少女は変身しない
まぁ一番重要な変身師だけ、ザックリと効果の説明をした。
条件とかは記憶が消えちゃうかもしれないから、長押しの通りと言う事で。
後の職業は聞きたいなら教えるよ?
「なるほど。ではメタモルフォーゼでモンスターに変身しても、変身師の職業にしないとスキルは使えないと言う事でしょうか?」
『そだね~』
「そうみたいです」
『なぁガチャミ。変身で俺になるとかも出来るのか?』
スキルが使えるで思い付いたが、俺になってガチャが出来るか知りたい。
『なれるよ~でも朱鷺になっちゃっても~ガチャはユニークスキルだから使えないよ~』
ユニークスキルは使えないのか。
『それに~意地悪だし~オヤツもケチってるから~朱鷺が2人になっても良いことないよ~』
なんだと!誰が意地悪だ?!
オヤツも車の中で、あれだけ貪ってたくせに!
コーチャンが出したヤツだけど。
『俺が2人じゃないだろ?ノリノリと俺の2人だろ?』
『え~?自分より精神力と知力が高い生き物になると~心もその生き物になっちゃうよ~?』
だから、そういう大切な事は先に言えよ!
「試しに、この中の誰かになってもらいますか?」
「それ駄目です。自分より精神力と知力が高い生き物になると、自我が消えるみたいです」
「えぇっ?!そんな恐い事ばっかりのスキルなんて使えないよ!」
『レベルが低いと~知力の高い生き物の変身時間は短いから~今なら人間になっても1分くらいだよ~』
何だって?!
『変身したら戻れなくなるとか言ってなかったか?』
『自分で解除出来ないんだよ~時間が来たら元に戻るよ~』
変身て時間制かよ。
しかも知力が低い生き物なら変身時間が長くなるのか…
もう、いつも言うのが遅いんだよ…
何か疲れたわ。
「あ~今なら1分くらいしか変身出来ないみたいです。時間で戻るけど、自分で解除出来ない感じですね」
「なるほど。では、やはり変身してもらいましょうか」
わ~凄い爽やかに言ったよ。
「やだ」
「こら、ヒノリ。検証しないとスキルが使えないんだよ?」
「じゃあ使えなくてもいいよ」
あ~なら終わりで良いんじゃない?
「そうですか。残念ですが、ヒノリさんがスキルの封印を選択されるのでしたら、仕方がありません」
あれ?早良さんなら、検証続けさせるかと思ったのに。
「早良君、ちょっと待って!何か結論が早くない?」
サブマスも慌ててるよ。
「そうじゃな。もう少し考える時間を与えるべきじゃないかのう」
え?こんな時は口を出さない爺ちゃんが珍しいな。
「そうだ。封印なんて事になると、ヒノリちゃんが可哀想だろ?」
父さんまで可哀想って何?
スキルを封印すると問題があるのか?
「しかし本人がスキルを使いたくないと仰ってるのに、それを強要も出来ません。本人の希望と言う事でしたら、ギルドも仕方なく封印した事に出来ますし」
「ちょ、ちょっと待ってよ!何でスキルを封印するだけで可哀想とか言われるの?」
ノリノリも驚いてるな。
「スキルを封印すると駄目なの?」
俺も気になって、父さんにコソッと聞いてみる。
「いや、封印自体は何も問題ない。ただ、スキルを封印すると聞くと何を想像する?」
「危険スキルとか犯罪に使われたとか?」
なるほどね。
コソッと聞いたのに、皆に聞こえるように態々言うって事は、ノリノリに聞かせたいんだ?
「そうだ。別に危険な訳でも、犯罪を犯した訳でもないのに、封印スキルがあるとなると説明が難しいからな」
「本人がどれだけ否定しても、封印スキルってだけで、犯罪者扱いするバカがいるから?」
「それもあるが、危険スキルなら封印は仕方がないと言えるが、上級探索者になるには、不利になる場合もあるからな」
「ああ、メタモルフォーゼは、今のところ危険スキルじゃないのに、封印してるって感じになるんだね?」
「そういうことだ。つまり、ギルドに協力的じゃない探索者の烙印を押されるのと同義だ」
確かに、自分が嫌だから変身しないって言ってるだけだし、これは協力的じゃないよな。
どんなスキルか判明してないから、危険スキルに指定も出来ないし。
ノリノリも、泣きそうな顔でサブマスを見ている。
どうやら、自分の立場が解ったみたいだな。




