第107話 若作り魔女のところに案内しておいたぞ
「申し訳ありません。それで本日はどのようなご要件でしょうか?」
私は魔導師長さんに謝罪をして、本日訪ねてこられた理由を聞きます。
何か入り用の薬があるのでしょうか?
「いや、残りの謝礼を支払いにきたのである。あと、ここを立つので挨拶にとな」
「え? ご依頼料はいただきましたよ」
大量の金貨をいただきました。これ以上は必要ありませんわ。
「いや、吾が提案した策は失策であった。相手がその上をいくという考えがなかった。怠慢であった」
魔導師長さんは魔法陣を破壊する方法が失敗したことに、責任を感じているようです。
しかし、あの魔法陣に対しての策としては、あの場では最善でした。誰が悪いとかありません。
「お詫びと言ってはなんであるが、これを渡しておく」
そう言って、魔導師長さんは紋様が描かれたペンダントを差し出してきました。
ペンダントに描かれた紋様が、魔導師長さんの外套にもありますので、ラファウール魔導師長を示したものだと思います。
「何か困ったことがあるのであれば、これを使うとよい。国内であれば大抵のことにはカタがつくだろう。例えば、南地区で騒いでいる輩とかであるな」
……そうですか。外から来た魔導師長さんの耳には入るぐらいに騒いでいらっしゃるのですか。
これはかなり周りの方々に迷惑をかけてしまっていますわね。
これは大人しく一旦戻ったほうがいいのでしょうか?
「因みに、その輩は魔女を探していると言っていたので、若作り魔女のところに案内しておいたぞ」
「ヒィィィィィィ!」
それ駄目ですわ。
今は止めてくれるサイさんが寝込んでいるので、止める人がいないです!
何か無礼なことをすれば、どうなるかわかったものではありません。
「どうしてですか! 魔導師長さんは、私のことを言っていると分かっていらっしゃいましたよね?」
「わかっておったが、魔女を馬鹿にしていると痛い目に遭うぞと理解しておくべきである」
遠い目をして答えてくれる魔導師長さん。
過去に色々ありそうですものね。
「それにフェルシラヴェルの手紙も持たされているのであろう? 大いに使ってやるとよい」
「フェ……え? どなたの手紙ですか?」
「ん? 若作り魔女が、吾が言う事を利かなかれば、見せるようにと御璽が押された手紙があると言っておったが、もらっておらぬのか?」
「国王陛下の!」
確かに渡されましたが、それを勝手に使うことはできませんわ。
「それほどのことを、そなたは成した。本当に魔女を敵にしてはならぬなぁ。それでは王都に来ることがあれば、訪ねてくればよい」
魔導師長さんは笑いながら、店を出ていきました。
これは人の世界で生きるのに、後ろ盾になってくれるということなのですか?
まぁ、魔導師長さんがご顕在の間ということでしょうが。
はぁ……ため息がこぼれ出てしまいました。
一度、兄のところに戻って、縁を切ったほうがいいかもしれません。
周りの方々に御迷惑をおかけすることはできません。
「クロードさん。一度、実家に戻ります。なので、聖騎士の契約の改定をお願いしたいです」
私は斜め上を見上げていいました。
実家に戻るには、聖騎士の契約が問題になります。
離れると主側である私にペナルティーが発生する条件の変更です。
「わかった。俺とシルヴィアが結婚したという報告をしなければならないからな」
「……契約のをつけてください。あとついてこなくていいです」
戻るのであれば、一人で戻ります。
長居をする気はありませんし、兄は私を嫌っているので、当たりが強いので不快になると思いますから。
「何を言っている」
クロードさんは私の両手を握ってきました。ちょっと距離が近いですわ。
「妻の兄に挨拶は伺うべきだろう。それに聖騎士として主の側を離れることはない」
……どちらにしろ、聖騎士の契約があるので長期間離れることは無理だということですか。
「はぁ、一番問題の私が自由に動けない部分をどうにかして欲しいです」
これだと、薬草を採取に行くことも満足にできませんから。
「わかった。二日ほど準備に時間が欲しい」
「はい。構いません。往復に一ヶ月ほどかかります。なので、取引先に商品をその分卸しておかないといけません。私のほうも数日後でなければ動けません」
あと、いつになったら手を離してもらえるのでしょうか?
「往復で一ヶ月? 移動手段は何で行くつもりだ」
はっ! 私は普通に長距離馬車を使うつもりでした。
お腹に飢えた獣を飼っているクロードさんにとっては、長距離馬車はきついものがありますわね。
集団行動をしなければならないとなると、食べ物を狩ってくることが難しくなります。
「あの? やっぱり、一人で帰りますわ」
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https://www.cmoa.jp/title/1101455605/vol/3/
#コミックシーモア
イラストは引き続き まろ様です!
そして今回はグランディーア兄妹を描いていただきました!
夜の森の神秘的な背景をバックに海の精霊の血を引くカイトさんとレイラさん。
凄くいいです!




