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サンシキスミレ  作者: 糸東 甚九郎(しとう じんくろう)
6/8

桃色ビオラと黄色のパンジー

 僕が「本屋に行くことにしたよ」と言うと、小晴ちゃんは「待ってて」と言って、園芸部の部室横にある小さなビニールハウスへと走り、そこから花の入ったポッドを持ってきた。


「はい、これ。きんちゃんにあげるね。・・・・・・大事に、育ててみて」

「これ、小さめだからビオラだな。へぇ、こんな色もあるのか。いろんな色があるんだな」

「品種が多いからね。もともと、パンジーもビオラも和名は、『三色(さんしき)スミレ』っていうんだよ」

「さんしきすみれ、ねぇ」

「わたし・・・・・・きんちゃんには、ピンクのビオラと黄色のパンジーを、大切にしてほしくてさ」

「そぉかー。今日も花をもらえるとは思ってなかった。これ、誕生日プレゼントってやつかい?」

「うん。まぁね。・・・・・・本、見つかるといいね。誕生花も、花言葉も、見てみるといいかも」

「あったら、立ち読みしてくるつもりなんだ。ただ、こんな僕が、花の本なんてなぁ・・・・・・」

「あはは。気にしなくても大丈夫だよぉ。気をつけて行ってきてね。横断歩道は手を挙げてね」

「僕は幼稚園児か。まったくー。手を挙げなくても、体型で気付いて車は勝手に停まるわい」

「あはは。ごめんごめん。じゃ・・・・・・またね、きんちゃん」

「ああ、またね」


 小晴ちゃんにもらった新たな花。ただ、これを持ったまま本屋に行くのもどうなのか。

 そんなわけで僕は、この花を一旦家に置いてから本屋へ向かうことにした。


 小さなビオラと大きなパンジーが今、家の玄関脇に置かれている。

 色合いのせいもあるのか、ビオラは隣のパンジーと並ぶと、なんだか遠近感が狂って見える。

 パンジーがやたらと大きく見えるのだ。それをひっそりと、ビオラが支えているようにも見えるな。



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