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魔女との契約婚で離縁すると、どうなるかご存知?【電子書籍化・コミカライズ進行中】  作者: 白雲八鈴


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第11話 魔女の家の秘密

 レバーラの湿原で残り三人を救助して、湿原の入口まで戻ってきました。


 最後の一人は本当に沼から手先しか出ていなかったので、あれ以上時間をかけると見つけることは困難だったでしょう。


 魔物避けのカンテラを囲んで、落ち込んでいる冒険者たち。実はバルトさんのいるチームはそれなりに有名らしく、実力揃いだと言われているそうです。

 私は噂話しか聞いたことがありませんので、なんとも言いませんが。


「魔女のねーちゃん。本当に助かった。あのままじゃ、誰一人として助けられなかった」


 バルトさんが頭を下げてきましたが、人の命には代えられませんからね。私の薬が役に立ってよかったですわ。


「あとで、何か礼になるものを用意する」

「あら? バルトさん。いつも通り店で商品を買ってもらえればそれでいいのよ。それから、魔物避けの香ね。これを使って戻ってね」


 私はただの短い木の棒のようなものを、バルトさんに差し出します。蝋燭とは違って、焚き火にくべたり、そのまま火をつけていいように作った魔物避けの香です。


「え? 魔女のねーちゃんはどうするんだ?」

「ちょっと、そのバジリスクを探してみようと思ったのよ」


 バジリスクはこの先にある平原に生息する魔物です。湿地帯にくるような魔物ではないのです。


「シルヴィア。それは危険すぎる」

「魔女のねーちゃんがやることじゃねぇ!」


 あら? あら?

 仲が良いようにクロードさんとバルトさんから否定されてしまいましたわ。


「バジリスクの石化の呪いが欲しいのよね。あれって硬化するじゃない? 色々使えるのよ」


 すると複数のなんとも言えない視線が私に突き刺さってきます。

 いいじゃない。私は魔女なのよ。呪いを利用することなんて普通にできるわ。


「シルヴィアが必要というなら、俺も付き合おう。しかしどうやって呪いなんてものを手に入れるんだ?」

「クロードさん。石化の耐性はお持ちなのですか? ないのであれば、止めた方がいいですわよ」


 私の個人的な趣味に付き合わなくていいのですよ。石化の耐性があるのであれば、問題ないですが、ないのであれば私が面倒なのでご遠慮していただきたいです。


「一応聖騎士だからな。軽いデバフなら解除できる」


 ……確かに物体Xになっても動けていたということは呪いに対して、ある程度抵抗できていたということなのでしょう。


「わかりました。私の邪魔をしないのであれば、構いません。ということで、お気をつけてお帰りください」

「魔女のねーちゃん。俺もついて行った方がいいか?」

「まぁ! バルトさんは仲間の方の安全を最優先に考えてください」


 そう言って私はカンテラの火を吹き消して、湿地の方に踵を返します。

 魔物避けの香を焚き続けると、肝心な魔物がでてきませんもの。



「一つ、気になったのだが」


 木の板を並べただけの道を進んでいるとクロードさんが話しかけてきました。何でしょう?


「バルトという冒険者は顔見知りのようだが、他の者達とは知り合いではなかったのか?」


 どうも私と救出した冒険者たちの態度が余所余所しかったので、気になったのでしょう。

 ええ、他の方々とは今日初めてお会いしましたもの。


「私の『魔女の薬屋』の場所っておかしいと思いませんでした?」

「店があるには立地が悪いが、魔女の店なら普通だろう」


 あの場所はサイさんが勧めてくれた場所です。魔女である私にです。普通なはずがありません。


「あそこは『幻惑の魔女』が元々住んでいた家なのですよ」

「魔女が住んでいたのか?」

「ええ……サイさんのお知り合いで、お会いしたことはないのですが、新しい魔女がやってきたら住まわせていいと言われていたそうです」


 新しい魔女というのは、修行が必要な魔女ということです。


「あっ!」


 沼から巨大カエルが! しかし沼から出てきたところで、吹っ飛んでいきました。

 私の目には見えなかったのですが、クロードさんが始末してくれたようです。


 そろそろ霧に紛れ込んだ魔物避けの効力が消えかかってきましたわね。


「店につながる路地の入口は、住んでいる魔女と近しい関係の者か、切実に魔女の力を借りたいという者にしか見えないように魔法がかけられているのです」


 元夫のロイドが入ってこれたのは、元夫という立場ですが、私と近しい関係だったことには変わらないので、幻惑の魔女の魔法には引っかからなかったのでしょう。

 そしてクロードさんは、切実に魔女の力を借りたいと願った者だったので、路地に入れたのです。

 ちなみに近しいというのは、友達程度を指すそうです。私に友達がいるのか不明ですが。


「ですから、店に直接こられる人は決まっているのですよ」

「ほぅ。それはバルトとかいうやつと近しい関係と言うことなのか?」


 あら? 気温が少し下がった気がします。どこからか冷気が紛れ込んでいるのかしら?


「バルトさんは町に来たときに、同じ長距離馬車に乗り合わせていたのです。辺境都市『エルヴァーター』のことを色々教えてもらったのですわ」


 私が移住希望者だと知った冒険者の方は、親切に色々教えてもらって、そのままもう会うことがないと思っていましたら、私の店にやってきたのです。


『サイ爺に新しい店の客になってくれと来たんだが、あのときのねーちゃんじゃねぇか』


 彼が私の店の第一号のお客様だったの……あれは何ですの!

 沼の上をものすごい勢いで、こちらに近づいてくるモノがいます。


「物体Xがでましたわ!」


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