SとMの狂詩曲
俺の楽しみを奪ったガチャミに、ハンカチを噛みしめる思いで睨む。
なんだ、そのドヤ顔は?
『ガチャミはオヤツ抜きで良いか』
念話で呟いた言葉にガチャミの顔色が一瞬で青ざめた。
俺は容赦しない男だよ?
『朱鷺様~ご勘弁を~ちょっぴり魔が差したんですぅ~もうしませんから~』
涙と鼻水でドロドロになりながら土下座するガチャミ。
そんなにオヤツ食べたいのかよ…
妖精界のオヤツ付きって話をネタに、ちょっと言ってみただけなのに、引くわ~。
そんなガチャミと俺の戯れを他所に、スマートにキャッチした如法闇夜を目を光らせて見てる、相変わらず冷静なイケメン。
あ、ガチャミは見えてなかったわ。
安全地帯なら見えても良いかと聞いたらOK出ました。
ガチャミに皆に見えるようしてもらう。
グシャグシャの顔のまま現れたガチャミに、サブギルマスがドン引きしながらも、ハンカチを差し出している。
鼻水チーンすな。
『ありがとう~ついでにオヤツ~オヤツをお願いしますぅ~』
オッサンに集るな!
『オヤツはスキル検証が終わったらだ。お前が良い子にしてたらやるから、大人しくしてろよ』
『やった~!朱鷺様~ありがとうございますぅ~良い子にします~』
今泣いたカラスが…
めっちゃ良い笑顔だなガチャミよ。
妖精のオヤツへのリビドーがハンパないね!
それと気持ち悪いから様とか付けんなよ?
そうこうしてたら早良さんのチェックが終わったみたい。
近くで見た如法闇夜は柄も鞘も黒で、燻し銀色の柄巻と下緒があり、鞘に東洋風の竜が濃色の螺鈿で描かれている。
鞘はよく見たら、ラメが入ってるかのように微かな光を含んだ艶かしい漆黒で、鐺などの金具も濃色の金属のようだ。
鍔は黒い象牙のような素材で竜が透かし彫りにされ、瞳と竜玉には深紫の水晶のような透明感のある石が嵌め込まれている。
細々とした部品も、全てが黒の微妙に色の違う素材が使われているから、本当に近くで見ないと、この芸術はわからないだろう。
爺ちゃんが持ってる刀より凄そうな気がする。
「これは所有者の固定は無いようです。他に何かありそうですが、見えませんでした。持っただけではステータスに変化は現れませんでしたので、装備中と言うのがどの状態なのか検証が必要のようです。しかし私の勘では、抜くのは止めておいた方が良いと感じるので…悩みますね」
そうなんだ?
早良さんの魔眼(推定)で見れないってなんだろう?
しかも抜いたらダメとか相当ヤバいんじゃない?
ん~ガチャミは何か知らないかな?
『ハイハイ~ガチャミが教えたげるよ~』
ハイは1回だぞ!
まぁいいか、教えてくれ。
何故かビクビクしながらガチャミが教えてくれたよ!
なるほど、装備中とは装備すると意識してから腰に差してる時で、それで如法闇夜に認められないと装備出来ないと。
その状態じゃないと効果は出ないと…
おぉ~これはキター!
意識を持つ武器だな!?
チート主人公に付き物のアイテムだぜ!
いや主人公になりたい訳じゃないけど、こう何かカッコいいだろ?
俺はそう言うお年頃なんだよ。
で、俺が装備しても大丈夫なの?
レベル1だから瞬殺とかされないよね?
『たぶん~?百鬼夜行を着けてたら~大丈夫な気がするよ~』
たぶんて何だよ!気がするだけかよ?!
装備出来なかったら、どうなるんだ?!
装備しないで抜こうとしたら如法闇夜の呪いがかかると…
それアカンやつ!!
抜かなきゃ大丈夫?ホントに?
持ち主として認められなかっただけ?
でも認められないのに、しつこく腰に差してたら呪われるの?
呪いは目が見えなくなって幻聴が聞こえるくらい?
って十分アカンやつだよ!
怖っ…
とりあえず保留になりました。
どんどん溜まるヤバいアイテム。
Sは地雷…アイテムも性癖も…なんてね。