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口説かれてます?

「コホン。では、今の出来事を説明します」


講師の咳払いで注目が戻ると、説明を始めた。


まぁ14番が言ったように、3階に上がるなと言われたにも関わらず上がったらしい。


自己申告をすれば注意で済んだのに、認めなかったから、講習の資格剥奪の上に別室でお説教と。


指示を守れない人間に、実習は無理だからと言う理由だ。


それくらいで?と言った人がいたから、ダンジョンではリーダーの指示を守らないだけで死ぬ事があると(さと)されてた。


探索者には"これくらいなら大丈夫"なんてないのだと、人の話はきちんと聞く耳を持てとも言われたよ。


その上で、その指示に納得出来ない、命を預ける指示でないと感じたら、きちんと話し合えと。


勝手に自分で判断して、結果パーティー全滅なんて羽目にならないよう、メンバーの意志疎通を大切にしろって感じで終わった。


講習の続きは、実習の注意点や出てくるモンスターの弱点などの説明だった。


ダンジョンに入る前に、職員はスキルに合わせた装備の相談にものるから、気軽に声をかけてくれって。


そんなの言ったら、早良さんに相談が殺到しそう…


一緒にギルドを出る時に、見つからないようにしなきゃ、根掘り葉掘り聞かれそう。


サワラー情報網(ギルド)の存在を知ってしまった俺は、身の危険を感じているのだ。


後はドロップ品の買取りや税金の事など、扶養から外れるくらいの収入がある場合は保護者に言うとか、確定申告はギルドでも出来るとか、そんな話だね。


キ~ンコ~ンカンコ~ンと、なんか惜しい所で違う音階のチャイムが鳴って、講習は終わった。


さて、早く早良さんに合流しなきゃ。


「八女君、待って!」


ゲッ?!信じられない、バカかアイツ?

完全に無視して出ていく。


ステータス課のカウンターを見ると、早良さんがいない?


おおぅ、ピンチだよ!

ど、ど、どうする俺!


その時、後ろから腕を掴まれて、反射的に振りほどこうと肘を曲げる。


「八女様、落ち着いて下さい」


おわぁ…この腰が抜けそうなイケボは…


振り向くと案の定、早良さんがニッコリと笑っている。

耳元で囁かないで、心臓に悪いよ。


「こちらへ来て下さい」


スタッフオンリーのドアを開けてエスコートしてくれる。


「早良さん、ありがとうございます。助かりました」


「…まさか、あんな騒ぎになるとは思いませんでしたからね」


まぁ一般用のエレベーターは実は何階からでも呼べるけど、ボタンが1階と2階しかないからな。


誰かが乗ってる時に3階以上から呼んでも、全員が降りるまで上がらないらしい。


3階以上に行くなら専用エレベーターを使うが、B級以上のギルドカードが必要だ。


後は2階の階段からも行けるけど、ドアがあるし、職員がいるから普通は通れない。


でも今日は申告用の特設カウンターで人が多かったから、職員の目を盗んで入ったのか、人目を欺くようなスキルを持ってたのかも。


そのせいで俺にまで妙な注目が来るのは想定外だ。

まさか同中の女子が地雷だなんてね。


「これを着けて頂けますか?」


チェーンネックレスを渡される。


「なんですかこれ?」


「認識阻害のアイテムです」


「私も着けてますので、誰にも気付かれずに出られます」


ほ~これが認識阻害アイテムか~。

アイテムボックスと同じく登録しないと使えないんだよね。


あれ?さっきの早良さんは、ちゃんと早良さんだったよね?


「これって皆にはどんな風に見えるんですか?俺にはちゃんと早良さんに見えますけど」


「顔は見えていても、誰であるかは認識出来ないんですよ。それを疑問に思わないようになっていますから、声をかけても不自然にならないんです。私も名前を呼ばれて驚いたのですが、他の人からは注目されていませんでしたし、もしかしたら八女様のスキルの影響かもしれません」


「あ~もしかしたら、昨日寝る前にステータスを見たら新しいスキルがあったんで、そのせいかもしれません」


「そうなんですね。ここでは何ですから上へ行きます。実はランチに誘っておいて何ですが、状況が変わりメンバーが増えました。その方達と顔合わせを兼ねて、昼食を取ってから説明させて頂きます」


「わかりました。あ~父さんの勘が働いてたので、俺も予感はありました」


「流石は八女家ですね。理解が早くて助かります。とりあえずネックレスは着けて下さい。他の方に会わないとは限りませんから」


着けてみようとしたが、慣れないから後ろ手では金具がはまらない。

前に回しても、チェーンが短いから金具が見えない。


「着けてあげますよ」


「お願いします」


流石は早良さん、さっと着けてくれた。

何が流石なのかは自分でもわからんが。


「身体に変化はございませんか?」


ふぉぅ…だから耳元で囁かないで!

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