休目勤務
目玉のずっと後ろの方から
小さな白い糸がいくつものびてきて
奥へ奥へと引っぱりこもうとしてる
まぶたには小さな人形たちがぶら下がって
みんなでさかあがりなんかしてるんだ、きっと
かけ上がってく足が
目をとんとんとリズムよくたたいて
いたみよりも気持ちよさで
まぶたをささえる力がどんどんぬけていく
今日も一日「おつかれさま」だねって
だれかがそうじをしてくれてるのか
目の上の方がザラザラとした感じで
落ちかけたまぶたをもどそうとしても
何かがつっかえてもどせない
そのうち耳の奥のシャッターもしめられる
音が消えて
黒いまくが下りて
まぶたでさかあがりしてた子たちは
上手くくるっと内側に回り込めたのか
まぶたの内がわをハンモックにして
ゆらゆらねむってしまったみたい
これ以上はたらかないようにって
目玉のまわりにネットをはられて
まるで大きな魚をつり上げたみたい
まっくら、音のない意識の中で
今だっ!ていきおいづいて
メンテナンスを始めた子たちが奥にいるけど
きっとそんなことに気づくこともないまま
先に夢の世界だよね
おやすみ
おやすみ
いい夢を
おやすみ
おやすみ
また明日
君が眠れば仕事も終わり
僕の瞼にも小さな子達が
ぱたぱた走り回ってるかな