わったのかクロードさんが私がいる個室に入ってきました。


「クロードさん。私、衝撃的な事実に気がついてしまいました」

「どうしたのだ?」


 私の隣に腰を下ろして聞いてくるクロードさん。


「なんとチョコレートは、カカオでした!」

「ぷっ! カカオが欲しいと言っていたからチョコレートのことだと思っていたが、知らなかったのか?」


 え? これは私が知らなかっただけだったのですか?


「だってカカオは500年前の異界から来た聖女ユーリが発見したものですわよね?」


 どこからチョコレートになりましたの?

 カカオは飲み物として用いられていたのを先代の禁厭(きんえん)の魔女が回復薬に取り入れたのです。

 どこが甘味につながるのですか?


「その時代には既にチョコレートはあったぞ」

「え? あったのですか?」


 なんと衝撃の事実が重なります。

 500年前に、このような美味しいチョコレートが存在していたなんて!


「長い間、聖女ユーリ様が作られたチョコレートは神聖な食べ物として一部の者たちにしか食べられていなかったらしい」


 異界の聖女が作ったものがチョコレートだったのですか!


「あとこういうケーキとかアイスクリームとかプリンとかもそうだな」

「デザートの神!」

「聖女様な。しかし、数代前の聖女が民にも恩恵を与えるべきだと言って、レシピが一般公開されたから、だいぶん広まっていると思ったのだが」


 頭を鈍器で殴られたような事実が次々とクロードさんから出てきました。

 こういう情報が欲しいです!


「クロードさん! ぜひ無知な私にいろんなことを教えて欲しいです」


 ぐぐっと詰め寄ってお願いします。ぜひぜひ教えて欲しいですわ。


「お礼に隠し持っているドラゴンのお肉を差し上げます」


 声が周りに聞こえないように結界を張って、クロードさんに交渉を持ちかけました。


「……食べたことないけど、それって食べられるのか?」

「毒抜き済みですわよ」

「毒があるのか?」


 あら? もしかして興味ありませんでした?


「隠し持つ必要があるのか?」

「美食家たちの間で、高額取引されるものだからですわ。私は毒の方が欲しかったので、お肉は差し上げます」

「因みに金貨1枚だとどれぐらいの大きさになる?」


 金貨1枚で肉の価値を測るのがお好きですね?


「さぁ? 古い知識ですと握りこぶし大ぐらいですか?」


 私自身ドラゴンの肉を売ったことはないので、今の価格は知りませんわよ。そこにいるオーナーの方がよくご存知でしょう。


「例えば今朝忘れて帰られた氷漬けのお肉をここで出せば、正確な価値はわかるでしょうね」


 エルフの少女が、ヨルムンガンドの肉と勘違いして持ってきた氷漬けのドラゴンの肉をです。


 因みにあれば毒抜きが必要ですので、直ぐには食べれませんわよ。


 ん? クロードさんから何も反応がないですわ。

 様子を窺い見ると瞳孔が開いた目を向けられています。そして私の両手がクロードさんの手に掴まれてしまいました。


「もしかして! あの、幻の肉なのか!」


 凄い勢いで言い寄られましたが、幻の肉というのがドラゴンかどうかは私には判断つきません。


「ドラゴンを狩ってくれば、いつでも食べられるということか!」


 単独でドラゴンなんて狩ってしまえば、色々面倒なことになりそうですので、止めたほうがいいですわよ。取り敢えず、心の中で忠告をしたのでした。



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