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魔女との契約婚で離縁すると、どうなるかご存知?【電子書籍化・コミカライズ進行中】  作者: 白雲八鈴


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第13話 聖獣ベルドーラ

 私に向って伸ばされる巨大カエルの舌。ですが、本体もろとも横に吹き飛んでいきました。


 何が起こったのかと思えば、クロードさんが剣で吹き飛ばしたようです。

 さっきからおかしいと思っているのですが、なぜ、離れたところの魔物が斬れるのでしょうね。


「ありがとうございます」


 礼を言って、元いた木の板の上に降り立ちました。

 横をみますと、片手で持つには大きすぎる剣を片手で持っているクロードさんがいるではありませんか。


 それ、もしかして魔法剣ですか? 腰に佩いていたときは、騎士用の片手剣の大きさでしたわよ。


「シルヴィア。魔物避けの香を焚け!」


 私の背と変わらなそうな剣を片手で構えながら、叫ぶクロードさん。

 しかし私は首を横に振ります。


「もう、目をつけられてしまったのであれば、効果はありません」


 答えながら、私は空間から水晶のような形の魔道具を取り出し、木の棒の枝に引っ掛けます。


 魔物避けというぐらいですからね。魔物にとって不快な匂いを発するだけのもので、姿を捉えられ獲物と認識されてしまえば、香の匂いなど関係なくなります。


 私たちはこのレバーラ湿原に生息している魔物共に囲まれてしまっていました。


 おそらく、バジリスクから身を隠していたために、沼から出てこられなかっただけでしょう。


 バルトさんもこの沼に住む泥竜の素材採取に来ていたそうなのです。ですが、泥竜どころか魚人も沼蜥蜴すら現れず、毒しか撒き散らさないカエルばかりだったと言っていました。


 ええ、バジリスクはこのレバーラ湿原の更に奥、グエンデラ平原の岩場に住む魔物です。

 この湿地に住む魔物からすれば、脅威的な魔物でした。


 しかし、この数は面倒ですわね。

 沼から顔を出しているモノだけでも百はくだらないでしょう。


「魔法でビリビリってしては駄目かしら?」

「それは俺に被害が及ばないか?」


 私が何をしたいのか汲み取ってしまったクロードさんから、嫌そうな声が聞こえてきました。


 そしてちらりとクロードさんを見ます。


 はい、私はシレッと結界を張って、濡れるのを防いでいましたが、クロードさんはそれなりに沼の水をかぶっています。


 思いっきり電撃の攻撃の影響を受けるでしょうね。


「ダイジョウブヨ」

「何故にカタコトになる。それから、魔物の全滅はこの辺りの生態系を狂わせるから駄目だ」

「とても崇高なお考えですわね」


 この状況で、そんな余裕ある言葉を吐けるなんて、流石聖騎士様ということかしら。

 まぁ確かに辺境都市『エルヴァーター』は、深淵の森『ヴァングルフ』の恩恵でなりたっているところもありますので、滅殺はよくないのでしょう。


 そこまで仰るのであれば、私は空から町に帰らせてもらいますわ。


 沼から這い上がって来ようとする魚人の頭を鈍器で叩き凍らせながら、言葉を放とうとすると、突然の寒気が襲ってきました。


 何ですの?


「別に崇高じゃない。昔、ある場所を焦土化してしまった後悔からだ。シルヴィア。耳を押さえていろ」


 目に見えるほどの青い気をまとったクロードさんから、低い声が漏れ出てきています。

 唸り声でしょうか?


 違います。この寒気。私とは相反する存在への忌避。


 聖獣青虎(ベルドーラ)


 そのクロードさんに、気圧されるように魔物たちが下がっていきます。


 空気が……空気がピリピリと頬に刺さってきました。濃厚な聖気に、魔の力を持つ私の気が接して、私の周りで爆ぜています。


 そして聖獣青虎(ベルドーラ)はその姿を成した。

 白い毛並みに青い模様が浮かび上がり、濃厚な聖気に辺りが浄化されていく。


 呪いをその身に宿していたバジリスクの骸は、形を保てずに崩れていっていた。


『grrrrrr……WOoooo――――――――n!!』


 低い唸り声からの威嚇の遠吠えに空気が揺れ、聖気が辺りに撒き散らされる。


 私の周りで魔気と聖気がぶつかりあっていたので、結界を張っていてよかったですわ。


 これ、魔のモノにはキツイです。別に何か影響あることはないでしょうが、聖気に当てられてしばらく動けない状況ぐらいにはなりそうです。


 そして、沼から顔を出していた魔物は沼の底に戻っていったのか、その姿は見えなくなっていました。


 逃げ遅れたのであろうひっくり返った巨大カエルを残して。


 皮膚の毒は、採取しておきましょう。その前に……


「クロードさん。聖獣はなるべく出さないでくださいね」


 私はすでに聖獣の姿が見えなくなったクロードさんに言います。


「何故だ?」

「何故って言われても、考えてみてわかりませんか?」

「威嚇だけだったぞ。アレぐらいの魔物であれば、威嚇だけで引くだろう?」

「はぁ……」


 確かにそうなのですが、私が魔女だということをお忘れではありませんか?


「魔女は魔の者。聖獣は聖のモノ。相反する存在だと認識してくださいね。次、聖獣を私の近くで喚び出そうものなら、鈍器の餌食にしますから」


 私は、何の液体かわからない付着ブツがついた鈍器を掲げて笑顔で言いました。


「おぅ……次からは気をつける」

「わかっていただけて、嬉しいわ」


読んでいただきましてありがとうございます。

第13話のお届けでした。

聖獣がメイス化した魔法の杖の餌食にならないといいですねwww

次回は金曜日です。

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聖獣は鈍器で殴れるんだw
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